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住宅営業でも活用したいセールスコーチング(営業コーチング)

営業の世界で近年注目を集めているのが「コーチング」の技術です。

コーチングとは営業マンの指導手法で、ただ営業手法やトークテクニックを伝授するのではなく、営業自身が自主的に考えて営業できるようにサポートする指導テクニックです。本コンテンツでは住宅営業でも活用したいセールスコーチング(営業コーチング)とは何かについて解説します。

本コンテンツで学習できること
  1. セールスコーチングの流れと実施する際のポイント
  2. セールスコーチングに取り組むメリット・デメリット

本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。


セールスコーチングとは?

セールスコーチングとは営業マンの指導方法の一種で営業マンが自発的に営業として成功するようにコーチが面談を通じて営業マンのモチベーションアップや行動変革をサポートするタイプの指導方法のことを指します。

お客様の趣味・嗜好も多様化しているのでただツールを活用して画一的に営業しているだけでは同業他社との差別化が困難で価格競争に巻き込まれやすくなります。セールスコーチングでは営業マンの自主性や潜在能力を引き出して、自律的に行動できる営業マンを育成することによって価格競争を避け、業績を伸ばそうとします。

コーチングとティーチングの違い

コーチングとの対比で従来の指導方法は「ティーチング」と呼ばれます。ティーチングとは営業トークの展開の仕方や住宅に関する知識などを上司や指導役が教えその通りに実行させようとすることによって営業の能力を高めようとするアプローチです。

もちろん「コーチング」と「ティーチング」どちらのアプローチが正しいのかは一概には言えません。例えば、新卒で住宅営業として働き始めて右も左も分からない営業にはまずティーチングによって営業の基礎をつくらなければなりません。一方で中堅の営業マンで一通りのことができて知識はあるけれども伸び悩んでいるといった場合はコーチングの方が有効です。

住宅営業を育成する際はどちらかのアプローチに偏ることなく営業のステージによって育成手法を振り分けてください。

セールスコーチングの流れと実施のポイント

セールスコーチングは住宅営業とコーチの定期的なミーティングによって実施します。ミーティングの長さは短くても良いですが、1週間に1回、2週間に1回といったようにコーチングの頻度が高めに設定した方が成功しやすくなります。

営業マンの現状確認を丁寧に行う

セールスコーチングは営業マンの現状確認からスタートします。

コーチングを開始する際に気をつけたいのがコーチと営業マンの信頼感の醸成です。コーチは営業マンに興味を持って、仕事以外のパーソナリティにも触れる必要があります。例えば、将来的にどのように働きたい、人生の目標は何か、プライベートを含めて今何に悩んでいるのかなどその営業の全人格に興味を持って接してください。
その際に気を付けたいのが尋問のように接しない、ヒアリングした情報について論評を加えないことです。

「〇〇はどうなの?」「〇〇はどうなっている?」のようにコーチにひたすら質問をされても営業マンは息苦しく感じるのでコーチは自己開示をしながら営業マン個人に色々な情報開示を促します。

また、論評しないことも大切です。「営業としてそんなこと位で悩むべきではない」「僕はその考えは違う」といったように特に信頼関係が醸成されていない段階で否定的な評価をするとその後のコーチングに支障をきたすかもしれません。

ゴールを具体的に設定する

営業マンとの現状確認および信頼関係の醸成が進めば、その営業マンがゴールとして何を設定するのかを相談します。

「ゴール」と抽象的に表現していますが、単純に年間販売棟数や売上のような営業っぽい目標設定をしても良いですし、営業の先行管理ができる、住宅営業の一連の流れを覚えるといった短期的なスキルや知識に関することでも大丈夫です。

重要なのは営業マンが自発的にその目標を設定することです。コーチは営業マンとの面談を通じて、営業が仕事に何らかの目標を持てるようにコーチングを通じてサポートします。

このときにポイントになるのが、目標をコーチが押しつけすぎないことです。コーチが目標を設定するとティーチング的なアプローチとなり、営業マンが自主的に行動するのが難しくなります。コーチ側は根気が必要かもしれませんが、営業マンの話をしながら目標設定のサポートをしてください。

実現する計画を作成する

営業マンが目標を立てれば、その目標をどのように実現するのかコーチが一緒に計画を作成します。「一緒に」といってもコーチはあくまでも補助的な立場なので計画は営業マンがベースになって立案すべきです。

