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工務店のルームツアー動画の作り方

工務店集客の手法として近年ルームツアー動画が注目を集めています。ルームツアー動画は作成に手間がかかる一方でコンテンツとして会社の「マーケティング資産」として積み重ねることによって、工務店の集客力向上、ブランド価値アップといった効果が期待できます。本コンテンツではルームツアー動画を作成するメリットや動画作成の流れなどについて解説します。

本コンテンツで学習できること
  1. 工務店がルームツアー動画を活用する3つのメリットと1つのデメリット
  2. 企画・撮影・編集・公開・分析までの動画作成の流れ
  3. Instagram・YouTube・TikTokでの効果的な活用方法
  4. 失敗しないための5つのポイント

本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。


ルームツアー動画とは?

ルームツアー動画とは、工務店や不動産会社が住宅の室内を撮影、間取りや設備、内装について紹介する動画のことを指します。工務店が自社の施工した注文住宅や住宅展示場の様子を公開するのはもちろん、不動産仲介業者が取り扱っている物件の中を紹介したりなど、住宅業界全体で活用が進んでいます。

近年、消費者の情報収集の手段が活字や静止画のような媒体から動画に移行していることもあり、消費者に合わせてさまざまな工務店がルームツアー動画を作成しています。

ルームツアー動画の3つのメリットとデメリット

ルームツアー動画にはさまざまなメリットが存在しますが、主要なメリットを3つとデメリットを1つ紹介します。

メリット1:住宅の魅力を伝えられる

ルームツアー動画の最大のメリットは住宅の魅力を存分に伝えられることにあります。活字で部屋の様子を紹介したり静止画を見せたりするよりも、動画で住宅の様子を伝えた方がより効率的にお客様に情報を伝えられます。

たとえば実際の空間から感じる広さや、建材の質感、空間としての雰囲気といった要素は活字からはもちろん、静止画からもなかなか伝わりませんが、動画を撮影すればこういった要素も如実に視聴者に伝えられます。

また、活字を読んだり静止画を閲覧したりするよりも、短時間で大量の情報を伝えられます。
よって、視聴者はよりその住宅で暮らすイメージを持ちやすくなり、ひいてはその住宅の魅力も動画の方が伝えやすくなります。

メリット2:コンテンツとして会社の財産になる

コンテンツとして会社の財産になるのもルームツアー動画の特徴です。

たとえばチラシは配布した瞬間に効果を発揮しますが、それ以降効果が持続することはありません。一方でルームツアー動画は動画の数を増やせば増やすほど相乗的に効果を発揮するし、数年前に作成した動画が今もなお再生されて、お客様の問い合わせにつながるといった効果も期待できます。

すなわちルームツアーはコンテンツとして会社の集客に使える「資産」として蓄積し続けられ、中長期的に取り組むことによって問い合わせを増やす効果が期待できます。

メリット3:検討初期段階の顧客にアプローチできる

ルームツアー動画を配信することにより、検討初期段階の顧客にアプローチできるのもメリットの1つです。お客様の情報収集は住宅展示場や工務店への訪問といったオフライン手段からSNSやマッチングサイトといったオンライン系の手段に徐々に移行しています。

そのため、住宅展示場に来場したり、工務店に問い合わせをしたりしたころには、既にあらかたの検討が終わっていると想定した方が良いです。

こういった消費者の購買行動を加味するのであれば、検討初期段階のWeb上でさまざまな情報を収集している消費者にいかにアプローチするのかは、集客においてとても重要な課題の一つです。

こういった検討初期段階の顧客にアプローチする際に有効なのが、ルームツアー動画です。検討初期段階の顧客の中には検索エンジンで情報を収集しているケースも存在しますが、SNSや動画サイトでルームツアー動画を閲覧して情報収集をしているユーザーも数多く存在します。

デメリット:手間と費用が掛かる

ルームツアー動画にはさまざまな大きなメリットが存在しますが、手間と費用が掛かるといったデメリットが発生します。ルームツアー動画の制作方法を後述していますが、たとえ数分の動画であってもきちんとした手順を踏めば企画立案からSNSに公開するまでは数時間、数日かかります。

また社内に動画撮影、編集するリソースがない場合は動画制作を外注しなければなりません。数十秒のショート動画で編集が簡単なものであれば1動画につき数千円で発注できる場合もありますが、数十分の本格的な編集が必要な動画であれば数万円から数十万円の費用が必要です。

