さまざまな業種・業界でインサイドセールスが注目を集めていますが、工務店においてもインサイドセールスの重要性が高まっています。
インサイドセールスとは顧客と顔を合わせずに電話やメール、ビデオ会議、SNSなどを通じて実施する営業のことを指します。
本コンテンツでは工務店はどのようにインサイドセールスを実施すべきかについて説明します。
- 工務店がインサイドセールスを導入するメリット
- 工務店のインサイドセールス活用例
- 工務店がインサイドセールスを成功させるためのポイント
本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。
本コンテンツの目次
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは見込み顧客に対して電話、メール、ビデオ会議システムなどを活用して行う営業を指します。
対義語として、顧客に訪問したり、対面したりして行う営業のことを「フィールドセールス」と呼びます。
インサイドセールスは検討が進んでいない初期の顧客(資料を請求しただけの顧客、しばらく取引がない顧客など)に対して営業を実施、検討段階を進めて濃い顧客をフィールドセールスに引き継ぎます。
そのため、一般的な「営業」と比較すると効率的にたくさんの顧客にアプローチすることが求められますし、検討の進んでいない顧客を相手にしなければなりません。
インサイドセールスを導入するメリット
昔からインサイドセールス的な仕事は存在しましたが、近年特にインサイドセールスの効果に注目が集まっています。
工務店がインサイドセールスを導入するメリットは主に次の3つです。
放置している顧客を再び営業ルートに乗せられる
どの工務店も多かれ少なかれ資料請求だけされてそのままフォローしていない顧客や、住宅展示場やイベントで相談を受けたがその後追いかけていない顧客を抱えています。
こうした見込み顧客を発生させるためにはマーケティングコストがかかっているので、最大限のフォローアップをするべきです。
しかし、営業が個別にフォローすると人手不足で対応が間に合わないことも考えられます。
インサイドセールス専門部隊がこういった顧客を集中的にフォローすることにより、再びこの中からアクティブな顧客を創出できます。
チラシ、DMなどの施策よりも濃いフォローができる
見込みの薄い顧客にはチラシ、DMでフォローするといった工務店も多いかもしれません。
しかし、顧客はこういった施策は自分のためだけではなく一斉に行っているフォロー施策だとすぐに理解できるので、反響は得にくい傾向にあります。
あからさまな一斉フォローよりも、インサイドセールスによって個別に見込み度が低下している顧客をフォローして特別感を出した方が反響率は高まる傾向にあります。
オンライン営業のニーズに応えられる
オンライン営業のニーズは高まっています。同時に、特に検討の初期段階においてはわざわざ会いたくない、対面で売り込みされるのが怖いといったニーズも発生しています。
インサイドセールスによるフォローはそういったニーズに最適な方法であり、対面で強引にアポイントを取るよりもユーザーの心理的障壁が低くなります。
そのため初回でフィールドセールスがオフラインで営業するよりも、インサイドセールスから見込み顧客を育ててフィールドセールスに引き継ぐ営業の方が成約率が向上できるケースもあります。
工務店のインサイドセールスの活用例
工務店の住宅営業のさまざまな場面でインサイドセールスは活用できる可能性があります。典型的には次の3つのパターンが考えられます。
資料請求があった顧客をモデルハウスやイベントに誘導する
Webサイトやプラットフォーム経由で資料請求に対して反響営業を行う工務店は多いと考えられますが、資料請求の中にはその後なかなか具体的な商談やイベントの誘導に繋げられない商談も存在します。
こういった顧客は、検討の最初期段階にありそもそも動き出すまでに時間がかかることもあります。
しかし、営業からすればすぐモデルハウスやイベント、商談に繋げられなければフォローを忘れがちになります。
こういった顧客は定期的にインサイドセールスによりモデルハウスやイベントなどに誘導することにより、忘れたころに見込み顧客として営業できるようになることもあります。
