
一昔前は訪問販売のような手法でリフォームを販売している業者も存在しましたが、現在は法律の規制や消費者の飛び込み営業に対する抵抗も強いので、このような手法で業績を上げるのは困難です。
リフォーム業界こそお客様からの問い合わせを発生させ、その反響に対して営業するインバウンド営業の仕組みを構築しなければなりません。本コンテンツではリフォームにおける集客のポイントについて説明します。
- リフォーム集客成功のためのポイント
- リフォーム集客の手法・チャネル
- リフォーム集客運用のコツ
本コンテンツの学習にかかる目安時間は15分〜20分程度です。
本コンテンツの目次
「営業力」から「集客力」へ
昔はリフォームと言えば、営業マンが飛び込み営業などをしてお客様にリフォームのニーズに気づいてもらい契約するといった流れが主流でした。
しかし、近年はインターネットなどの発達によってお客様が主体的に情報を集められるようになり、訪問営業に対する消費者の抵抗感も高まっているので、お客様集めに「営業力」を発揮する機会は少なくなりました。
代わりにリフォーム会社で主流となったのが、チラシやショールームなどの「集客」を起点とした見込み客集めです。集客を活用すれば営業が飛び込みで見込み案件を作るよりも、効率的に案件を発生させられますし、安定的な案件確保が可能になります。
そのため、徐々にリフォーム会社がお客様を集め業績をあげるには「営業力」よりも「集客力」が重要になりました。
リフォーム会社が集客に成功する3つのポイント
リフォーム会社の場合、一昔前は飛び込み営業で業績を上げていたリフォーム会社も多く、その際にトラブルもあったこともあって全体的にイメージの良い業界とは残念ながらいえません。ただし、このような業界だからこそ
- 明朗会計・透明性をアピールする
- ショールームなど来店できる場所を作る
- 顧客との繋がりを意識したマーケティングを行う
この3つのポイントを満たすリフォーム会社はお客様からの信頼を集め、集客によって大きな成果をあげられます。リフォーム業者が集客に成功する前提となる3つのポイントについて説明します。
明朗会計・透明性をアピールする
リフォーム業の集客で最も心掛けたいことが明朗会計・透明性をアピールすることです。
リフォームはお客様にとって購買経験が少ない商材なのでお客様も料金の相場はわかりませんし、悪徳業者に騙されるのではないかと少し疑心暗鬼な気持ちにもなります。この不安感を解消してくれる明朗会計・透明性の高いサービスを行うリフォーム店はお客様にとっては頼もしい味方になります。
見積について丁寧に説明する、工事費込みのパッケージ料金にする、スタッフ・工務店紹介を丁寧におこない誰がリフォーム工事に責任をもつのか明確にするなどお客様を安心させるような施策を行ってください。
ショールームなど来店できる場所を作る
現地調査をする場合を除いて、商談は基本的にお客様に来店してもらうべきです。
まだ意欲が高くない状態での自宅の訪問についてお客様が抵抗を覚えるのはもちろんのこと、移動時間を削減して営業の生産性を高めるためにも来店型店舗にすることは必要です。
来店型のリフォーム店にするためにはお客様が訪問してこのリフォーム会社に頼みたいと思うような仕組みづくりが必要です。店内の清潔さや最新の住宅設備を揃えるのはもちろんのこと、ホスピタリティーであったり、商談に使用する営業スペース・ツールの充実度であったりさまざまな要素を見直してください。
顧客との繋がりを意識した集客を行う
集客という字面だけ見ると、お客様を集めればそれで終わりという印象を受けるかもしれませんが、現代のリフォーム会社の場合、むしろお客様と接点を持ってからいかに信頼してもらうか、問い合わせをもらうかの方が重要となります。
インターネットの発達によりお客様は何か欲しい、サービスの提供を受けたいと思えば、まず自身で調べてある程度候補を選んでから色々な店舗に訪問、問い合わせをします。そのため、リフォーム会社の場合も一件の問い合わせが発生する前提に何組ものお客様が自社について色々調べているのだと考えるべきです。
また、インターネットに情報が氾濫している昨今において何が正しい情報なのか取捨選択するのは手間がかかります。
そういった中で昔から付き合いのある信頼しているリフォーム会社というポジションはお客様にとってもリフォーム会社にとってもメリットがあります。
