マーケティングにおける重要指標がCPA(Cost Per Action)です。日本語に訳すと「1件当たりの問い合わせを獲得するために必要なコスト」の事を指します。工務店の場合は、契約金額の3%程度になるようにCPAをコントロールしてマーケティングを実施すべきです。CPAの計算方法及びコントロール方法について紹介します。
- CPAとは何か
- 工務店における適正CPAの考え方
- CPAのコントロール方法
本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。
本コンテンツの目次
CPAとは?
CPAとは1件当たりの問い合わせを獲得するために必要なコストのことを指します。工務店やWebマーケティングに限らず、どの業種・販促をする際にも重要な概念でCPAをコントロールできないと会社の利益・業績コントロールが難しくなります。
広告費は高すぎても安すぎてもいけない
CPAに関して注意したいのが広告費は高すぎても安すぎてもいけないことです。
前提:商品1個あたり1,000円 50%が利益、固定費はどの条件でも変わらないとする。
問い合わせが1件発生すると100%の確率で1個商品を販売できるとする。
パターンA:10個販売 CPAは100円
パターンB:20個販売 CPAは200円
パターンC:60個販売 CPAは450円
それぞれのパターンで発生する利益は次の通りとなります。
パターンA:(1,000円/個×50%―100円/個)×10個=4,000円
パターンB:(1,000円/個×50%―200円/個)×20個=6,000円
パターンC:(1,000円/個×50%―450円/個)×60個=3,000円
上記の計算からわかるとおり一番利益が発生しているのはパターンBです。一般的にCPAの基準金額をあげた方が問い合わせ数は多くなりますが、パターンAはCPAを低く設定しすぎたため十分な販売量が確保できなかったパターン、パターンCは販売量を増やすためにCPAの基準をあげすぎて薄利多売になったパターンであるといえます。
このようにCPAはただ低ければ良い、とりあえず高くして問い合わせを増やせば良いというものではなく適正な値があるのです。
工務店の場合も、ただ広告費を下げれば良いのではなく、自社が建てられる年間棟数や確保したい粗利率とのバランスの中で適正CPAを決めなければなりません。
工務店における適正CPAは?
工務店の場合、契約金額の3%程度が広告費になるようにCPAをコントロールするというのが原則です。実際の金額については受注金額の平均単価、営業における成約率が個々の工務店によって大きく異なるので個別にCPAの目安を算出しなければなりません。
例えば、平均契約金額2,000万円、4件問い合わせが来たら1件は平均して成約できる工務店の場合、2,000万円×3%=60万円が1件あたりにかけられる広告費の目安となります。
そして、4件問い合わせが発生して1件成約するので1件あたりの問い合わせにかけられるコストの目安は15万円ということになります。
もちろん、これはただの例なので問い合わせの部分を展示場への来場にするか、資料請求にするかによっても成約率は異なりますし、価格帯の違う複数ブランドの住宅を販売している場合はそれぞれのCPAの目安を算出しなければなりません。
また、自社が建てられる年間棟数いっぱいまで受注できて、事業を拡大する計画もないのであれば目安にこだわらず、十分な仕事量を確保できる範囲でCPAを低下させるのも良いです。
CPAのコントロール方法
CPAは「リーチ単価÷反響獲得率」という式で算出できます。
例えば、1クリックあたり50円でホームページに誘導して、そこから1%の確率で問い合わせが発生するのであれば、50円÷1%=5,000円がCPAとなります。CPAをコントロールする際は、リーチ単価、反響獲得率をベースにマーケティングの仕方を考えます。
リーチ単価がCPAに与える影響
リーチ単価とはユーザーの自身の広告を見せるための1リーチあたりの単価のことを指します。例えば、リーチの定義は広告媒体によって異なりますが、リスティング広告のようにクリック課金の広告は1クリック獲得するのに必要な単価、インプレッション課金の広告は1ユーザーに広告を見てもらうために必要な単価のことを指します。もちろん、「リーチ」の定義の仕方により反響獲得率も変化します。
一般的にリーチ単価に大きな影響を与えるのが広告の競合性です。他の工務店も出している広告媒体程、広告に対する価格競争が発生するのでリーチ単価は上がる傾向があります。また、各媒体の広告の相場観によっても単価は異なります。
CPAを下げたいのであれば競合の少なそうな新しい、ニッチな手法の広告に挑戦した方が良いというのが原則となります。
ただし、一定の問い合わせ件数を獲得するためには競合性の激しい広告手法にも挑戦せざるをえないときもあるので、あえてリーチ単価を上げて広告対象範囲を広くしてでも問い合わせ数を増やすという場合もあります。
反響獲得率がCPAに与える影響
反響獲得率とはリーチしたユーザーから問い合わせが発生する確率のことを指します。反響獲得率に関しては、絶対的に改善した方が良い反響獲得率、必要に応じて下がっても良い反響獲得率の2種類があります。
絶対的に改善した方が良い反響獲得率
バナー広告などでユーザーを誘導したWebページ(ランディングページ)がいまいち、問い合わせフォームが不親切といった理由でユーザーが離脱することがあります。このようにWebマーケティングにおける仕組みが洗練されていないことによって反響獲得率が低い場合は改善が必要です。
ランディングページがお客様に響いておらず反響率は低い場合の対処法は、工務店マーケ内の「LPO(ランディングページ最適化)のやり方」、問い合わせフォームが面倒な場合は「EFO 申し込みフォームを改善する方法」に対策を記載しているので合わせてご確認ください。
必要に応じて下がっても良い反響獲得率
ターゲットど真ん中にアプローチできれば反響率は高くなり、そこからずれるほど反響率は低くなる傾向にあります。ただし、ターゲットを絞れば絞るほどターゲットの数が少なくなるので獲得できる問い合わせ数の絶対値は低下します。
「広告費は高すぎても安すぎてもいけない」の項目でも説明したとおり、問い合わせ数を獲得して利益を最大化するために反響獲得率が低いターゲットもあえて狙わなければならないケースもあります。
契約金額の3%を目安に自工務店が受注できる棟数のキャパシティを勘案しながら、反響獲得率をコントロールしてください。
CPAをコントロールして工務店の収益を最大化する
CPAを下げることによって工務店の収益性は高まります。ただし、収益性のために広告費を絞りすぎてしまうと契約数自体が減ってしまうのでかえって工務店の収益金額を低下させることになりかねません。
効率化できる部分は効率化する前提で、契約金額の3%を一つの目安としてCPAをコントロールしてください。