工務店内の営業レベルを高めようと思えばロープレなどを実施して疑似的な営業経験を積むことも必要ですが、並行してアプローチブックを活用した営業の平準化に取り組む必要もあります。本コンテンツではアプローチブックを活用した住宅営業の方法について紹介します。
- アプローチブックとは何か
- 住宅営業においてアプローチブックはどのような構成にするのが良いか
- アプローチブック作成・活用のポイント
本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。
本コンテンツの目次
アプローチブックとは?
アプローチブックとはお客様との商談をスムーズに進行するために営業時に使用する小冊子のことを指します。会社案内のパンフレットなどと混同されがちですが、アプローチブックはより営業に特化しており、商談を前向きに進めるための内容で構成されています。
営業トークの流れやよくある質問、事例の紹介や工務店の仕事に対するこだわりなど営業時に話しそうなネタをアプローチブックとして冊子化します。そして営業時にアプローチブックを見せながら内容を説明することによりお客様の説明に対する理解度が深まる、営業側も冊子に基づいて均質的な説明がしやすい効果が期待できます。
特に初回接客はアプローチブック活用が重要
アプローチブックの活用が特に有効なのが初回営業時です。初回営業時はお互いに商談の目的が明確に定まっておらず、経験の少ない営業担当の場合、説明するべき事項が抜け漏れたり、話が散逸して結局何を伝えたいかお客様に伝わらなかったりする営業になりがちです。
アプローチブックを活用することにより、冊子に沿った初回営業が可能となるので、経験の少ない営業担当でも効率的な営業が可能となります。
住宅営業におけるアプローチブックの構成
アプローチブックにどのような項目を用意するかはその工務店の営業の仕方次第ですが、オーソドックスには「会社説明」「住宅の建て方・業者の選び方」「施工事例・実績」の3つは盛り込むべきです。
会社説明
工務店の概要や、住宅に対するこだわり、これまでの受賞歴、スタッフ紹介など会社にまつわることを記載します。営業の時にお客様にアピールしなければならない会社概要なので取引先や資本金などよくある会社概要の項目はあまりアピールする必要はありません。
それよりもどのようなこだわりを持っていて、お客様にどのような住宅を提供するのか、工務店の魅力や世界観をアピールする紙面構成にしてください。
住宅の建て方・業者の選び方
住宅の建て方とはお客様の立場から住宅を建てるためにはどのようなことを決めなければならないのか、何をいつまでに用意しなければならないのかなどの工程のことを指します。
これをアプローチブックの中で明確にしておくことによりお客様は商談の全体像が明確になり、営業担当も営業しやすくなります。
業者の選び方とは、お客様が数ある工務店の中から実際に発注する工務店を選ぶ際にはこのような点に気を付けるべきだという説明をするページです。あえてこのようなページを設定することによって自工務店の中立性をアピール、評価項目を自工務店が高くなりそうな項目にすることにより相見積もりをされた際に有利なポジションを確保できるようにします。
施工事例・実績
具体的に今までどのような住宅を手掛けて来たのか、お客様からどのような評価を受けているのかを記載するページです。実際の施工事例を写真付きで紹介したり、第三者から推薦をもらうことによって、工務店の信用性を訴求します。
施工事例・実績共にリアリティーが大切なので、示せる範囲で詳細に記述した方が良いです。
アプローチブック作成・活用のポイント
アプローチブックをただ作成しただけでは効果はほとんどでません。アプローチブックを使った営業で成果を上げるためには「お客様が自宅で見ることを想定する」「ロープレで訓練を積む」「更新できるようにする」の3つのポイントに注意してください。
お客様が自宅で見ることを想定する
アプローチブックは営業時にも使用しますが、商談を終えて他の工務店と比較検討する際の資料にもなります。よって、営業時に使いやすいのはもちろんのこと、お客様が自宅で見ることを想定した制作しなければなりません。
難しい専門用語は平易な言葉になおし、図表付きで素人でも理解しやすい構成を考えた方が良いです。よって、普通に作成すれば15ページ~30ページ程度のそこそこ分厚い小冊子にはなるはずです。
ロープレで訓練を積む
アプローチブックは営業時に使用してこそ効果を発揮します。よって、営業がアプローチブックを使いこなせるようになるためのロープレが必要です。
アプローチブックの全ページを説明しだすと商談時間が長くなりすぎてしまいますが、全ページ分ロープレだけしておいてお客様のリアクションに合わせて臨機応変に説明する部分をコントロールできるようになるまで訓練してください。
更新できるようにする
アプローチブックは作って終了ではなく、営業の仕方と共に成長させなければなりません。よって、アプローチブックを作成したら一度に大量印刷するのではなく、少しずつ印刷、営業の意見を聞きながら徐々に内容を洗練させていくべきです。
最低1年に1回はアプローチブックの内容を見直し、成約率の高い営業担当の商談の仕方を分析したりして、より高い成約率が期待できる内容にしてください。
アプローチブック活用によって再現性の高い営業を行う
アプローチブックを活用することによって、特に初回接客時に工務店として高いレベルで均一的な営業ができる効果が期待できます。高レベル×均一的な営業が可能になると新人が早期に稼げる環境になるので会社として業績を上げやすい工務店になれます。
はじめてアプローチブックを作成する際は手間が掛かったり、使わない方がやりやすいとベテラン営業から反発があるかもしれませんが、中長期的には必要な取り組みです。