近年10代、20代を中心に人気を集めているSNSがTikTokです。
若者中心にブームのように思えるかもしれませんが、今後利用者世代が上がることが十分に考えられますし、拡散力も高いので工務店集客においても無視できない存在になっています。
本コンテンツでは工務店が行うべきTikTok集客について紹介します。
- TikTokとはどのようなSNSか
- 工務店がTikTokを活用するメリットとポイント
- 工務店のTikTok活用事例
- 工務店の短尺動画活用法
本コンテンツの学習にかかる目安時間は10分〜15分程度です。
本コンテンツの目次
TikTokの特徴
TikTokは2016年にリリースされた動画共有SNSです。2018年からは世界中にサービス解禁され、日本でも使用できるようになりました。
動画の中でも特に1分程度までの短尺動画に特化しており、暇つぶしに気軽に閲覧するユーザーが多いのが特徴です。
日本国内でのユニークユーザー数は2019年2月時点で950万人と言われており、メインとなる属性は10~20代の女性だと言われています。そのため、ターゲット層が工務店の主要顧客層と少し異なると思われるかもしれません。
しかし、利用者の増加と共に利用者層自体が普及していくこと、メインユーザー層も時代の変化と共に高齢化することを考慮すれば今後工務店のメインターゲットである20代後半から30代の客層も徐々にTikTokで開拓できるようになると考えられます。
すでに取り組んでいる工務店も存在しますが、InstagramやYouTubeといったSNSと比較するとまだ競合が少ないので、ぜひ今の内からコンテンツを充実させておきたいSNSの1つです。
工務店がTikTokで集客するメリット
認知度向上に有用
TikTokはどちらかといえば認知度アップ対策に活用したいSNSです。
現在流行しているSNSツールの中でも最も拡散力が高い部類に入りますし、他のSNSへも誘導できます。TikTok集客によって即時に工務店の売上を向上させるといったタイプのSNSではありませんが、知名度、フォロワーを増やすことにより、イベントの集客、問い合わせ数が徐々に増加することが見込めます。
拡散力が高い
TikTokを活用するメリットとして挙げられるのが、その拡散力の高さです。
ユーザーは短尺の動画をどんどん見ていくので、今まで接点のなかったユーザーが自工務店の動画を閲覧してくれる可能性は他のSNSよりも高いですし、おすすめ動画、トレンドに掲載されると閲覧数は跳ね上がります。
特に工務店集客に必須級のInstagramは拡散力が弱いので、Instagramと併用して閲覧者集めはTikTok、そこからInstagramに誘導してフォロワーを増やしていくといった方法も考えられます。
フォロワーが少なくてもバズりやすい
TikTokが他の主要SNSと異なる点はフォロワーが少なくても効果が出しやすいことです。
通常のSNSの場合、フォロワーの多いアカウントの方が閲覧回数は多くなり、より多くのユーザーにリーチできる可能性が高くなります。
一方でTikTokの場合は、すべての動画が一定以上ユーザーに閲覧される仕組みになっているので、フォロワーの少ないユーザーの動画でもバズる可能性が高くなっています。
良質な動画さえ作成していれば他のSNSよりも投稿をバズらせて早期に結果を出しやすいのがTikTokの良い所です。
低コストで動画が作成できる
低コストで動画作成ができるのもTikTokの魅力です。
スマートフォンで動画を撮影すればTikTok自体に動画のカット、繋ぎ合わせ、BGMなどの音量調整、文字やエフェクトの追加といった編集ができる機能があるので、カメラや専用の編集ソフトを用意しなくてもスマートフォン1台で完結します。
また、短尺ということで編集の手間も長尺動画と比較すると少ないので、これから動画マーケティングを始める工務店の入門用のSNSとして活用できます。
他の媒体へ移動させやすい
TikTokはSNSとしてユーザーの「エンゲージメントの高さ」を特徴としてアピールしています。
TikTokを運営しているByteDance社の「コンテンツ東京 2019」での講演によるとTikTokは他のプラットフォームと比較してユーザー参加率が高い傾向にあり、21%のユーザーがTikTokの情報に喚起され、検索などの行動を起こしていると明らかにしています。
