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工務店の利益率をアップする方法

建築資材が高騰する昨今、工務店においては利益確保が重要なテーマの1つとなりました。他の工務店と価格競争になりえるビジネスモデルでは売上はあがっても利益を確保するのが困難となっています。

本コンテンツでは工務店の利益率を確保するための方法について説明します。

本コンテンツで学習できること
  1. 工務店の利益率をアップする方法
  2. 工事1件あたりの単価アップの具体的な施策

本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。


工務店の利益率をアップする3つの方法

一般論として工務店の利益率をアップするためには、①経費を削減する、②着工数を増やす、③工事1件当たりの単価を上げる、の3つの方法が考えられます。まずはこの3つの方法について検討します。

解決策1:経費を削減する

工務店の利益率アップ対策として多くの工務店が取り組んでいるのが経費を削減することです。工法を工夫したり、人工のコストダウンを図ったりと、さまざまな工務店が経費の削減に取り組んでいます。また、近年ではITツールを導入して、工事そのものだけではなく、営業や施工管理にまつわるコストダウンも図っている工務店も増加しています。

ただし、建築資材、人工ともに高騰する傾向があり、特に今後は人材確保がより困難になることが予想されるなかで、いたずらな経費削減はかえって売上ダウン、ひいては利益率の低下につながる可能性があります。

解決策2:着工数を増やす

2つ目の対策としては集客に注力して、自社の年間着工数を増やして利益率アップを図るといった手法も考えられます。チラシや住宅展示場といったオフライン型のマーケティングだけではなく、SNSやポータルサイトなどのオンライン型のマーケティングで費用対効果の高い集客に成功している工務店も続々と誕生しています。

しかしながら新設住宅の着工戸数は減少傾向にあり、今後も日本全体では減少していくと予想されています。例えば、野村総合研究所の予測によると2022年度86万戸ある着工戸数は2040年には55万戸になるという調査結果が示されています。そのため着工戸数を増やす難易度は年々厳しくなると予想されます。

解決策3:工事1件当たりの単価を上げる

工事1件当たりの単価を上げるのも利益率アップのために検討すべき手法です。一般的に低価格帯の住宅施工よりも高価格帯の住宅施工の方が利益は残りやすく、価格による競争も穏やかな傾向があります。工務店によっては自社でブランディングに取り組んだり、リフォーム、家具製作などを付加したりして1件当たりの価格をあげているケースも存在します。

ただし、工務店の本業と関係ないことに注力するとかえって、会社全体の収益を低下させてしまう可能性があるので注意が必要です。

解決策として注目すべき単価アップ対策

以上のように利益率アップには3つの方法が存在しますが、一定程度どの対策もしていて同業他社並みに成果をあげているのであれば、特に注力すべきが3番目に紹介した単価アップ対策です。

経費削減、着工戸数増加という対策は今後の住宅市場を考慮すると、どんどん厳しくなっていくからです。もちろん、まったくこれらの対策を実施しなくて良いわけではありませんが、中長期的な工務店の基盤を構築するのであれば時間がかかるけれども、効果が高い単価アップ対策に取り組むべきです。

工務店が実施すべき5つの単価アップ対策

工務店が利益率をアップするためには主に単価アップ対策に取り組むべきですが、単価アップの主要な手法としては次の5つがあげられます。それぞれの方法について紹介します。

営業プロセスの見直し

単価アップ対策でまず取り組むべきなのが営業プロセスの見直しです。営業体制を充分に管理できていない工務店の場合、費用をかけずに営業プロセスを見直すだけでも充分な効果が得られるケースも存在するからです。

既存の営業プロセスの中に客単価アップの提案がきちんと含まれているか、含まれていたとしてもお客様に充分に魅力的な提案に思えるようにプレゼンできているかなどについて見直してください。

なお、営業プロセスで客単価アップの提案がきちんとできていない、自社の住宅ブランドやサービスの魅力をきちんと伝えられていない場合は、残り4つの対策を実施しても効果があげられない可能性があります。

