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工務店で実践したいCRMの使い方

工務店経営において重要な要素の1つが顧客管理です。

特に注文住宅の場合は、顧客によってこだわるポイントが違いますし、家族構成や予算などによっても提案が変わります。

それぞれに異なる顧客情報を適切に管理して、最適な提案をするためにはCRM(顧客関係管理システム)の導入が必要です。

工務店で実践したいCRMの使い方について紹介します。

参考:見込み顧客管理のポイント

 

本コンテンツで学習できること
  1. CRMとは何か。CRMは何ができるのか
  2. 工務店がCRMを活用する方法
  3. 工務店向けCRMシステム

本コンテンツの学習にかかる目安時間は10分〜15分程度です。


CRMとは何か?

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客関係管理を行うシステムのことを指します。

顧客関係管理とは、たとえば顧客の氏名や住所、年齢といった基本的な情報から、コミュニケーション履歴、支払い状況など会社との関係性まで幅広い「顧客」に関する情報を記録・管理することを指します。

「顧客」について管理することは、どの業界においても必要で工務店も例外ではありません。

一昔前は台帳やエクセルといったツールで管理していた工務店もありますが、近年は業務効率化、利益創出のためにCRMという専用のシステムを導入する工務店も増えています。

工務店がCRMを導入するメリット

業種・業界問わず顧客管理は必要ですが、工務店においては特にCRMの導入が望ましいです。

なぜ工務店はCRMを導入しなければならないのか、そのメリットを説明します。

複雑な顧客情報を一元的に管理できる

一般的なBtoC営業と比較すると、工務店営業はさまざまな情報を記録する必要があります。

家族構成や住宅建設に掛けられる予算、土地の有無、建てたい土地など提案に必要な情報は多岐に渡ります。

また、アプローチ・商談回数も多くなりやすいため、それぞれでどのような発言をしていたか、意向を示していたのかをきちんと記録しておかないと、顧客の要望に適した提案ができません。

このような複雑な顧客情報を台帳や顧客ノートのような形でアナログな管理をしていると、それを所有している営業担当しか状況が確認できませんし、紛失すれば顧客への対応の精度が低下します。