以上のような理由から集客は問い合わせが発生したという点で捉えるのではなく、お客様とのお付き合いという線を意識して、この線を太くするための施策は何かを考えるべきです。
リフォーム会社の集客手法
以上、リフォーム会社が集客に成功するための3つのポイントを踏まえたうえで、リフォーム会社が行うべき集客策を「認知度アップ」「問い合わせ発生」「成約に繋げる」「アフターフォローをする」の4つのカテゴリに分けて紹介します。
認知度アップの集客策
認知度アップとは、自社の存在、リフォームサービスをしていることを知ってもらい、良い印象を持ってもらうために行う対策の事を指します。
認知度がどの程度アップしているのか、それがどのように収益に貢献しているかといったことは測定しにくい傾向がありますが、リフォーム会社の業績を拡大するためにはいずれ必要になる施策です。
代表的な手法としては「プレスリリース」「交通広告」「野点看板」「イベントの協賛」といった手法が挙げられます。
プレスリリース
プレスリリースとは会社のイベントや表彰、新しい取り組みなどの情報をマスコミに流すことで、テレビやラジオ、雑誌などのマスメディアにリフォーム会社のニュースを発信してもらう認知度アップ施策のことを指します。
もちろん、実際にニュースになるかはニュースを選定するメディア次第ですが、上手くプレスリリースでマスメディアを活用できると一気に認知度を拡大できます。
また、ニュースで取り上げられたといった事実は顧客の信頼を得る材料にもなりますので、ホームページ、営業資料などでアピールすることによって営業成約率を高める効果も期待できます。
昔はメディアの記者・編集者と繋がって情報を伝えたり、FAXやメールで各メディアに情報を流したりするのが一般的でしたが、近年はプレスリリース代行会社、プレスリリースサイトを活用して情報発信をする企業も増えてきました。
参考:工務店の広報戦略の立て方
交通広告
交通広告とはバスや電車、タクシーなどの公共交通機関にリフォーム会社の広告を掲載する認知度アップ施策のことを指します。
地域内の複数店舗のリフォームショップを構えて、面でその商圏を押さえているリフォーム会社には有効な集客施策です。
ただし、交通機関がカバーしているエリアは広範囲にわたり、自社が対応できるエリア以外からの問い合わせは無駄になってしまうので、できるだけ自社がサービスを提供できる商圏に絞った交通広告の掲載方法を考えた方が良いです。
野立看板
野立看板とは幹線道路沿いなどに設置されている、広告用の看板にリフォーム会社をアピールする看板を設置する手法のことを指します。
自動車移動中心の地域商圏では今もなお有効な手法です。条件は看板枠のオーナーによっても異なるので、自動車で空いている看板広告枠を探しながら、個別にオーナーと交渉します。
野立看板で認知度をアップするためのポイントとしては次のようなことが挙げられます。
- 通行者の移動速度を加味してシンプルな見やすいデザインにする
- 電話番号や検索して欲しいキーワードなど誘導先を明らかにする
- カラフル、暖色系の色を用いて視認性を高める
- 自社の商圏範囲内かつ自社に行きやすい場所に設置する</li>
イベントの協賛
地域に密着したリフォーム会社の場合は、地域イベントや団体に協賛することも認知度アップ対策として有効です。
他の認知度アップ施策と比較すると、認知度自体の高まりは劣るかもしれませんが、地域のイベント・団体に協賛しているということで、他の施策よりも良いイメージは持たれやすくなります。
問い合わせ発生の集客策
問い合わせを発生させるために、オーソドックスな手法として昔から根強い人気があるのが「チラシ」「イベント」です。
また、近年はWebからの問い合わせ獲得手法も充実していて、「ホームページ(Webサイト)」「SEO対策」「リスティング広告」「ポータルサイト(マッチングサイト)」「MEO」といった手法をリフォーム会社の集客施策として注目を集めています。
チラシ
昔から活用されている手法で、新聞の折り込み広告やポスティングでチラシを配布し、その反響に対して営業を行う方法です。
リフォーム会社の場合、商圏が限定されているのでまだまだ有効な手段です。
チラシを配布する際には、価格を工事費込みのパッケージ価格で表示したり、最新住宅設備展示会のような形で売り込み感の少ないイベントに誘導したりと、できるだけ売り込み感が少ない、明朗会計な商談をアピールするべきです。
