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SFAを工務店で導入する意義

コンピューター技術の発展により、近年営業の在り方は大きな変革を迎えています。

特に変化が著しいのが営業管理の手法です。

従来、紙の書類やリアルな会議で共有していた情報をSFA(営業支援システム)というシステムによりリアルタイムに場所を選ばず共有できるようになり、業種・業界問わず営業の仕方が変化しています。

本コンテンツでは工務店が導入すべきSFAについて紹介します。

参考:建設DXとは?-住宅営業・マーケティングに与える影響

 

本コンテンツで学習できること
  1. SFAとは何か。SFAは何ができるのか
  2. 工務店がSFAを導入するメリット
  3. 工務店向けSFAシステム

本コンテンツの学習にかかる目安時間は10分〜15分程度です。


SFAとは何か?

SFAとは「Sales Force Automation」の略称で日本語に直すと「営業支援システム」のことを指します。

具体的には企業が営業管理を行う際の情報共有やプロセスの自動化、データ分析に使われています。

一番有名なのは「Salesforce(セールスフォース)」の「Sales Cloud(セールスクラウド)」というシステムですが、他にもさまざまなSFAシステムが存在します。

ホワイトボードやエクセル、紙の台帳では管理できない複雑な営業状況の管理が可能となり、詳細なデータ分析から営業の効率化も図れるので業種・業界問わずに従業員数名の零細企業から数万人規模の大手企業までさまざまな企業が導入しています。

SFAに搭載されている主要機能

SFAは営業管理を効率化するためにさまざまな機能が搭載されています。SFAに搭載されている主要な機能は次のとおりです。

顧客管理機能

営業管理をするうえで顧客情報は必須のため、SFAには基本的に顧客管理機能が搭載されています。

顧客名や連絡先、過去のコミュニケーション履歴といったさまざまな情報を記録、保存できます。

顧客管理に特化したシステムを指してCRMと呼ぶこともありますが、SFAには基本的に顧客管理機能が搭載されているので、SFA/CRMと呼ぶこともあります。

案件管理機能

営業案件の進捗状況を管理するための機能を指します。

営業の進捗状況を記録したり、商談で使用するファイルを保存したり、確度や金額を記録して予実管理に役立てたりといった機能が搭載されています。

予実管理機能

SFAに蓄積されたデータをもとに現在の売上や目標売上との差分、受注確度を加味して将来的にどの程度の売上が発生しそうなのかを分析・管理する機能も搭載されています。

営業マネージャーが営業管理をする際に役立つ機能です。

行動管理機能

営業担当のスケジュールを管理し、日報や週報などの報告を行う機能のことを指します。

特に営業期間が長かったり、一人の営業担当が膨大な案件を担当したりする企業の場合は、きちんと行動管理をしないと仕事のヌケモレ、ミスによる失注が発生するので必要な機能です。

工務店がSFAを導入する意義

業種・業界問わずに活用されているSFAですが、とくに工務店はSFAの導入を検討した方が良い業種の1つです。

現代の営業管理手法の在り方と工務店特有の理由の2つのポイントから工務店がSFAを導入する意義について説明します。

現代の標準的な営業管理手法にキャッチアップする

工務店に限らず多くの業種・業態で「営業」は行われています。

一昔前の営業と言えば、成果が営業担当の個人技に依存する部分が大きく、営業の進捗は営業個人が管理していて会社では状況を把握していないといったケースも数多く存在しました。

こうした問題点を克服して組織全体で営業するために現代ではシステムに営業情報をすべて共有、そのデータを管理職が分析して適宜指示を出すといった営業スタイルが一般的になっています。

工務店においても、こうした新しいスタイルの営業方法を取り入れることで、効率化を図ることができまあす。

工務店の長期間の営業を効果的に進められる

SFAを使った、営業管理手法は工務店にこそ必要です。

注文住宅の営業は見込み顧客と接点を持ってから成約、住宅を引き渡して代金を回収するまでの期間は長期に渡り、コミュニケーション回数も多いのできちんとシステムに記録する必要があります。

また、離職率が低い業界ではないことも加味すれば、商談途中の案件を他の担当に引き継がなければならないケースも考えられるので、SFA上に営業のために必要な情報を共有しておくべきです。

