一昔前は訪問営業を主流にしていた企業が多かったことや、近年でも不正請求にとられかねない保険を利用した住宅修理を電話やDMで営業している事業者も存在するため、リフォーム営業は残念ながらどこかグレーな業界だとみられがちです。
しかし、これは真っ当な商売をしている工務店・リフォーム会社にとってはチャンスです。営業において信用性を訴求することによって、競合との差別化、成約率アップを行いやすくなるのです。お客様の信頼を勝ち取り、高い成約率を保つためのリフォーム営業のコツについて、5つのポイントを紹介します。
本コンテンツの目次
公明正大なリフォーム営業をこころがける
これから説明する5つのポイントに共通して言えるのは、リフォーム営業は「公明正大」であるべきだということです。リフォームを営業する際は、設備のカタログなどはあるかもしれませんが、実際の工事の仕上りはわかりませんし、住んでしばらくしてから欠陥工事が発覚する可能性もあります。
よって、顧客は良いリフォーム会社を探したいと思う以前として、信頼できるリフォーム業者を見つけたいと考えています。もちろん、工務店・リフォーム会社としての技術力やデザイン力を魅せるということも大切ですが、大手のようにブランディングにお金をかけられない工務店は丁寧に、信頼感を築けるように営業するべきです。
お客様から信頼できる営業には次の5つの要素があります。
- ポイント1:営業個人の情報を開示する
- ポイント2:コミュニケーションそのものを丁寧に行う
- ポイント3:商品の欠点もきちんと説明する
- ポイント4:相見積もりを取られる前提で営業をする
- ポイント5:「ニーズ」ベースで事例を蓄積する
ポイント1:営業個人の情報を開示する
営業担当はお客様と会社をつなぐ重要な窓口となります。よって、会社そのものの情報を開示することも大切ですが、営業担当はどのような人間なのか?信頼できるのか?といったこともお客様の重要な関心事となります。
営業担当を信頼してもらうためには営業担当がどのようなパーソナリティを持っているのかも明らかにした方が良いです。例えば、どのような信念をもってリフォーム営業をしているのか、出身地や学校の情報、趣味など様々な個人情報を適宜開示することによって営業担当がどのような人間なのかを明らかにします。
例えば、アイスブレイクの段階でお客様との雑談を通じてお客様と自分の共通点を見つけて話題に花を咲かせたり、自分がリフォームしたときに気をつけたことなどを紹介したりと初期段階でお客様の様子に合わせて仲良くなるきっかけを探してください。
ホームページにスタッフ紹介のページを設けるのも良いですし、紙のプロフィールシートを作成して初回営業時にお客様に資料と共に渡すのも良いです。
ポイント2:コミュニケーションそのものを丁寧に行う
個人情報を開示することと並んで心掛けなければならないのが、コミュニケーションそのものを丁寧に行うことです。話し方が丁寧であっても、レスポンスが遅い、質問に対して的外れな回答をしていると全体としては「コミュニケーション」は丁寧でないとなります。
コミュニケーションの丁寧さをお客様にアピールするためには次のような方法が考えられます。
- 訪問する際は事前アポイントを取り、できれば前日などにリマインドを入れる
- お客様の問い合わせにはレスポンス良く、時間がかかる場合でも目安の期限を報告する
- 初回アポ終了後、契約完了後などの節目に手紙を送る
- 前回の打ち合わせでお客様が話していたことを記録し、次回の打ち合わせできちんと復習する
- 現地調査などでお客様の家に訪問する際は綺麗な服装を心掛け、家を汚さないように配慮する
- 営業からすれば問題ないと思われることであっても、お客様の不安を最後まで聞く
- 慇懃無礼になりすぎないように表情は柔らかく、声色が一定にならないように話す
- お客様に電話代を掛けさせないように、お客様から電話がきても担当から折り返す