工務店全体、複数部署間でリアルタイムに膨大な顧客情報を管理するためにはCRMの導入が必要です。

顧客情報を引き継ぎやすい

CRMを導入すると顧客情報を引き継ぎやすいメリットもあります。

住宅業界は決して離職率が低い業界ではないので、突然の引継ぎが発生するケースもあります。

引き継ぎの際に、退職する担当者の頭の中だけにしか顧客情報がないと円満に引き継ぎできなかったり、引継ぎ後情報共有不足からトラブルが発生する可能性があります。

トラブルを防ぐためにはCRMにより顧客とのコミュニケーション履歴を正確に記録することが必要です。

突然担当者が退職した場合でも、CRMにきちんとコミュニケーション履歴さえ残っていれば、それまでの経緯が理解できるので引継ぎ可能です。

データを分析して効率的なフォローができる

CRMを活用するメリットとしてデータ分析の精度向上も挙げられます。

CRMにはさまざまなデータを記録できると同時に分析機能も搭載されています。

顧客の属性を分析することにより自社の顧客層を明らかにしたり、営業やマーケティングに関わるデータを分析してより精度の高い売上創出施策を立案できたりします。

CRMの活用方法次第で工務店のセールス・マーケティングの幅を広げられます。

工務店におけるCRM活用方法

工務店がCRMを活用するメリットについては上記のとおりです。

一歩踏み込んで現在の工務店の業務オペレーションをCRMの導入により改善するならば、次の3つの活用方法が挙げられます。

情報共有を行ってWeb・展示場から営業までの引継ぎをスムーズにする

近年、工務店の集客チャネルは多様化しています。

一昔前はチラシや展示場イベントといった集客方法が主流だったのに対して、現在ではポータルサイト、SNS、メールマガジンなど窓口は多様化しています。

このように窓口が多様化していると、問い合わせ発生から営業への引継ぎがスムーズにいかないといった事態が発生しがちです。

SNSで問い合わせは受けたけれども、営業に引継ぎするのを忘れていた、引き継ぐこと自体はしたが問い合わせ内容をきちんと共有できなかったといったケースが該当します。

CRMを通じて顧客関係管理をすることにすれば、このような引継ぎのミスは削減できますし、引き継がれていない案件について第三者も気づけます。

とくに多くの工務店ではマーケティングやWebの専任担当者は置かずに事務員が兼務するといった体制が多いと考えられます。

顧客を複数人で対応する体制では引継ぎミスが発生しがちなのでCRMを通じて工務店全体での顧客情報共有が必要です。

CRMを活用してOB顧客にアプローチする

CRMを活用するメリットはOB顧客へのアプローチを容易にすることにもあります。

工務店はその性質上、常に新規集客が必要ですが、チラシやWebマーケティング、CMなど、どのマーケティング手法を活用しようとしても広告費が発生します。

広告費といった観点からコストパフォーマンスが良い施策の1つがOB顧客の掘り起こしです。

OB顧客に住宅点検のDMを送付する、OB顧客向けにイベントを開催してその中でお友だち紹介を促すといった手法はコスパの良いマーケティング施策の1つです。

OB顧客アプローチを可能とするためにはOB顧客の情報を整理し、そこに一斉にアプローチする仕組みづくりが必要となります。そのために有効なのがCRMの導入です。

CRMを導入すれば、OB顧客のデータを記録、保存でき、一定の条件で顧客データの抽出も可能です。そしてそのデータを活用し、OB顧客にアプローチすることにより売上創出が期待できます。

参考:住宅営業・集客におけるアフターフォロー・アフターサービスの重要性

 

施工管理状況を明確にして予実管理を正確に実施する

CRMといえば顧客管理のためのシステムですが、建設業・工務店向けのCRMの中には施工管理的な機能を搭載しているシステムも存在します。

こういった機能を搭載したCRMを利用することにより、顧客とそれに紐づいている工事に関する情報を適切に管理することが可能となります。

とくに資材が高騰している昨今においては施工状況や、予実を管理することは工務店として収益を確保するために重要です。こういった観点からも工務店向けCRMの導入が求められます。

参考:施工管理ツール12選

 

工務店におすすめのCRMシステム

以上のように工務店におけるCRMの必要性について紹介しましたが、では具体的にどのようなシステムが存在するのか、工務店におすすめの7つの業務システムについて解説します。

AnyONE

AnyONE

AnyONEは建設業向けの業務効率化システムです。

大手・中堅企業様から一人親方まで事業規模を問わずに2,700社以上が同システムを導入しています。

顧客管理はもちろん、工事・施工管理、見積もり/実行予算/発注、入出金管理、アフター管理といった機能が搭載されているので、「顧客」を起点として工務店のさまざまな情報を一体的に管理できます。

建材流通商社が開発したシステムなので業界のことを熟知したうえで細部まで作り込まれていますし、Excelのような操作感でパソコン操作が苦手な従業員でも使いやすいのが特徴です。

Sales Cloud

Sales Cloud

Sales Cloudは世界でトップシェアを誇っているCRMです。

Salesforceという業務ソフトのシリーズの一種でCRMとSFAを兼ねています。

工務店に特化したシステムではありませんが、拡張性が高いのが特徴でSalesforceの他のシステム、カスタムアプリ、連携できる外部のシステムなど組み合わせはさまざまです。

分析・レポート機能が優れているので、欲しい顧客、営業管理をきちんと実施したい、データに基づく工務店集客を行いたい企業向けのシステムです。

Patio

Patio

Patioは工務店に特化したクラウド型顧客管理ソフトです。

最大3か月と長期間の無料トライアルが可能です。

開発まで工務店3社と2年に渡って話し合いを重ね、必要な機能や項目だけをわかりやすくパッケージ化したシステムです。

お客様名簿や工程の管理だけでなく、集客から営業、工事(新築・リフォーム)、定期点検と工務店業務の全過程を時間軸とともに網羅し、Eメールやバッジでやるべきことをリマインドしてくれます。

グループウェアとしての機能も搭載されているので、工務店内のコミュニケーション効率化にも役立ちます。

Zoho CRM Plus

Zoho CRM Plus

Zoho CRM Plusは業務システムのZohoシリーズのクラウド型統合パッケージシステムです。

Zoho CRMというCRM単体のシステムも存在しますが、CRM PlusであればCRMに加えてメール配信、SNS管理、業務管理といった8つのシステムが使用できます。