こうした工務店特有の営業事情を加味すると、安定して利益をあげるためには営業管理はするべきですし、特にSFAにより効率的な情報共有が求められます。

工務店がSFAを導入するメリット

では、工務店がSFAを導入するとどのようなメリットがあるのか、3つの観点から紹介します。

情報共有、引継ぎが容易になる

工務店内の営業状況の共有や引継ぎが容易になります。

システム内に情報を蓄積していれば工務店内でリアルタイムの情報共有が可能です。

たとえば営業している施主様から工務店に電話があったときに営業に繋がらなくてもSFAの履歴をもとに適宜、対応することができます。

また、突然営業担当が退職したとしてもSFAにデータが蓄積されているので、その情報をもとに引継ぎが行えます。

特に商談が長期に渡り、営業や設計、事務などさまざまな部署が見込み顧客と接点を持つ可能性がある工務店だからこそSFAを活用した情報共有が必要です。

営業、売上の見込みを立てやすい

SFAを活用すれば営業、売上の見込みを立てやすくなるメリットもあります。

SFAにはコミュニケーション履歴だけではなく、受注確度や想定金額、営業フェーズといった情報も記録できます。

さらにこういった情報はレポーティング機能によって簡単に編集でき将来の売上見込みの予想に活用できます。

特に工務店営業の場合、営業開始から受注までの期間が長い、フェーズの数が多いケースもあるのでSFAによる売上見込みの算出が必要です。

従来、営業担当の感覚で行われていた営業報告をこういったデータで代替することにより精度の高い営業、売上の見込みを立てやすくなります。

参考:住宅営業の効率化!工務店のヨミ表活用術

 

営業管理業務を効率化できる

営業管理業務を効率化させるためにもSFAシステムは必要です。

SFAを通じて管理職が書く営業の活動状況を確認できれば、営業の方針を指示したり、売上見込みを立てやすくなったります。

また、リマインド機能を使えばスケジュール管理ミスを減らせますし、営業管理にかかる手間を削減できます。

さらに特に工務店に特化したSFAシステムの場合は営業管理だけではなく、図面や施主様との打ち合わせといった契約後、引き渡しまでに必要な情報を管理する機能が搭載されているシステムも存在します。

こういったツールを活用すれば営業管理だけに限らず工務店のさまざまな業務管理を効率化できます。

工務店が使用すべき代表的なSFAシステム

上記のとおり工務店はSFAを導入すべきです。では、具体的にどのようなSFAシステムを導入すべきなのか、代表的なシステムについて紹介します。

AnyONE

AnyONE

AnyONEは工務店向けに特化したSFAシステムです。

脱どんぶり勘定を実現し、業務一元化によって利益を残すことをコンセプトに作られており、一人親方から中小工務店・リフォーム会社までさまざまな規模の会社の業務に対応しています。

建設業の声を反映して業界に特化した機能を搭載しており、SFA機能に加えて、顧客管理、見積もり作成、原価発注管理、請求管理といった工務店の営業、現場、経理などすべての建築業務に関わる機能が搭載されています。

月額16,000円から導入できて、導入社数は2700社を突破、継続率99.4%となっています。

Sales Cloud

Sales Cloud

Sales Cloudは世界的に有名な業務システムのシリーズ「セールスフォース」のSFAシステムです。

SFAとCRM機能が組み合わされたシステムでAIが搭載されているので業務の効率化も可能です。

参考:工務店で実践したいCRMの使い方

 

拡張性の高さには定評があり、連携できるシステムも豊富なので、他の会社のシステムと組み合わせて使用しやすいのが特徴です。

工務店向けに特化したツールではありませんが、工務店が使いやすいようにカスタマイズすれば十分に使用可能です。

求める機能によって4つのプランがあり、料金も異なります。一番安いEssentialsというプランであれば1ユーザーあたり月額3,000円から導入できます。

Zoho CRM

Zoho CRM

Zoho CRMはSFAとCRMを組み合わせたシステムです。

工務店向けだけではなく幅広い業種向けに作られたシステムですが、カスタマイズ可能なので各社の仕様に合わせて画面を変更できます。

また、AIで案件確度を予測し、今月の成約案件・日次売上・営業段階など詳細なレポーティングをしてくれるので効率的な営業管理が可能です。

4つのプランがあり、初期費用0円、1ユーザーあたり月額1,680円から使用できます。

また、CRM、SFAに加えてメール配信、問い合わせ管理などのシステムを搭載したZoho CRM Plusというツールも存在します。

営業管理WAO

営業管理WAO

営業管理WAOは建設業向けに作られたSFAシステムです。

WAOシリーズには他にも「見積WAO」、「工事管理WAO」「伝票WAO」といったシステムがあり、いずれも建設業向けに特化しています。

営業管理WAOには「プロジェクト案件管理」「顧客管理」「営業プロセス管理」といった機能があり、オーソドックスな営業管理が実現できます。

料金は要見積もりになっています。

単体で使うのではなく、組み合わせて使用することにより効果を発揮するツールなので、SFA以外にも社内でシステム化すべき業務があればWAOシリーズの導入を検討してください。