したがって、集客導線をきちんと確保しておけば、他の集客媒体に移動させられる可能性は高いと考えられます。
工務店がTikTokで集客する際のポイント
TikTokは他のSNSと違い、さまざまなユーザーと動画をマッチングさせていくので、その対策も独特です。TikTokで集客する際のポイントは次の5つです。
ビジネスアカウントで運用する
一般的にSNSには一般消費者が個人として運用する「個人アカウント」、企業が宣伝のために運用する「ビジネスアカウント」の2種類が存在します。
TikTokにおいても2種類のタイプのアカウントが存在しており、工務店が集客に活用するのであればビジネスアカウントを開設すべきです。
ビジネスアカウントを活用すると商用ライセンスのない楽曲は使用できなくなりますが、投稿動画の分析ができるようになります。これにより動画投稿の結果を定量的に確認できるようになり、PDCAサイクルが回しやすくなります。また、他にもいくつかのメリットがあります。
「おすすめ」への表示を狙う
TikTokで閲覧者を増やそうとするならば、システムに動画を高く評価してもらい、おすすめに表示され、そこから閲覧者を増やすのがベーシックな流れです。
ただし、どうすればおすすめに表示されるのか、TikTok側がどうやって動画の評価をしているのかは公開されていません。
そのため、TikTokでおすすめに掲載される条件を想像しながら、動画投稿に取り組む必要があります。具体的な確からしいアルゴリズムについては後述します。
ハッシュタグの付け方を工夫する
TikTokもInstagramと同様にハッシュタグ機能が存在します。また、ハッシュタグ検索も可能なので、検索経由でのユーザーを増やすためにハッシュタグはきちんとつけておく必要があります。
「トレンド」を見れば人気上昇中のハッシュタグが表示されますが、工務店の場合、これらのタグを無理につけるとかえってユーザーの満足度が下がってしまうので、無理につける必要はありませんが、これらのハッシュタグがつけられそうな場合はつけてください。
「#工務店」「#マイホーム」などベーシックなキーワードを入れて、地域名や工務店名、後は内容に応じて「#ルームツアー」のようなといったように内容に関するキーワード、これらを合計で5~6個程度、多くても10個以内に入れるのが良いと考えられます。
最初の見せ場を意識してコンテンツを作る
YouTubeの場合は興味を持って閲覧してもらえるようにサムネイルの作り込みが大事だと言われています。一方でTikTokの場合はサムネイルで動画を選ばず、いきなりユーザーが動画の閲覧を始めることが多いです。
また、再生している動画を簡単に変更できるので、自分の興味・関心にあっていないと思えば一瞬で違う動画に映ってしまいます。
このようなことを考慮すると動画開始の1~2秒でいかに動画を見続けようと思わせるかが重要になります。逆にこの1~2秒を乗り越えれば、動画自体は短いので最後まで見続けてもらえる可能性が高くなります。
視聴開始1~2秒の間に、何に関する動画なのかをきちんと説明する、魅力的な画を見せるといったことを意識して、閲覧者が見続けるような工夫をしてください。
誘導先を明確にする
TikTokはどちらかといえば認知度・知名度を高めるためのSNSですが、問い合わせ獲得の効果も期待できます。そのため、誘導先は明確にしておいてください。
検索できるようにきちんと工務店の名前を明示しておくことや、プロフィール欄にInstagramやYouTube、Twitterなど他のSNSアカウントを登録しておくことが考えられます。
また、ランディングページやイベントの紹介ページなど外部Webサイトにユーザーを誘導することも可能なので、工務店の戦略に合わせて誘導先を考えてください。
とはいえ、他のSNSへ誘導しすぎるとTikTokの表示アルゴリズムの減点対象にもなりえるので注意が必要です。
優先度が低い取り組み
TikTok集客に取り組んでいる企業の場合、集客・売上を増やすために、インフルエンサーとのコラボPR、TikTok広告を活用しているケースもあります。ただし工務店の場合、これらのTikTok内集客施策は基本的に取り組む必要は少ないと考えられます。
