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3C分析のやり方 競合の分析を工務店の戦略策定に生かそう

3C分析とは自工務店を取り巻く環境を分析して、自社が行うべき戦略を立案するためのフレームワークです。

3CのCとはCustomer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の略称で、これら3つを分析することにより、自工務店の強みが見えてきます。

本コンテンツでは3C分析とは何か?具体的にどのように工務店が3C分析を実施すべきか?またその場合の注意点は何なのかについて説明します。

参考:工務店の集客戦略の立て方

本コンテンツで学習できること
  1. 3C分析とは何か
  2. 工務店が3C分析を行う際のポイント

本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。


3C分析とは?

3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の3つについて分析する方法です。3つの頭文字をとって3C分析と呼びます。事業戦略やマーケティング戦略を決定する際などに用いられます。

自社の強み、アピールポイントを探す場合は、ただ自工務店が強みだ!と思っているものを探しても意味がありません。

その強みはもしかしたら他の競合も持っている、もっと強い競合が存在するかもしれません。また、そもそも強みと思っていても顧客や市場にとって、それは重要ではなくて対してアピールポイントにならない可能性もあります。

このような可能性を排除するためにも、自工務店の強み、それを元にした戦略立案は、顧客・市場、競合、自社の3つの要素から戦略を考える必要があります。

Customer(顧客・市場)

Customerは顧客・市場のことを指します。

工務店の場合、顧客・市場を分析するためにはまず商圏範囲の設定が必要です。商圏範囲とは工務店がサービスを提供できる範囲のことで、これが決まらないと顧客の範囲も競合も決定できません。

商圏範囲が決まれば、商圏内の注文住宅やリフォームの市場規模、その推移の予想、どのようなお客様が多いのかデータを探してください。

代表的な住宅に関する統計としては、国土交通省の「住宅着工統計」や「住宅市場動向調査」などがあります。また、市町村の人口動態や世帯数などは厚生労働省の「人口動態調査」などから確認できます。

ただし、これらの統計だけ分析しても具体的な工務店を良くするアイデアは出ません。アイデアを出すためには定量的な数字だけではなく、顧客との会話や業界新聞、同業者との情報交換で得られる「こういった設備が流行っている」「こういうことを考える施主様が増えた」といった定量的な情報も重要です。

Competitor(競合)

Competitorとは競合のことを指します。工務店・ハウスメーカー・ビルダーは全国に3万社以上存在すると言われているので、おそらく自社の商圏範囲に限定しても多くの工務店が存在しており、調べきれないケースも多いと考えられます。

そういったケースは顧客ヒアリングを行うなどして相見積もりになりやすい工務店、お客様からよく名前を聞く工務店など4~5社程度を競合として考えれば良いです。

競合に関する情報はどれだけ調べても調べきったということはありませんが、主要な集客経路、開催しているイベント、販売している住宅のテイストや価格帯、施工実績といったことは調べておくべきです。ちなみに一見もっともらしく見えますが、売上や営業利益といった財務データは戦略を考える際にはあまり役に立ちません。

顧客の情報はインターネットや販促物からでも充分調査可能ですし、工務店によっては覆面調査を実施して競合のサービス品質を調査している場合もあります。

Company(自社)

Companyは自社のことを指します。顧客と競合のことが分かっていれば自然と自社の強みは理解できます。

この時に注意したいのが、市場や競合を分析した結果、自社の強みがないかもしれないとなったケースです。

この場合は、住宅を建ててくれた人がなぜ自工務店を選んだのかについてヒアリングが必要です。

ヒアリングしても強み・アピールポイントがない場合は、ないという仮定の上で、どのような工務店になりたいのかを考えてください。

3C分析の活用方法

3C分析を活用する際は「競合のポジション・強みを理解する」「自社の強みを理解する」「強みを作る」の3つのステップが必要です。それぞれのステップについて解説します。

競合のポジション・強みを理解する

3C分析では、市場→競合→自社の順番に分析する方が良いでしょう。市場が決まらなければ競合が決まらないし、競合と比較しなければ自社の強みが理解できないからです。

市場が決まった前提で行うべきなのが競合のポジション・強みを理解することです。この際に注意したいのが、消費者の目線で強みを見ることです。

例えば、「売上〇〇億円で、地域の注文住宅シェア30%を誇る、エリアトップのビルダー」という競合の強みを分析したからといった、この分析からどうやってこの工務店に勝てるかは見えてきません。