何で自社のことを知って訪問したのかアンケートを取る、チラシを持ってきた人に何かしらの特典をつけるといった仕組みを導入してチラシの配布効果を分析する仕組みもセットで考えておくべきです。
参考:工務店のチラシ集客のやり方とコツ~ターゲット、デザイン、費用対効果~
イベント
イベントもリフォーム会社にとって有効な集客手段です。リフォームは数年に一度しか購入されない商品なので、いますぐリフォームをしたいお客様を獲得しようとすると反響率が低下してしまいます。
そのため、イベントのようなライトな入口でよりリフォームの検討段階の浅いお客様を集客して、いざ具体的にリフォームとなった場合に備えておくことが有効です。
例えば、最新住宅設備の展示会、どこかのモールでのリフォーム出張相談会、単純にリフォーム会社のお祭りイベントといったように目的に合わせてさまざまなイベントが考えられます。
参考:工務店の集客イベント10選~具体例とマーケティング手法について~
ホームページ(Webサイト)
近年リフォーム会社の集客手法として必須になっているのがWebサイトです。
まず前提としてインターネット上で何も情報がないリフォーム会社に対して問い合わせすることにユーザーは不安を覚えます。
何も情報がないリフォーム会社だと、このリフォーム会社は営業しているのだろうか、ちゃんとしたサービスなのだとうか、ホームページがないということはあまり新規のお客さんを歓迎していないのかな、など色々なことを考えてしまうからです。
チラシやラジオ、看板広告のようにインターネットに関係ない集客が中心のリフォーム会社であっても、お客様は問い合わせをする前にインターネットでどのような会社なのかを調べます。
不安にさせないように最低限ホームページは保有しておくべきです。
集客のために制作する「マーケティングサイト」とは?
ホームページと一口に言っても実はいろいろな目的のWebサイトがあります。
代表的なWebサイトとして挙げられるのが、会社概要やサービス内容を説明するために用意する「コーポレートサイト」と呼ばれるWebサイトです。コーポレートサイトは多くの企業が開設しており、コーポレートサイト単体で問い合わせを増やしたり、イベントなどに誘導したりすることは非常に困難です。
一方で、「ランディングページ」や「メディアサイト」といったマーケティング・問い合わせ集めに特化したWebサイトをコーポレートサイトとは別に持っており、こちらから問い合わせを集めている企業も存在します。
ランディングページ
1枚物の問い合わせを得ることだけに特化したWebサイトのことを指します。
後述するリスティング広告やSNS広告を使ってアクセスを集めて、そこから問い合わせを獲得します。
リフォーム業界でも活用している企業は多く、ランニング費用として多くの広告費がかかりますが、施策を始めてから早期で結果を出しやすい手法の1つです。
ちなみにランディングページからの問い合わせが発生しやすくなるように微調整を行うことをLPOと呼びます。
メディアサイト
メディアサイトとは、ターゲットとしているお客様に役立ちそうなコンテンツを用意して、お客様にそのコンテンツを閲覧してもらい、リフォーム工事につなげていくWebサイトのことを指します。
たとえば、この「工務店マーケ」もメディアサイトの一種となります。メディアサイトを立ち上げてもすぐ集客につながるわけではありませんし、コンテンツを随時追加していかなければならないので運用の手間はかかります。
ただし、広告費は基本的にかからないので、中長期的には安価に安定して問い合わせ窓口になる効果が期待できます。
SEO対策
ホームページを持つことから一歩踏み込んでホームページを活用して積極的にお客様を集めるといったことも可能です。
お客様の集め方としてはSEO対策、リスティング広告の大きく分けて2つの手法があります。
SEO対策とはホームページ上のコンテンツを充実させて、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで自ホームページが表示されやすくするようにして、検索エンジン経由でアクセスを獲得する手法です。