単価の安い商品、衝動買いできる商品はこれらの施策によって売上までつながる可能性がありますが、工務店の場合は住宅という商材の性質上、衝動買いは発生しないので、知名度・認知度高めること、良くてイベント集客・資料請求を増やす所までしか成果が上がらないと考えられます。
単純にユーザーとして動画を投稿する方が集客としてのコストパフォーマンスは高いです。
TikTokで動画が拡散されるアルゴリズム
TikTokで動画が拡散されるアルゴリズムについては公開されていません。ただし、このアルゴリズムについて確からしいことはいくつか存在します。TikTokの動画拡散の仕組みについて説明します。
TikTokの評価に関連する指標
TikTokではアプリ内で評価の高い動画ほど優先してユーザーにマッチングしていると言われています。具体的にどのように評価しているのかは公開されていませんが次の要素が関わっているのではないかと言われています。
TikTokの重要な指標
TikTokにおいて特に重要だといわれている指標が、平均視聴時間と視聴完了率です。この2つの指標で6~7割程度は評価が決まるとされています。
つまり、TikTokのAIは動画自体の善し悪しは判断できないので、ユーザーの視聴動向をもとに動画の善し悪しを判定していることがわかります。
表示された最初のインパクトで視聴者を離さないこと、最後まで視聴を完了させるように動画を中だるみさせない、最後までみたいと思わせる仕掛けを用意するといった取り組みが必要になります。
TikTokの加点される指標
その他、評価が加点される指標としては、いいね数、コメント数、シェア率、保存数、フォロー率といった指標が挙げられます。これらの指標は良い動画であれば自然とどの指標も良くなりますが、一方で投稿する動画によってもコントロール可能です。
動画の中で「良いなと思ったらいいねをしてください。」「コメント欄で質問してもらえればお答えします」「フォローしてください」といった一言を添えるだけでもこれらの指標が上がる可能性があります。
TikTokの減点される指標
加点される指標がある一方で、減点される指標もあります。
代表的な減点指標は「興味ありませんボタン」が押されることです。このボタンが押されるとそのユーザーにおける同じようなカテゴリのコンテンツの表示回数が低下します。
また、他のSNSに過度に誘導するのもNGです。とはいえ、プロフィール欄にInstagram、YouTube、Twitterのアカウントを登録する欄はありますし、工務店集客に活用したいのでまったく外部サイトなどに誘導しないといったことはできません。過度な他のSNSへの誘導は避けてください。
TikTokで高評価を得るためには?
アルゴリズムから分析するとTikTok集客に成功するためには視聴者が最後まで動画を視聴するように飽きさせない工夫することが大切ですが、同じ位継続することも大切です。
TikTokの場合は視聴継続率や視聴継続時間が重要な評価指標になっていると考えられますが、一方でこれらの指標の増減には「運」も大きな要素だと考えられます。
すなわち、たまたま最初にその動画に興味があるユーザーにマッチングすると視聴継続率や時間の指標が良くなって高く評価、高く評価されることによっておすすめなどに表示されてさらに視聴者が増えて評価が向上するといったプラスのループに入ることが考えられます。
一方で最初に興味がないユーザーにマッチングすると、見られなくて評価が下がって余計に視聴者が減るといったマイナスのループに入ることも考えられます。
プラス・マイナスどちらのループに入るかは運も大きな要素になるので、継続して母数を増やすことによって確率に翻弄されないようにしてください。
TikTokを活用している工務店事例集
すでにTikTok集客に取り組んでいる工務店はいくつか存在します。工務店のTikTok活用事例と活用のポイントについて紹介します。
「木の家専門店」エコワークス
エコワークスではルームツアーにTikTokを活用しています。
玄関から入って、家の中を回遊し見どころを字幕で紹介して30秒程度の動画に収めています。30秒ということで閲覧するユーザーにはほとんど負担にはなりませんし、気軽に閲覧できます。
また、字幕の入力など編集作業も必要最低限にしているので、作成する工務店側の労力も省力化できています。
オンリーユーホーム
オンリーユーホームも同様にルームツアーにTikTokを活用しています。