自社ブランドの育成

時間・手間・費用すべてが必要ですが、高級な住宅ブランドを自社で育成するのが王道の単価アップ施策です。高級住宅ブランドを構築する切り口は数多く存在しますが、事業規模によって基本的なパターンは異なります。

広域系・技術開発力のある工務店(ビルダー)であれば、住宅のテイストや工法といった切り口でブランドを構築するのがオーソドックスです。ただし、地域密着型の工務店はテイストや工法という切り口では、そのブランドの充分な潜在的なマーケットが存在しない可能性もあるので、地域に密着してどのような切り口で住宅を提供するかを考えるべきです。たとえば、その地域の伝統的な工法や建築資材といった切り口から考えると良いでしょう。

ハイブランド系FC、VCへの加入

自社ブランドの育成には時間も費用もかかるので、できるだけ早くリスクをかけずにハイブランドのサービスを提供したいのであれば、そういった住宅ブランドのフランチャイズ(FC)やボランタリーチェーン(VC)に加盟するのも有力な方法です。

ただし、あくまでも他社のブランドを使用しているので、最終的には成功した自社ブランドの方が利益率は高くなる可能性が高いです。

参考:住宅フランチャイズとは?加盟のメリット・デメリット
参考:高額物件の受注を目指して! - メープルホームズ加盟店募集のご案内

 

リフォームを中心としたアフターマーケット参入

新規住宅着工戸数が減少すると予想されている一方で、リフォームマーケットは今後拡大すると予想されています。そのため、リフォームを中心としたアフターマーケットに参入することも工務店の利益確保のためには重要です。

とくに新築で住宅を提供していれば、定期点検を切り口にしたリフォーム営業が可能で、OB会のようなコミュニティを形成しておけば、アフターマーケットにおける営業がやりやすくなります。

新築時の客単価がアップするわけではありませんが、中長期的に工務店の利益を確保したいのであればすぐにでも取り組むべきだと考えられます。

土地探し+住宅+家具など家づくりに関するサービスを垂直統合する

客単価アップの切り口として最もオーソドックスなのがサービスの垂直統合です。

工務店は主に住宅の建築サービスを提供していますが、ユーザーは家づくりの際にさまざまなサービスを利用しています。家を建てる土地を探す際には不動産会社を利用しますし、土地の取得や住宅の建設資金を確保するために銀行ローンを組む人が大半です。そして、家を作ればそこには家具・家電が必要なので、家具屋さんや家電量販店も利用します。

こういった施主様の視点から見て必要なサービスを工務店が垂直統合して総合的に提供することによって一組あたりの客単価は大きくなります。

家具製作サービスを付加することによる客単価アップ

以上の5つの切り口の中でもとくにおすすめなのが、サービスを垂直統合するパターンです。ただし、工務店の既存事業とかけ離れた事業はリスクが高いのでおすすめは家具製作サービスです。

家具製作サービスとは、住宅の設計打ち合わせ段階でそこに設置する家具についても施主様と打ち合わせして希望にあった家具をそのまま住宅と一緒に提供するサービスのことを指します。

ビルトイン家具として住宅に組み込んだり、工務店がオーダーメイドで作成したりすることもありますが、家具・インテリア業者と提携してセミオーダー、既製品の家具を提供するパターンも存在します。こういったサービスを付加することにより、費用をかけずに客単価アップが可能です。

今後の工務店は利益額にこだわらないといけない

新規着工戸数の減少、資材・人工の高騰が予想されるので、工務店はきちんと利益が残るように今から利益アップ対策を実施しなければなりません。利益アップ対策の中でも特に重要なのが、住宅+家具のワンストップ提供による客単価アップです。

近年は工務店がこういったサービスを付加するために特化して事業部を持っている家具・インテリア業者も存在するので、こういった家具・インテリア業者との連携を模索してください。

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