リフォーム会社の場合、ホームページに自社の所属する地域「〇〇市」「〇〇町」といったキーワードを散りばめたうえで「リフォーム会社を選ぶ際のポイント」「最新キッチンはここが凄い!」といったようにリフォームを検討しているお客様の役に立つようなコンテンツを散りばめておけばよいです。
これについてのコンテンツを用意すれば、すぐに成果が出るというものではなく地道なコンテンツの積み重ねが必要なので長期的に取り組まなければなりませんが、一度お客様がSEO経由で訪れるようになると安定した集客源として見込めます。
リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンの広告枠を購入して、そこからの集客を狙う手法です。
広告枠はシステムから簡単に購入でき、クリックされたときしか料金は発生しないので費用対効果を読みやすいのが特徴です。
リフォーム会社によってはランディングページ(LP)という、リスティング広告から来たユーザーから問い合わせを獲得するための専用Webページを作成してリスティング広告×LPで効率的な問い合わせ獲得を実現しているケースもあります。
参考:リスティング広告とは?工務店が活用するメリットと広告設定
ポータルサイト(マッチングサイト)
自社ホームページを使った集客施策は手間がかかることが多いですが、あまり手間を掛けられない場合はポータルサイト(マッチングサイト)を活用した集客がおすすめです。
ポータルサイトとは、何かのテーマで会社やサービスを調べる際に用いるWebサイトのことを指します。飲食店であれば「食べログ」「ホットペッパーグルメ」などが該当します。
リフォーム業界にもポータルサイトはあって、例えば「ホームプロ」「価格.com」「SUUMOリフォーム」などが有名です。
ポータルサイトの料金形態はサービスによって異なり、資料請求1件当たり●●円、1か月掲載するのに●●円といったように課金の仕方は異なります。
よって、コストパフォーマンスが見合っているかは各メディアの料金形態に応じて分析する必要はあります。ただし、一般的にはポータルサイトを活用した集客は簡単に始められ、手間もかかりにくい半面、完全に自力で集客・問い合わせを発生させるよりも同業他社との競争が激しくなりやすい、広告費も高めになりやすいといった傾向があります。
MEO
Googleで「リフォーム」などと検索すると、通常の検索結果の上にリフォーム店が地図上にマッピングされたGoogleマップが表示されることがあります。
来店型ビジネスの場合、通常の検索結果よりもこのGoogleマップの情報をもとに来店するユーザーも多いです。そのため、Googleマップの中でどう目立つかとリフォーム会社にとっても重要な課題で、これをMEOと呼びます。
MEOはGoogleマイビジネスから無料で誰もが設定できます。一般的なMEO対策としてはレビューを充実させる、リフォーム会社の情報を正確に書く、写真を充実させるなどの手法が考えられます。
参考:工務店のMEO対策
成約に繋げる集客策
集客に成功して問い合わせが発生した後も「集客」は必要です。
営業と商談するフェーズに入ったお客様でも、最終的にリフォームを注文するか否かを決定するまでにそのリフォーム会社に関する色々なことを調べます。
代表的なのは、ポータルサイトやGoogleマップなどに掲載されているレビューの数や評点ですが、他にも「SNS」、「ニュースレター・メルマガ」なども成約に繋げる集客策として必要です。
SNS
Twitter、Facebook、instagram、LINEなど様々なSNSツールもリフォーム会社の集客策としては有効です。
SNSツールは新規のお客様を獲得するというよりは、すでに自社のことを知っていただいたお客様と継続的に接点を持つために使用する集客手法です。
一度来店していただいたお客様にFacebookやinstagram、LINEなど何かしらをフォローしてもらうことによって、今後お客様がお家のことで何かお困りごとがあった際に気軽に相談できる体制を構築してください。
そのための最低条件として、定期的に情報発信を行うことが必要です。情報発信をまったくしていないSNSアカウントはホームページをもっていないことと同様にお客様を不安にさせる要素になります。
週に1回でも月に1回でも良いので定期的に情報を発信し、営業していることをアピールしてください。そのために、さまざまなSNSに手を出してどれも中途半端になる位であれば確実に更新できるSNSを1個更新した方が良いです。
