工務店の人材不足の悩みを解消する5つの解決策

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工務店経営における一つの大きな問題が人材不足です。日本全国で労働人口は減少しており、建設業界は全体的には人気の業界ではないので職人の高齢化も進んでいます。こうした情勢の中で仕事は受注できるけどそれを請け負える人材がいないから事業が徐々に事業せざるをえないという工務店も増えてきています。

工務店の経営を維持、成長させていくためには人材不足を解決しなければならないケースも多いのですが、そもそもなぜ人材が不足しているのかから5つの解決策について紹介します。

本学習コンテンツでは以下を学ぶことができます。
  1. 工務店が人材不足に陥る原因
  2. 人材不足を解消する対策法

本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。


工務店が人材不足に陥る原因

工務店が人材不足に陥る原因は主に次の3つです。とはいえ、人材採用・育成に成功している企業も存在するので工務店は人材採用ができないというわけではありません。ただし、人材採用を成功させるためにはこのような工務店にありがちな問題に正面から向き合う必要があります。それぞれの原因について個別に解説します。

  • 労働力人口の減少、業界の高齢化
  • 大工の労働条件・賃金問題
  • 昔ながらの技術継承スタイルが若者に不人気

労働力人口の減少、業界の高齢化

少子高齢化が進み、日本全体の労働人口は減少しつつあります。みずほ総合研究所のレポートによると2016年には6,650万人程度の労働力人口は今後減少が予想され2030年には5,880万人、2050年には4,640万人まで低下すると予想されています。単純に10年1割程度のペースで労働人口が減少されることが予想されるため、業種・業界に関わらず人材の確保が困難になります。

更に工務店の属する建設業界は決して人気業種ではないので、新人が定着しにくく全体として高齢化が進行している業界でもあります。高齢化が進行すると新人を入れても世代間の隔絶があるので定着しにくく、ますます高齢化が進行する負のスパイラルに陥りがちです。

工務店の労働条件・賃金問題

工務店に限らず、中小・零細企業では労働基準法のギリギリの職場環境で成立している職場があります。また給料についても低く設定されていることも多いです。もちろん大企業並みの福利厚生や賃金を用意するのは難しいかもしれませんが、生産性を高めて同規模・他業種と比較して少しだけ良い賃金・働きやすい労働環境の職場にはしなければなりません。

労働条件・賃金はただ条件を良くすれば良いのではなく、会社全体として自然と生産性を高めることが必要になってくるので、単なるコストアップではなく収益アップにもつながる可能性があります。

昔ながらの技術継承スタイルが若者に不人気

職人が多い業界では「見て盗む」や「丁稚奉公」のような世界観で仕事をしている場合もあります。もちろん、このような世界観によって技術力の高い職人が育成されてきたという側面も否めなくはありませんが、昔ながらの技術継承スタイルやパワハラを伴う育成方法は若手の芽を摘むことにもなりかねません。

会社として新人育成サイクルを回せるように教育方法について何が正しいのかを改めて考える必要があります。

中小工務店でもできる人手不足対策5選

上記の問題を解決する方策として、資金やノウハウも限られている中小企業でも取り組める対策が次の5つです。それぞれの対策について詳しく説明します。

  • 労働条件・働き方の改善
  • 新人の教育環境を整える
  • 求人サイトを活用した採用手法の確立
  • ITを活用した省力化活動
  • 外国人労働者の雇用

労働条件・働き方の改善

本質的に取り組むべき対策は労働条件・働き方の改善です。もちろん、従業員が稼いでいる粗利以上に給料を支払えないし、労働分配率を高めすぎると工務店経営自体が成り立たなくなります。ポイントとは生産性の改善に取り組むことです。

生産性を改善して一人当たりの粗利額が大きくなり、会社に労働条件・働き方改革にかける原資ができれば良い職場環境が構築できます。一人当たりの粗利金額を大きくするためには本対策の「新人の教育環境を整える」「ITを活用した省力化活動」などが有効な対策となります。また、過渡期においては工務店の収益を下げてでも労働環境の改善に投資をすることが必要になるケースもあります。

新人の教育環境を整える

例えば、3年で1人前と呼ばれるレベルで仕事ができる人材が育成できる会社と10年かかる会社では事業の成長スピードが異なりますし、10年かけて修行している間に満足のいく給料が得られなくて若者は仕事を辞めてしまいます。新人の育成環境を整えて早期戦力化することが生産性を高め、離職率を低下させ工務店を安定成長させることにつながります。

例えば、会社をあげての見込み案件の進捗共有、住宅営業のためのツール整備、定期的なロープレによる営業トークの標準化、メンター制度や1on1による若手社員のつまずき払拭など実施すべき手法は多岐に渡ります。

また、新人の教育環境を整える人材として、きちんと新人を育て上げられるマネジメント人材の育成も並行して取り組まなければなりません。

求人サイトを活用した採用手法の確立

ハローワークやバイト情報誌などに求人を出しても求職者の質が低い、そもそも求職者自体があまりこないといったケースもよくあります。特に若手を採用する場合の媒体の中心は紙からWebサイトに移行しつつあるので求人サイトを活用した採用手法を確立しなければなりません。

工務店の中には「コーポレートサイト(会社のことを紹介するホームページ)」とは別に求人や募集要項、仕事内容の説明に特化した求人サイトを保有している企業もあるので、彼らの事例は参考になります。

また、求人サイトを立ち上げなくても各種SNSに求人情報を掲載したり、Indeedといったプラットフォームを活用したりするなど様々なWebにおける求人手法は存在します。工務店におけるマーケティングと同様に採用にも様々なテクニックがあります。

ITを活用した省力化活動

生産性を高めるための方策として重要なのがITを活用して仕事の手間を減らすことです。例えば、CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業管理システム)を活用してお客様情報を会社として管理する、ビジネスチャットを活用して事務所にいなくても非同期コミュニケーションができるようにするなどの手法が考えられます。

他にも工務店の仕事に特化システムでは、図面管理や施工管理のためのシステムもあり、これらのツールを活用することにより、従業員一人あたりたくさんの仕事量をこなせるようになります。

IT投資にはコストがかかると思われるかもしれませんが、ITによって浮いた従業員の人件費や外注費用などを考慮すると意外と投資回収は早く終わります。もちろんITによって省力化しても、空いた時間で行うべき仕事は工務店側で用意しなければなりません。

外国人労働者の雇用

建設現場などの担当者が不足している場合は外国人労働者の雇用も良い方法です。ただし、外国人=安く使える労働力ではなく、会社に愛着心を持ち長期間働いてもらうためには日本人並みの労働環境を用意した上で、外国人特有の言葉やコミュニケーションに配慮して根気よく人材育成に取り組まなければなりません。

なお、2020年度まで「建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置」として短期間の外国人労働者雇用が許可されていましたが、時限立法であったので現在は有効期限が終了しています。

人手不足が工務店の業績に直結する時代がいずれ到来する

長期的なトレンドとして日本では労働力人口の減少フェーズが到来します。よって、今後マーケティング&営業により案件を獲得できても、それをこなす人材が社内にいないというケースも発生するかもしれません。このような事態を防ぐために工務店は意識的に人材採用に取り組まなければなりません。本コンテンツで紹介した5つの対策をベースに工務店の組織強化を図ってください。

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