検討中の顧客のフォローを実施する
商談が進んでいたけれども、途中何らかの理由によって商談がストップ、長い検討期間に入っている顧客が発生するケースもあります。
こういったケースをもともと担当していた住宅営業が個別にフォローしようとすると手間がかかるので、インサイドセールスが一括でフォローすることも有効です。
もちろん顧客の中には態の良い断り文句で検討中と言っている顧客も存在しますが、担当している住宅営業と話が合わなかったり、本当に懸念事項があったりして商談をストップさせているケースもあります。
こうしたケースはインサイドセールスが介入することにより、商談が前に進む可能性もあります。
営業がフォローできていない顧客に情報提供をする
営業がフォロー不十分な場合に顧客に情報提供をする役割もインサイドセールスには求められます。
たとえば、営業の代わりに顧客と次のアポを取ったり、顧客が参加したいと言っていた住宅イベントの案内をしたりといったように、担当営業が細やかにフォローできない情報提供をインサイドセールスが代替するのです。
営業だけが窓口になっていると営業の不注意でフォローを忘れたり、一律で顧客に伝えるべき内容を全件営業が個別で連絡していたりすると手間もかかります。
営業(フィールドセールス)とインサイドセールスにより二重にフォローすることにより顧客満足度を高められます。
インサイドセールスを成功させるポイント
インサイドセールスによる営業を成功させるためには工務店が一丸になって顧客対応、情報共有をすることが必要です。
特に次の3つがポイントになります。
インサイドセールス・フィールドセールスが連携する
インサイドセールス・フィールドセールという発想はもともと1人の営業が行っていた役割を2人で分担することにより効率的に推進しようというところから発生しています。
そのため、この2人がきちんと連携できていないと顧客対応がちぐはぐになり、かえって顧客満足を低下させる原因となります。
インサイドセールス成功のためにはインサイドセールス・フィールドセールスが情報をきちんと共有し、連携しながらフォローできる体制づくりが必要です。
たとえば、インサイド・フィールドセールスをペア制にしたり、ビジネスチャットで密に連絡を取れる体制を構築したり、連携の重要さについて研修したりといった補法が考えられます。
顧客情報や対応状況を社内で共有する
インサイドセールスを行う前提として顧客情報や対応状況が社内で共有されている必要があります。
情報共有が不十分だと、インサイドセールスがフォローすべき顧客を見落としてしまう、逆にすでに情報提供済みのことを何回も顧客に連絡してしまうといったトラブルが発生します。
こうしたトラブルを防ぐためにはSFA/CRMの導入が有効です。
SFA/CRMというシステムは顧客情報を管理するためのシステムで、顧客情報や対応履歴を共有するために使用します。
SFA/CRMに顧客情報、コミュニケーション履歴を記入することを徹底することにより、顧客対応ミスを防げます。
フォロー方法を決める、コンテンツを作る
インサイドセールスは、フィールドセールスのように家作りについて顧客と個別の相談をするというよりは、画一的な情報提供、フォローが中心となります。
そのためフォロー方法が決まっていない、顧客に情報提供すべきコンテンツが存在しない状態では住宅営業のインサイドセールスは上手く行きません。
工務店においてインサイドセールスを成功させるためには、インサイドセールスがどのように顧客をフォローするべきか明確にして、営業用のトークスクリプトもある程度固めてください。
また、住宅イベント、新設備の情報、家作りのお得な情報といったインサイドセールスが提供できるコンテンツ作りが必要です。
インサイドセールスで工務店の業績を向上させる
工務店業界においても業績をあげている企業はインサイドセールスを導入しています。インサイドセールスを導入することにより、従来フォローが不十分で離脱していた顧客と商談できたり、検討中のまま見込みが消えた顧客を復活させたりといった効果が期待できます。
ただし、インサイドセールスを成功させるためには社内での顧客情報、コミュニケーション履歴の共有が必須です。また、インサイドセールスの役割、顧客フォローの方法についても明確にしなければなりません。