基本フォーマットはエコワークスと同様ですが、紹介する住宅に応じて動画の長さが違ったり、モデルさんが屋内にいる様子を写したり、字幕はあえてつけないといったように微妙に動画の作り方は異なっています。
同じようなルームツアーでも各工務店、細部までみると微妙に紹介のこだわりが異なるので複数の工務店の事例を比較して自社にあったルームツアーの見せ方をしてください。
ウィズホーム
ウィズホームでは家づくりのノウハウをTikTokにアップロードしています。
注文住宅を建てる際のチェックポイントやウィズホームの住宅へのこだわりを紹介することによって、視聴者が家づくりについて勉強し、自然とウィズホームに好感を持つようになっています。
また、問い合わせを発生させる導線としては概要欄にランディングページのURLを貼っており、そこから資料請求、モデルハウス見学といった問い合わせができるようになっています。
建築職人 まっさ
内装職人出身の建築家さんが更新しているTikTokアカウントです。
工務店名を公開しておらず、問い合わせ誘導もしていないので厳密には集客用には作成されていないと考えられますが、見習うべきことはたくさんあります。
リフォームや住まいに関する生活の豆知識をわかりやすく紹介しており、字幕でわかりやすく説明しているのでストレスなく動画を閲覧できます。
アーキホームライフ
アーキホームライフでは工務店の日常を見せるようなTikTokを運用しています。
TikTok内で流行している音楽に合わせて踊ったり、流行している企画をしたりと一般のTikTokユーザーがアップロードしているようなコンテンツを中心に公開しています。
また、地鎮祭や引き渡し式、ルームツアーといったいわゆる工務店らしいコンテンツについてもアップロードしています。
短尺動画を攻略する
近年TikTokに限らず、SNSマーケティングでは短尺動画が注目を集めています。短尺動画の流行と攻略のポイントについて紹介します。
各SNSが短尺動画の普及に努める
TikTokが取り扱っている1分程度までの短尺動画は他のSNSでも徐々に普及しつつあります。
近年精力的に短尺動画を増やそうとしているのがYouTubeです。YouTubeでは2020年にYouTubeショートという機能を追加、短尺動画を特別のカテゴリとして扱い、専用のページを設けたり、TikTokに近いインターフェースで使用できるようにしたりと、TikTokに負けないようにショート動画を普及させようとしています。
他にもInstagramやFacebookにもリールという機能があり、短尺の動画を投稿できるようになっています。
なぜ短尺動画が必要なのか?
近年、短尺動画の流行もあって、消費者は興味・関心のない動画について時間をかけて閲覧しない傾向があります。
そのため、工務店の施工事例や家づくり動画を10分や20分かけてゆっくり閲覧するよりも、とりあえずダイジェスト版を見て本編を見たいといったニーズが高まっています。
このようなニーズに対応するためには短時間で内容の濃い動画を作成することが必要です。
短尺動画の使い道
TikTokを含めて、各SNSで短尺動画をアップできるので、YouTube、Instagram、Facebookにもアップ可能です。
どのSNSを使用するかは工務店次第ですが、利用の仕方としてはイベントや資料請求への誘導、LINEや他SNSなど日常的なコミュニケーションのためのSNSへの誘導といったパターンが考えられます。
また、短尺動画をある種の市場調査と考えて、さまざまな動画を投稿して再生数が伸びたり、評価が高かった動画をもとにして長尺の動画を作成する、セミナーの題材を作るといったことも考えられます。
TikTok集客で工務店の業績を向上させる
以上のようにTikTokの工務店集客における活用方法について紹介してきました。
TikTokは近年注目されているSNSですし、拡散力が高かったり、他のSNSへの誘導に使えたりとさまざまなメリットがあるため、工務店でも徐々に導入する企業が増加しています。
また、TikTokを中心に1分程度の短い動画に力を入れるSNSも増えているので、一つ動画を作れば他のSNSの動画にも展開できます。
消費者のニーズとして短尺動画が好まれる傾向もあるので、本コンテンツで紹介している事例を参考にぜひTikTok集客に挑戦してください。