こういった手間や費用を加味して投資回収できる程度にルームツアー動画から新規問い合わせを獲得したり、問い合わせからの成約率を高めたりするためには一定の努力が必要です。

ルームツアー動画作成の流れ

単純に施工事例や住宅展示場の様子を動画撮影しただけでは大きな効果は期待できません。ルームツアー動画を作成し、成果を出すためには一定の手順を踏む必要があります。ルームツアー動画の作成手順について紹介します。

企画立案

ルームツアー動画はいきなり撮影するのではなく、企画立案を実施、動画のイメージを明確にしたうえで動画制作に臨むべきです。というのも動画の構成や見せ方によって反響は大きく異なるので、ぶっつけ本番で動画を撮影して編集しても、対象の注文住宅の魅力を充分に伝えられる可能性が低いからです。

マーケティング担当者と撮影の実務部隊がきちんとその注文住宅のどのような魅力をお客様に伝えたいのか、どのような動画を作成するのかイメージを擦り合わせるためにも企画立案作業は実施してください。

素材撮影

動画のイメージが決定すれば、ルームツアー動画の作成に必要な素材動画を撮影します。短尺の動画で量産するのであれば、動画撮影が上手い工務店内のスタッフが撮影しても良いですが、本格的な動画撮影ならばカメラマンを外注した方が良いケースも存在します。

いずれのパターンでも企画立案さえしっかり行えていればこの工程はスムーズに実施できるので、素材撮影を円滑にするためにも企画立案を丁寧に実施してください。

動画編集

動画素材が集まればルームツアー動画として編集作業を行います。一昔前は動画編集用のハイスペックなパソコンを用意したり、操作が難しい動画編集ツールを使いこなせなければなりませんでしたが、近年はスマートフォンを使って簡単に動画編集ができるようになりました。そのため、短尺の簡単な動画の編集であれば工務店内で完結させることも可能です。

ルームツアー動画を量産したい場合は、内製化した方がコストパフォーマンスは良くなるので挑戦してください。

各SNSへ公開

編集が完了、社内のチェックが終了しアップロードできる状態になれば、工務店が保有している各種SNSアカウントに動画をアップします。代表的なルームツアー動画をアップすべきSNSについては後述していますので参考にしてください。

結果分析

SNSに公開してそれで終了ではなく、その結果ユーザーがどのような反応を示したのかについてはきちんと分析する必要があります。大抵のSNSには投稿した動画に対してユーザーがどのような反応を示したかを分析できるアナリティクス機能を搭載しています。

アナリティクス機能を活用してどのような動画が反響が良いのかを分析し、そこから編集の改善点、撮影すべき動画のテーマなどについて分析、改善を繰り返していくことによる動画マーケティングの精度を高められます。

また、反響は動画そのものだけではなく、動画に付けたタイトルや説明文、投稿するタイミングなどさまざまな要素が影響しているので、こういった点についても分析してください。

ルームツアー動画をアップするべき媒体

基本的に作成した動画はさまざまなSNSで使いまわしができるので、運用しているさまざまなアカウントすべてにルームツアー動画をアップすべきです。ルームツアー動画をアップすべき主要なSNSとしては、Instagram、YouTube、TikTokの3種類が挙げられます。

Instagram

画像をベースに投稿できるので、さまざまな工務店が運用しているかと思われます。Instagramにはフィード(Instagram動画)、リール、ストーリーズの3種類が存在します。最大で60分の動画をアップロードできますが、比較的短尺の動画と相性が良いSNSで、短い動画はリール、特別な動画についてはストーリーズ、その他はフィードで投稿するのが良いです。

SNSの中でも拡散機能が弱いSNSなので、どちらかといえば一度接点を持ってアカウントをフォローしてくれているお客様に対する定期的な情報発信の目的で使用するのが良いでしょう。

参考:【2024年7月更新】Instagramの使い方 工務店の活用事例19選

 

YouTube

世界最大の動画プラットフォームといえばYouTubeですが、YouTubeには60秒以内(最大で3分)の短尺動画のYouTbeショートと最大12時間までの通常のYouTube動画のアップロードが可能です。

通常の動画に関してはYouTube内検索で動画に到達するユーザーも多いのでタイトルや説明文についても工夫してください。

YouTubeショートもあるので他のSNSと同じように縦長画面の短尺動画をアップするのも可能ですが、長尺の横長の動画を高画質でアップロードできるのが他のSNSにはないメリットです。