一方で、「ローコスト住宅に強みを持っていて、口コミ中心で販促費にはほとんどお金をかけてない」といった競合の場合は、「ローコスト住宅合戦をしても仕方ないので高価格帯の住宅を提供しようか」「競合が口コミ中心ならWeb販促に予算を投下してみようか」といった方針が立てられます。

あくまでも競合のポジション・強みは消費者にどのように見られているか、どのようにアプローチしているかという視点から分析してください。

自社の強みを理解する

競合の強み・ポジショニングがだいたい理解できれば自社の強みやポジショニングを考えましょう。

先に自社の分析をやってしまうと、競合のポジショニングが自社分析に引っ張られてバイアスがかかってしまうケースが多いので、競合→自社の順番が多いです。

ポジショニングがかぶっていないのであれば、自工務店はその強みを活かしていくべきです。一方で似たような工務店が存在する場合は少しポジショニングをずらすか、強みを伸ばしたり、競合が弱い所を包み込んで圧倒するかを考えなければなりません。

強みを作る

競合に勝る強みが既にある場合はそれをもっと伸ばす、競合に負けそうな場合は少しポジションをずらして強みを伸ばす必要があります。

強みを作る・伸ばすためにはその強みが作れる・伸ばせるものである必要があります。

たとえば、工務店で取り扱っているキッチンメーカーの数を一番増やす、太陽光発電システムの施工単価をエリアで一番安くするといったことは強みを作る、伸ばすことにつながります。

一方で、「エリアで一番の施工実績にする」、「施主様の満足度を高める」といったことは、強みではなくて強みを持ったからこそ発生する実績です。

作れる強みとその結果発生する実績は区別して、どのような強みを作るかを考えてください。

3C分析を行う際のポイント

3C分析は単純なようで奥が深く、無計画に分析していると結論が出ない、役に立たないといったことが発生します。こうならないためには次の3点に注意してください。

完璧を求めすぎない

3C分析は数学のように公式に当てはめれば、一律で同じ解が導き出される手法ではありません。顧客、競合、自社を分析する際の情報を一つとっても完璧に情報を揃えるのは困難ですし、分析者の経験や価値観によっても結論が変わることがあります。

重要なのは分析結果をもとに戦略を立案して試してみることなので、完璧な結論を出そうとせずに、ある程度確からしい結論に至ればそれをベースに戦略を立案・実行した方が良いです。

分析しただけではなく戦略までつなげる

3C分析をしただけで満足して、戦略に繋がらないといったケースもしばしば存在します。こうならないためには常に具体的な結論を導き出すことを意識してください。

分析した結果、「自工務店はイベント集客が強い」ことが分かってもこれだけでは意味がありません。

イベント集客に強いなら、同じイベントの開催頻度を増やすか?バリエーションを増やすか?、チラシの配布エリアを増やすか?orメールマガジンを送れる読者を増やすか?など強みを伸ばすための戦略は一つとは限りません。

しかし、具体的な方針を立てなければ前に進めないので、分析した後は必ずそれに対応した方針が必要です。

3C分析は何回か繰り返して価値が出る

3C分析は何回か繰り返して価値が出る分析です。

市場→競合→自社の順番で分析すると、自然と「自社の強みって市場でどのように受け入れられるだろう」「これが強みだとすると似たような強みを持った競合が存在するのではないか」といったように、再び市場、競合のことが気になり始めます。

納得のできる結論を得るためにも、3C分析は一周だけで終わらせずに何回か繰り返すべきです。

3C分析で効率的な集客活動を

工務店の集客活動において3C分析は重要です。3C分析を行うことによって自社の強みが明確になり、商品、集客、営業、施工、アフターフォローなどさまざまな所に活かせるヒントを発見できます。

ただし、3C分析はただの分析手法に過ぎないので、分析結果を戦略レベルのフワッとして結論に落とすだけではなく、さらに踏み込んで自工務店は何をしなければならないのかといった具体的な行動目標に落とし込むことを意識してください。

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