参考:工務店のSNS活用術
SNS広告から新規顧客を集客する
もちろんSNSにはお客様との接点を継続して持ち続け、成約に繋げる効果と同時にSNS経由で新しい見込み顧客と繋がる効果も期待できます。
新規集客をするのであればSNSの地道な更新で徐々にフォロワーなどを増やしていく方法もありますが、短期的に成果をあげたいのであればSNS広告に取り組むことも有効です。
各SNSは広告枠を設けており、SNSによって客層や料金形態は異なりますが、広告を使うことによって、より多くの顧客層に自社のことを認知・興味を持ってもらうことが可能となります。
ニュースレター・メルマガ
ニュースレター・メルマガといった手法も成約に繋げるための集客施策として現在も効果的です。
ニュースレターやメルマガの内容はリフォーム会社によっても異なりますが重要なのは定期的にお客様に情報発信、その反応を分析することです。
たとえば、メルメガの場合はメール配信システムを活用すれば、どの人がメールを開封したのか、さらにメルマガ内のURLをどの位クリックしたのかといったことがシステムから計測できます。
こうした情報をもとに検討客の確度を推測したり、迷っていそうなお客様に電話などでフォローしたりといったことが可能です。
リフォーム事例を紹介ツール
集客の際に特に意識しておくべきなのがリフォーム事例を紹介することです。リフォーム工事はお客様から注文をいただき、工事が完了するまで完成品を見ることができません。
そのため、工事の実績をみないとリフォーム会社を信頼しにくいし、そもそも工事のビフォー・アフターの事例を見なければ、お客様自身がどのような工事を望んでいるのか自身のニーズにきちんと気づけないといったこともあります。
このような状況で成約を獲得するためにリフォーム事例紹介ツールを作成して、お客様に自社の実績、事例を紹介することによって、お客様の中でのリフォームのイメージを具体化する必要があります。
アフターフォローをする集客策
リフォームというサービスの性質上、購買頻度は低いのでリピート対策をすれば短期的に成果があがることはありません。
ただし、住宅を施工してもらうのであれば信頼できるリフォーム業者に頼みたいと思う方は多いので、丁寧なアフターフォローは中長期的には収益アップ効果が期待できます。リフォーム会社が行うべきアフターフォロー系の集客策について紹介します。
定期診断
施工した直後は問題が無くても、数か月、1年などのスパンで施工後トラブルが発生するケースがあります。こうしたトラブルは、お客様の満足度を下げるだけではなくクレームの原因にもなったりします。
そのため、3か月、1年といった節目に定期診断を行う方が良いです。もちろん、手間だけを掛けると収益が悪化するので、どの程度までの工事にどの程度の診断をつけるのかは各リフォーム会社の事情によって判断すべきです。
また、定期診断は住宅に関するお悩みを聞く絶好のチャンスでもあるので、定期診断からの営業ロープレ、そのためのツール類の整備も行っておくべきです。
OB会へのニュースレター・メルマガ
定期診断は営業担当がお客様の自宅に赴かなければならないので、情報発信の方法としてはコスパが悪くなりがちです。
コスパを高く、一度に多くのOB顧客に情報発信するのであれば、成約に繋げる施策の中で紹介していた、ニュースレターやメルマガが有効です。
特に新築住宅も手掛けている工務店の場合は、新築顧客のOB顧客化、そこに対する情報発信とリフォーム工事の受注という仕組みを作ることによって事業を安定させられます。
競合他社から一歩抜きんでたリフォーム会社になるために
以上のようにさまざまな集客のテクニックについて解説してきましたが、このような集客テクニックを組み合わせただけでは、競合他社に抜きんでて業績をあげることはできません。
集客を成功させ、成果を上げるためには次の3つのポイントが必要です。
集客とオムニチャネル
これからはインターネットの時代なのでWeb集客に注力しなければならないと言われることがありますが、これは決してオフライン集客は捨てるべきだというわけではありません。
お客様は全員オンラインに移行したのではなく、オンラインとオフラインを行き来しながらリフォーム会社とさまざまな手法で接点を持つようになっただけです。