このシステムさえあれば工務店のマーケティング周りの体制が整備できるにもかかわらず、月額6,840円からと他のシステムと比較して安価です。

30日間の無料トライアルもあるので機能を試したうえでシステムを導入できます。

Oasis

Oasis

Oasisは建設業界での厳しい競争を勝ち抜くことをコンセプトにした利益管理システムです。

顧客管理機能はもちろん見積もり、受注、営業、工事進捗、入出金、原価など工務店運営にかかわるさまざまな要素がシステムを通じて管理できます。

お客様からの修理依頼やクレーム管理、定期点検時期のリマインド、工事原価管理による収益性の向上、訪問履歴や進捗状況等を徹底管理することによるきめ細やかなフォロー、業務効率化による生産性の向上といった効果が期待できます。

Kintone

Kintone

Kintoneは業務改善プラットフォームと呼ばれるシステムで、CRMは在庫管理、施工管理、営業管理といった業務アプリを社内で制作、運用できます。

工務店に特化しない、幅広い業種、事業規模の会社で使われているシステムですが、アプリから柔軟に作成できるのでその工務店ごとのニーズに合わせてシステム化が実現できます。

エンジニアがいない、IT部門が存在しない会社でも特別なスキルや知識なしで使用できて、現場の担当者がマウス操作で使い始められます。

工務店クラウドEX

工務店クラウドEX

工務店クラウドEXは地域工務店の経営に役立つクラウド型業務システムです。

顧客管理はもちろん、営業、計画、工事、アフターなど工務店が管理しなければならない要素はひととおり管理できるようになっています。

導入することによりテレワーク可能、工事・情報を可視化、利益を追求できる組織体制が実現できます。

工事図面や写真などのファイルは現場ごと、工程ごとにクラウド上にスマートフォンから保存できるので、現場作業の効率化も期待できます。

CRMとセットで使用したい業務管理システム

CRMは顧客情報を管理するためのシステムですが、単体ではあまり効力を発揮しません。

CRMには顧客情報しか記録されていないので、単体で活用するのは困難です。

顧客情報は営業、マーケティング、受発注管理といった他のシステムと併用することによりさまざまな恩恵を受けられます。

CRMと連携させて使用したいシステムとして、「SFA」「MAツール」の2つを紹介します。ただし、これらのツールはとくにCRMと相性が良いツールなので、はじめから「CRM/SFA」「CRM/MAツール」といったパッケージで提供されているケースも数多く存在します。

SFA

SFA(Sales Force Automation)とは「営業支援システム」のことを指します。

とくに工務店の営業は商材の性質上、長期間になりやすいのでSFAと併用して使用するのが一般的です。

SFAを活用すれば営業状況の見える化、根拠に基づいた予実管理の実現といったことが可能となります。

とくに営業管理に力を入れている工務店や、営業の引継ぎが発生する可能性がある工務店についてはSFAもCRMとセットで導入してください。

参考:SFAを工務店で導入する意義

 

MAツール

MAツールとはマーケティング・オートメーション(Marketing Automation)ツールのことを指します。

Webサイト、SNS、メルマガなど複数のチャネル経由で工務店と関わっているユーザーの行動を可視化、見込み度の高い顧客を育成、選別する際に活用されるシステムです。

高価なシステムなのでSFAと比較すると併用するケースは少ないですが、住宅は高価な商材なのでMAツールを使用しても充分に採算がとれる可能性があることから使用する工務店も存在します。

また、商材の性質上、自身でインターネットを使って情報収集する期間が長いので、顧客の行動を可視化して営業の優先順位を立てたいといったニーズからCRMとセットで導入されることもあります。

参考:工務店やリフォーム会社が追客メールを成功させるコツ

 

工務店営業をCRMで洗練させる

工務店営業を洗練させるためには顧客情報やコミュニケーション履歴をきちんと記録・保存・活用する必要があります。

CRMを活用して顧客情報を有効活用することにより、OB顧客へのアプローチ、施工状況の一元管理などさまざまな施策が実現できます。

本コンテンツで紹介した以外にもさまざまなCRMが存在し、機能も異なるのでぜひ工務店としてCRMに求める条件を明確にしたうえで、それに合致したシステムを選定してください。

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