eセールスマネージャーRemix Cloud

eセールスマネージャーRemix Cloud

CRMとSFAを組み合わせたクラウドシステムです。

工務店に特化はしていませんが185業種以上に使用され、利用継続率も95%を誇っている人気のツールで、導入実績は5,500社を超えます。

営業プロセスや顧客情報を管理するだけではなく、日報や社内チャット、SNSといった機能も搭載されているので社内コミュニケーションの活性化にも使用できます。

最も安価なプランは1ユーザーあたり月額3,000円で導入できますが、案件管理機能は存在しません。案件管理機能が必要な場合は1ユーザーあたり月額11,000円のスタンダードプランを検討してください。

工務店がSFA導入を成功させるポイント

これまでSFAの必要性について説明しましたが、残念ながらSFAを導入すれば即効果が出るといったツールではありません。

営業担当がきちんとデータをシステムに蓄積して、それを活用しなければ無駄な工数や費用がかさむだけです。

SFAを導入し、定着させるためには次の3点を踏まえた導入が必要です。

営業情報を共有するルールを決めて、徹底して守る

SFAはシステム内に情報を蓄積してこそ効果を発揮するツールです。

また、施工現場、展示場、事務所、客先など様々なところを営業担当は駆け回る可能性があります。こういった日々の仕事に忙殺されてついついSFAへの営業状況の入力を怠るといったケースが考えられます。

そして、このようなことが繰り返されるとSFAを導入した意味がなくなります。

こういった事態を防ぐためには、SFAで情報共有する際のルールを明文化しなければなりません。

営業担当にルールとしてSFAの更新タイミングや必要情報の記載の仕方、その振り返りの仕方などを説明したうえで、特に最初の方はきちんと入力されているかを確認すべきです。

機能豊富であっても使いにくいシステムは使用しない

SFAの中には拡張性が高く、機能が豊富なシステムも存在します。

ただし、一般論としてこのようなシステムは使いこなすための相応のリテラシーが必要になります。

そのため、機能が多いシステムを導入すると、現場のメンバーに定着せずにシステムが使用されない、使用しても著しく業務効率が低下するといったケースも考えられます。

SFAを導入する目的はあくまでも営業情報を蓄積して、管理しやすくすることなので、この目的を満たせるのであれば過度に高機能なシステムを使用する必要はありません。

したがって、求める最低限の機能性を備えたうえで現場に浸透しやすそうなシステムを選ぶのが原則です

また、SFAの中には工務店に特化してサービスを提供しているシステムもあるので、こういったシステムの方が過不足なく工務店に必要な機能が揃っており、使い勝手も良い傾向があります。

サポート体制が充実したツールを活用して、定着までしっかり支援をうける

現場に定着させるためにはシステムそのものが使用しやすいことに加えて、定着までしっかりと支援が受けられることが重要です。

サポート体制についても確認してください。

一般的にSFAシステムの提供会社は、システムを使い始める際の「導入支援」、導入後に現場に定着するまでをサポートする「定着支援」の2段階の支援を実施しています。

会社によっては定着支援がメールや電話だけだったり、細かな打ち合わせができなかったりする場合もあります。

とくに工務店の場合は定着まで時間がかかることも多いので、定着支援の手厚さについてはチェックし、現場のメンバーが使いこなせるように会社としてサポートしてください。

SFA導入で工務店の営業力を強化する

工務店営業を強化するためにSFAは重要なシステムです。

とくに問い合わせから契約までの期間が長く、さまざまな部署が一組の顧客に関わる可能性が高い工務店だからこそ情報共有が必要だからです。

工務店が導入すべきSFAの選び方について、いくつかのポイントがありますが、きちんと現場に定着させるように環境を整備することがなにより重要です。

SFAはシステムそのものではなく、そこに蓄積された情報に価値があります。

近年は工務店に特化して機能、使いやすさを追求したシステムも存在しますので、こういったツールを中心にSFA導入を検討してください。

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