例えば、「バスの車内広告を見てAというリフォーム会社の事を知った」のはオフラインの接点ですが、「どんなリフォーム会社なのか気になってネットで調べた」というのはオンラインです。さらに「住宅設備の展示会を近所のイベントホールでやるようなので見に行った」というのはまたオフラインに戻ります。
このようにオフライン、オンラインの接点を交互にお客様は行き来しながら注文に到達するので、両方の接点管理をしなければならないといった考え方を「オムニチャネル」と呼びます。
リフォーム会社の集客においてもオムニチャネル的な考え方は必要で、お客様との接点をオンライン、オフライン相互で確保しておき、お客様とのコミュニケーション履歴を関しておかなければなりません。
リフォーム集客から営業につなげる
さまざまな広告施策を活用してもリフォームの場合、Web通販のようにボタン一つで購入が決まるというわけではありません。現場調査したり、どの設備が良いのか提案したり必ず営業フェーズを挟みます。そのため、集客から営業の流れのスムーズさも、リフォーム会社が業績をあげるのには重要です。
集客の際に獲得したお客様の関心に関する情報を営業が何も活かしていない、せっかくホームページから問い合わせがあったのに営業が誰もフォローしなかったので無駄にしてしまったということは往々にして発生します。
このような事態を防ぐためには集客を担当しているマーケッターと営業担当者の連携を緊密にしなければなりません。
進歩的なリフォーム会社の場合CRM(顧客関係管理ツール)、SFA(営業管理ツール)といったシステムを導入して、システムを通じて社内の誰もがお客様情報や営業の進捗状況をチェックできる環境を整えています。
参考:リフォーム営業のコツ
コストパフォーマンスを意識した集客を行う
どのような集客・営業方針をとるのかは各リフォーム会社の戦略によって異なりますが、集客のコストパフォーマンスは重要です。
たとえば、粗利5万円の工事を獲得するのに広告費6万円を掛ければ工事を受注すればするほど赤字になりますし、粗利を確保するために広告費をまったくかけずに集客するので、そもそも工事件数が少なすぎるといったことも発生する可能性があります。
工事1件当たり何円位で案件獲得できているのか、どの程度収益が上がっているのかは常に意識して集客してください。
費用対効果を意識的に確認する
Web広告はシステム経由でどの施策がどの程度のコストパフォーマンスを発揮しているのか、分析するのが容易な傾向があります。一方で野立て看板やチラシといったリアル系の集客施策は、分析しようと意識せずに集客施策をやっていればなかなか費用対効果は測定できません。
リアル系集客を含めたマーケティング活動を実施するのであれば、アンケートなどを活用して集客の成果を可視化する施策を考えるべきです。
費用対効果の確認手段としては次のような事例が挙げられます。
- 初回営業時に顧客アンケートを実施、「どこで自社を知りましたか」、「見たことある看板は?」のような形で集客に関する質問欄を設ける
- イベントへの集客をチラシ経由で行う場合は、エリア毎にナンバーを振ってチラシに記載、そのチラシを持ってきた人向けの特典を用意する
- 営業の際に、一般的なリフォームに関する商談の合間に、「なぜ弊社に問い合わせしていただいたのか?」という質問をさりげなく混ぜる
リフォームの業績アップは集客戦略次第
リフォーム会社が業績をあげるために「集客」は重要な要素ですが、「チラシ」「Web広告」「ニュースレター」などは、あくまでも手段です。そして、手段だけを揃えても集客に一貫した戦略がなければ、全体がちぐはぐになり成果が出ないこともあります。
リフォーム会社の集客戦略を立てる際は以下の4つのステップで実施します。
- ターゲットを決める
- 必要な問い合わせ数と販促費を明確にする
- 集客手段の組み合わせを検討する
- 運用の仕方を決定する
ターゲットを決める
ターゲットとは自社がリフォームサービスを提供したいお客様のことを指します。ただし、あまり現実離れした客層を狙っても成果が出ないので、現実の自社のお客様はどこなのかを分析してから、ターゲットを決めた方が良いです。
例えば以下のような観点から自社のことを分析するのが有効です。
- 過去のお客様の住所データをもとに自社の顧客が多いエリアを分析する