参考:工務店がYoutubeを活用する方法

 

TikTok

短尺の動画をアップロードするSNSといえばTikTokを思い浮かべる人も多いでしょう。工務店の中にはTikTokにルームツアー動画をアップしている企業も数多く存在します。情報拡散力が高く他のSNSと比較してもフォロワー以外の層にリーチしやすいのがTikTokのメリットです。

最大60分の長さの動画をアップロードできますが、基本的には長くて1~2分程度の動画をアップするべきです。

参考:工務店がTikTokで集客する方法

 

失敗しないための5つのポイント

成功するルームツアー動画のパターンはさまざまですが、ルームツアー動画で失敗するパターンはだいたい似通っています。ルームツアー動画で失敗しないために気を付けるべきポイントを5つに絞って紹介します。

ルームツアーの見せ場を明確にしておく

ルームツアー動画を制作するにあたっては企画立案の工程が重要なのは説明した通りですが、企画立案で一番に話し合うべきは、その動画の「見せ場」をどこにするかです。

たとえば、ガレージハウスのルームツアー動画を公開する場合、消費者がみたいのはキッチンや寝室ではなく、ガレージの様子のはずです。そのため1分の動画の場合、20秒キッチン、20秒寝室、20秒ガレージと撮影するよりも、10秒キッチン、10秒寝室、40秒ガレージのようにガレージの紹介に時間を長く取った方がユーザーに施工事例の魅力が伝わるはずです。

このようにルームツアー動画は見せ場を何にするかを基準に動画の構成ができあがります。よって、何を見せ場にするのかについては明確にしてください。

コンテをきちんと作成する

見せ場が決まったら、その見せ場を基準にして動画の構成が決まります。ただし、このような何となく見せ場が決まった状態ではまだ動画を撮影してはいけません。できるだけ制作したい動画イメージをコンテに落とし込んでください。

後述するようにルームツアー動画はカットを多用しすぎるとライブ感がなくなってしまうので一本撮りが基本です。よって、住宅の中をどの順番で移動するのか、各部屋でどのような紹介をするのか、どのような画角で撮影するのかを事前に決めておいた方が動画撮影をスムーズに終えられます。

どの程度細かくコンテを設計するのかは、動画撮影メンバーの経験値にもよりますが、特にルームツアー動画を実施し始めた段階ではメンバー間で動画のイメージを共有するためにも細かめにコンテを制作してください。

晴天時・きちんと照明を使用して撮影する

ルームツアー動画は基本的に明るい状態で撮影した方が、閲覧者に良い印象を与えられます。多少の明るさ調整であれば編集時にできますが、過度な調整をすると不自然になります。ルームツアー動画といっても基本的には晴天時に照明をきちんと使用したうえで撮影するのがおすすめです。

カットを多用しすぎない

特に短尺のルームツアー動画の場合、臨場感を出すために一本撮りを基本にしてカットをあまり使用しない傾向があります。長尺動画に関しては一本撮りが難しいため、適宜カットを使用しますが、それでもカットを多用しすぎると動画としての品質は低下します。よって、カットを多用しすぎないカメラワークについては構成の段階から工夫してください。

もっともカットを多用しないのであれば間延びしても良いというわけではありません、移動中の間延びしそうな部分については早送りしたり、カットしたりといった編集を行いユーザーに情報量が少ない動画だと思わせるのを防いでください。

短期的な成果には固執しない

ルームツアー動画だけに限らず、動画マーケティング、ひいてはコンテンツマーケティング全般に言えることですが、短期的な成果に固執してはいけません。コンテンツはある程度蓄積しないと成果がでないので、成果が出るまで続ける根気強さが必要になります。

ただし、数をこなせば必ずしも成果が出るというわけではないので、きちんとアップロードした動画に対するユーザーの反応を分析して改善作業を繰り返してください。

ルームツアー動画で他の工務店と差をつける

ルームツアー動画は自工務店の施工事例の魅力を伝える有力なコンテンツです。一つ動画を制作すればinstagram、YouTube、TikTokなどさまざまなSNSメディアにアップロード可能で、検討初期段階の顧客に効率的にアプローチできます。

ルームツアー動画マーケティングを成功させるためには、企画立案をきちんと実施し、アップロードした動画に対する反響をこまめに分析する必要があります。

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