もちろん、この他にお客様とのコミュニケーションにおいて心掛けていることは各営業マンによって異なりますし、すべてを完璧に実践しようとする必要はありません。ただし、自身がお客様の立場だとして不快感を与えるかもしれない振る舞いは極力排除するように日頃から注意したコミュニケーションが必要です。
ポイント3:商品の欠点もきちんと説明する
営業全般に言えることですが、何らかの商品をお客様に推奨する場合その商品にはデメリットも含まれています。お客様がデメリットを隠して営業していると思うと商談が進めにくくなりますし、信頼関係にひびをいれることにもつながりかねません。
商品の良さと同時にデメリットも伝えた方が良いです。松竹梅営業のように3パターンプランを提示して、それぞれの中でメリット・デメリットを比較してもらえばお客様も多少のデメリットは気にならなくなりますし、アップセルにもつなげやすくなります。
また、商品のメリット・デメリットの説明、比較を通じて商品選びの主導権を営業側が握りやすくなるので思惑通りに営業も進めやすくなります。
商品の欠点はお客様に隠そうとせずに、お客様にきちんと提示した上で商品選択の主導権を握れるようなトーク展開を心掛けてください。
ポイント4:相見積もりを取られる前提で営業をする
リフォームのように高単価な商材の場合は相見積もりをとられがちです。もちろん、相見積もりを取られないために「相見積もりを取らないでください」ということは信頼関係の破綻につながります。相見積もりは取られる前提で商談に臨んでください。
ただし、相見積もりで勝つためにいたずらに値段設定を下げるだけでは工務店・リフォーム会社の利益を確保できないので下策となります。
例えば、
- 工事後の点検、欠陥が見つかった場合の再工事のルールを明確にする
- 発注から工事完了までのスピード感で勝負する
- 工事を行う職人の技術力を訴求する
といったように、お客様が考慮すべき価格以外の基準を設定することによってお客様は価格だけで発注先を決めなくなります。
また、お客様から他の業者の方が安かったから値下げして欲しいと交渉があって値下げに応じることは、「これだけすぐに値下げに応じるということは多めに工賃などを設定していたのか」などの印象をお客様に与えることになり、「価格だけの業者」「見積もりが適当な業者」との印象を与えかねません。
相見積もりはとられる前提で、価格以外の業者の選定基準を作り自信をもって見積もりを提示、一度出した見積もりは大義名分がなければ簡単に値下げしないというスタンスが長期的に信頼される営業には必要です。
ポイント5:「ニーズ」ベースで事例を蓄積する
リフォーム営業として成果をあげる前提として、もちろん商品知識は必要になります。ただし、ただ商品の知識があるというだけではお客様の信頼は獲得できません。「モノではなくコトを売れ」というのは営業において重要とされるキーワードですが、リフォーム営業にもあてはまります。
お客様にとって興味があるのは、その設備や工事のスペックや内容そのものではなく、その工事を行うことによって自身の生活環境がどのように改善されるのかです。
よって、商品のカタログなどを見て情報を記憶することも大切ですが、これまで自分が関わったお客様がどのような目的でリフォームの相談にきて、どのように商品を選んで、何に満足していたのかお客様の「ニーズ」ベースで事例を蓄積することはさらに重要です。
「ニーズ」ベースで営業として経験値を積むことにより、同じようなお客様が来たときにお客様目線での適切な提案・営業が可能となります。
公明正大なリフォーム営業でトップ営業に
リフォーム業においても一般的な営業テクニックは通用しますが、リフォーム営業において何よりも重要なのはお客様との信頼関係を構築することです。そのためにはリフォーム営業として公明正大に振る舞えているのかは重要なポイントとなります。
具体的には本コンテンツで紹介した5つのポイントが挙げられますが、他にも営業によって使っているテクニックは千差万別です。5つのテクニックをベースとしながらお客様に信頼される営業の立ち振る舞いを研究することがトップ営業への近道です。