- リフォーム実績をもとに得意としている工事や価格帯を分析する
- 顧客にヒアリングして相見積もりを取っている/いたリフォーム会社を調べてどのような類似点/違いがあるのかを整理する
リフォーム会社の場合はオーソドックスな切り口としては上記のように「商圏」「工事の販売実績」「競合リフォーム会社との違い」を明確にすることによって、自社が得意としている現実の顧客を明確にして、会社が相手にしたい理想の顧客の間の差分を調整しながら、ターゲットとする顧客を定めます。
必要な問い合わせ数と販促費を明確にする
ターゲットと並行して決めなければならないのが、必要な問い合わせ数と販促費です。
戦略立案の段階では正確な数は必要ありませんが、後から成果をみながらPDCAを回すためにも目安は計画段階で決定する必要があります。
もちろん、問い合わせ数が多い方が良い、販促費がかからない方が良いと思われるかもしれませんが、両立させるのは困難です。
必要問い合わせ数と販促費のオーソドックスな決め方は次のとおりです。
- 目標の売上を決め、それに必要な成約件数を算出する
- 過去の実績から目標成約件数を達成するために必要な問い合わせ数を算出する
- 必要な問い合わせ件数×1件の問い合わせを獲得するのに必要な費用を行い必要な販促費を算出する
1件の問い合わせを獲得するために現在かかっている費用が分からない場合は、そこから発生する粗利の3割程度をとりあえずの目安にしてください。
また、この計算を行った結果、販促費が膨大になる場合は、現実的に会社として投資できる販促費をベースに目標問い合わせ数、そこから売上・粗利をシミュレーションする方法もあります。
集客手段の組み合わせを検討する
販促費や目標件数が決まったら、どのように集客手段を組み合わせて目標を達成するかを考えます。
ただし、実際にやったことのない販促は費用対効果がどのようになるかはわからないので仮にこの程度だとしたら…といった形で大筋を決めて運用に移った方が良いです。
本コンテンツでもさまざまな集客手段を紹介しましたが、集客手段を組み合わせる際は、「認知度アップ」「問い合わせ発生」「成約に繋げる」「アフターフォローをする」をバランスよく行うことや、既に実施して成果をあげている得意な集客手段から充実させた方が成果をあげやすいことなどがポイントです。
また、次の項目で説明する「運用の仕方を決定する」という工程で、現実的にできる集客かどうかを検討しながら組み合わせを微調整してください。
運用の仕方を決定する
目標や手段の組み合わせが決まっただけでは、集客活動ができません。集客活動は運用の仕方を決定し、実際にはじめて集客をしてこそ効果を発揮します。
実際に運用のことを考えると困難だったことに気づくことはよくあります。
例えば、
「リスティング広告を運用したかったけれども、社内にノウハウがないので外注しなければならいので、その運用代行費用分は他の広告費を削らないといけない。」
「事務担当者にSNSを運用してもらう算段だったが、実際さまざまな業務を兼務して忙しいので1週間に1回程度しか投稿できない。」
このような問題は運用の仕方を考えてはじめて気づきがちです。
実行に移す前に誰がどの程度の予算を使ったのか、どの程度の成果を追求するのか、そのためにどういう行動をとらなければいけないのかを考えてください。
集客は適宜外注した方が良い
さまざまな集客手段があり、各リフォーム会社の戦略に合わせて集客手段を組み合わせた方が良いことは説明した通りですが、自社だけですべての活動を完結するためには人材が不足している、時間・ノウハウ共にないといったケースが普通です。
近年はさまざまなリフォーム会社向けのマーケティング代行サービスがあるので、多少予算がかかったとしても迅速に自社の集客活動を推進するのであれば外注した方が結果的に企業の収益を高められることも多いです。
リフォーム集客を自在に使いこなし事業拡大を
インターネットの発達によりお客様の購買行動は徐々にオンライン・オフラインを行き来する形で複雑化しているので、これに対応したコミュニケーション窓口をリフォーム会社は持つべきです。
ただし、SNSの所で示したようになんでもかんでもやろうとすると、かえってどれもが中途半端に終わってしまう可能性が高いので、社内のリソースに合わせて実現できる住客戦略を考えたうえで、それに適合した集客施策を実行してください。