住宅購入者の60%程度は、土地がない状態から住宅購入を検討し始める、いわゆる土地なし客だと言われています。この土地なし客は初回営業から契約までに期間を要すること、土地が見つからずにやむを得ず失注になってしまいがちなことから苦手だという工務店も多いのではないでしょうか。
本コンテンツでは土地なし客への営業方法について解説します。
- 土地なし客の攻略方法
- 土地なし客に営業するメリット
本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。
本コンテンツの目次
土地なし客の典型失敗パターンを防ぐ
土地なし客は土地あり客と比較すると、商談が失敗しやすく、長期化しやすい傾向があります。典型的な2パターンのケースについて紹介します。
建売・マンションなど他の購入方法に流れる
土地なし客は住宅を購入したいとは思っているものの、注文住宅に拘わる必要はありません。予算や要望を満たすのであれば、建売住宅やマンションの購入も有力です。
そのため、土地なし客に営業する際は注文住宅を求めているのかを初期段階で精査する必要があります。
土地が決まらずに商談が前に進まない
もう1つのパターンは、お客様は注文住宅を検討しているものの良い土地が出ない、希望条件に合致した土地が見つからないなどの理由で商談が停滞するケースです。
特に土地は高い買い物なので、希望条件に合致した土地が全く売りに出ないよりも、お客様がもっと良い土地が売りに出るのでは?と思いなかなか土地を決めきれずに時間だけ過ぎるケースが考えられます。
土地なし客を攻略するためには?
よって、土地なし客に営業する際は、お客様が注文住宅希望なのかを明確にし、土地決めで優柔不断にならないように営業が後押しする必要があります。
次の4つのポイントに注意して土地なし客を攻略してください。
注文住宅希望客なのかを見極める
まずはじめに、注文住宅希望客なのかを見極めましょう。
単純に初回商談で注文住宅が有力な候補なのか質問して確度を測っても良いですし、お客様の予算や住宅へのこだわり方からもある程度推測はできます。
ある程度検討段階が進んでいるお客様であれば他にマンションや建売を検討しているかについても教えてくれるかもしれません。また、初回商談時にお客様に注文住宅のメリットを訴求することも必要です。
予算と希望条件を明確にする
注文住宅を希望しているが、良い土地が見つからずに商談を停滞させてしまうケースを防止するには、お客様の予算と希望条件を初期段階で明確にする必要があります。
予算を明確にする
お客様の土地・建物に掛けられる予算総額を明確にしてもらいます。土地の値段相場さえ把握していればある程度、土地、建物それぞれに掛けられる予算がイメージできます。予算を勘案して建物に掛けられる予算が極端に低い人はもしかすると、建て売りやマンションの方に流れる可能性が高いかもしれません。
お客様が土地に掛けられる予算を明確にし、相場を伝えることによって土地の値段が高いかもしれない、もっと安い土地が出るのではないかといったお客様の迷いを一定程度断てます。
条件を明確にする
土地を決められないお客様には、求める条件が厳しすぎるお客様も存在します。こういったお客様に対しては工務店の営業担当者が条件をコントロールしながら商談を行います。
そもそも土地の購買経験が少ないお客様は、自身が土地に求めている条件が不明確なことが多いので、営業担当者がヒアリングした上でお客様のニーズを整理します。そして、そのニーズには優先順位があるはずです。土地一つとっても交通利便性、道路付け、広さ、近隣施設などさまざまな要素があるのでお客様なりの優先順位を明確にしてください。
お客様がこだわる条件と、妥協しても良い条件を明確にすることにより、お客様の土地探しに関する条件が緩和されて、土地が決まりやすくなります。
期限を区切って商談する
無期限に土地探しをしようとすれば、成約までどの程度営業担当者が拘束されるか推測できません。案件に関して成約できそうかを見極めるためにも、土地探しの期限は区切るべきです。
期限を区切ることはお客様にとっても有効で、時間を掛けて土地を探していると、今住んでいる家の家賃は必要になるし、子供が成長したりして想定している住宅のニーズが変化してしまいますし、家づくりに対するモチベーションが低下してしまいます。
情報を集める・継続的に提供する
期限内に土地が見つからなかった場合でも、そのままお客様をフォローしない場合は、不義理ですし、もしかするとその後お客様が土地を見つけて住宅を発注してくれる機会を逃してしまうかもしれません。
期限を過ぎた後でも他の工務店で家を建てたり、家づくりを諦めたりしたことが明確でない限りは更なるフォローが必要です。
営業担当者をつけるとコストパフォーマンスは会いに会いにくいのでメルマガなどでのフォロー、土地探しセミナーへの誘導、土地を仲介している不動産会社への仲介といった手法で継続的に情報提供してください。
あえて土地なし客に積極的に取り組むメリット
土地なし客は土地探しに時間も手間もかかることから、敬遠している工務店も多いかもしれません。しかし、土地がない状態というのは他の企業がまだ十分にアプローチできていないということであり、土地もまだ決まっていない検討の初期段階からお客様に親身に対応し、信頼を獲得することにより有利なポジションで商談を進められます。
ずっと営業担当者がフォローし続けるのは大変かもしれませんが、マーケティングの仕組みを使って検討度合いの低い顧客をフォローすることによりコスパ良く土地なし客を管理、温度感を高められます。
土地なし客と信頼関係を構築して業績を向上
土地なし客攻略には手間も期間も必要なので、つい後回しになる工務店も少なくありません。しかしながら、このような土地なし客だからこそ長期的に信頼関係を醸成し、いざ建物の設計段階になると他社より有利な状況で商談をすすめたり、OB客として他のお客様を紹介されたりする可能性が高まるとも考えられます。
土地なし客に対する営業でも、住宅営業担当者がお客様の土地に関する希望条件をコントロールしつつ、親身になって提案すれば成約率を高められる可能性は高いのです。お客様も完璧な土地を探しているというよりは、妥協の仕方が分からないだけなので、信頼する工務店が現実的にこだわれる条件ラインに関してアドバイスすればお客様も従う可能性が高いからです。
本コンテンツのポイントを参考にしつつ、土地なし客を攻略してください。