営業マンが立てた計画について適宜コーチがフィードバックを与えて、目標達成のための課題やマイルストーン、使用できる社内の資源などを整理してください。

計画すること自体が目的ではなく、営業マンが何らかの目標を設定してコーチと二人三脚で取り組むという行為自体が目的なので、それほど厳密に詰める必要はありません。なんとなく目標を達成できそうな計画になっている、それによって営業マンのモチベーションがあがるのであれば多少甘い計画でも容認すべきです。

定期的に振り返る、フィードバックする

立てた計画をもとに、定期的に進捗状況を振り返り、コーチが営業マンにフィードバックを与えます。フィードバックを与えるといっても「あーしろ、こーしろ」と具体的な指示を出すと営業マンは成長しません。営業がなぜ成功、失敗したのか、この状態で良いのかを反省するヒントをコーチは与えてください。

あまりセールスコーチングのミーティングを増やしすぎると業務に支障をきたしますが、ミーティングの頻度は高い方が効果的です。もちろん話し合いの結果、目標を軌道修正したり、別の課題に取り組むことになるケースもあります。

これを繰り返すことによって、自分で考えて行動できる営業マンを育成します。

セールスコーチングに取り組むメリット・デメリット

上記がセールスコーチングの大まかな流れになりますが、セールスコーチングのメリット・デメリットを整理すると次のようになります。

メリット1:自律した営業マンを育成できる

工務店の規模を一定以上に拡大しようと思えば、自律的に考えて営業できる住宅営業担当者育成は必須の課題となります。ただし、自律した営業担当は営業管理やマニュアルのような工務店のインフラを整備するだけでは育成できず、その個人が住宅営業として自主的に行動することを促す必要があります。

セールスコーチングはまさに自律的な営業担当者を育成するための手法なので、取り入れることによって工務店の規模拡大に寄与します。

メリット2:組織としての一体感が高まる

セールスコーチングは現場の社員の能力を高めるだけではなく、組織としての一体感を高める効果が期待できます。コーチと営業マンが頻繁にミーティングを行うことにより単純に接触回数が高くなりますし、共通の目標を達成するために二人三脚で取り組むのでつながりも強くなります。

デメリット1:コーチ役の育成が難しい

セールスコーチングにはコーチ側の技量が求められます。単純に上司、部下で面談を繰り返すだけではやらされ感の強いミーティングになり、自律的な営業マンが育成できない可能性があります。

コーチ側となる上司やメンターは営業マンを見守りながらも自主性を引き出し、ときに的確なアドバイスを与えられるように訓練を積まなければなりません。

デメリット2:通常業務に割く時間が少なくなる

セールスコーチングを業務に取り入れると、相対的に通常業務に避ける時間が短くなります。コーチングはただ教えるのではなく、営業マンに自分の問題や解決策に気づかさなければならなのでティーチングよりも時間がかかりやすいからです。

コーチングに時間を割くあまり通常業務が回らなくなるのは本末転倒なので、前提として営業業務の効率化を行っておき、コーチングの時間を捻出できるようにします。

参考:建設DXとは?-住宅営業・マーケティングに与える影響
参考:住宅営業の効率化!工務店のヨミ表活用術

コーチングと1on1

本コンテンツではセールスコーチングについて説明しますが、営業に関わらずさまざまな業務でコーチングの効果が注目を集めています。特に近年は1on1という上司(コーチ)と部下が2週間や1か月に1回、1時間程度面談して、コーチングによって部下を導いていこうという人事制度を導入する企業が増加しています。

本コンテンツで書いている内容に関して目標設定などを変更すればそのまま施工管理や営業事務などにも適用できるので、セールスと合わせて他の部門への適用も検討してください。

セールスコーチングで営業に強い工務店組織を作る

セールスコーチングを導入することにより工務店の営業部門を自律的に行動できる強い営業組織に強化できます。

ただし、コーチングを実現するためにはコーチングができる人材の育成、営業業務と両立できるように業務効率化を追求するといった準備に投資をしなければなりません。中途半端にセールスコーチングを導入しようとするとただコーチと営業マンが定期的にミーティングしているだけになり効果も薄くなるので、導入するのであれば本格的に人材育成や業務改善に投資を行うべきです。

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