一昔前のリフォーム会社といえばチラシによる反響営業、さらにその前は飛び込み営業により案件開拓していくスタイルが主流でした。このように業界の集客トレンドは変化しているのですが、近年主流になっているのがWeb集客です。Web集客にはSEO対策、PPC広告、SNS、プラットフォームなど様々な手法が存在しますが、本コンテンツではとくに中長期的に取り組まなければならないSEO対策について紹介します。
- リフォーム会社にとってSEO対策が必須である理由
- 効果的なキーワード選定方法
- 成果につながるコンテンツ制作の具体例
本コンテンツの学習にかかる目安時間は5~10分程度です。
本コンテンツの目次
なぜリフォーム会社がSEO対策を実施するべきなのか？
さまざまなWeb集客策の中でも特に中長期的に取り組まなければならないのが、SEO対策です。リフォーム会社がSEO対策に取り組むべき理由は次の3つです。
リフォーム会社間の集客競争を勝ち残るため
飛び込み営業やチラシといった集客施策と比較するとWeb集客は商圏が曖昧になります。そのため過当競争になりやすい傾向にあります。そのため、Web集客はただやれば良いというわけではなく、中長期的な戦略を立てて取り組まなければなりません。
このときに中長期的に取り組むべきWeb集客施策がSEO対策です。どうしてもPPC広告のように簡単に参入できる広告施策は即効性もあるのでさまざまなリフォーム会社が実施しています。一方でSEO対策は中長期的な取り組みが必要である、成果が出るまでコツコツとコンテンツを充実していかなければならないので、中長期的な集客戦略がないリフォーム会社は取り組まない、取り組んでいても中途半端になる傾向があります。
よって、中長期的にリフォーム会社間のWeb集客に勝ち残るためにはSEO対策が必要です。
会社にきちんと利益を残すため
Web集客は過当競争になりやすいことと関連して、リフォーム会社がきちんと利益を残すためにもSEO対策は必要です。
過当競争になりやすいということは、それだけ1件当たりの工事を獲得するコストも高騰しやすい傾向にあります。そのため、有料のWeb集客施策を活用する場合は、広告にかかるコストを見定めたうえで、それを支払ってもきちんと利益が残るようなサービスメニュー作り、施工体制を構築する必要があります。もちろん、ユーザー側からすればリフォーム会社間の価格比較が容易なため、価格競争にもさらされる傾向があります。
こういったことを考慮すれば、できるだけ相見積もりになりにくい、広告費のかからないWeb集客施策に取り組んだ方が結果として会社にきちんと営業利益を残せるようになります。こういった集客体制を作るためにもSEO対策は必要です。
新規参入企業との競争に備えるため
人口減少により着工棟数が減少、新築住宅に関しては今後マーケットの縮小が強く予想されますが、リフォーム業界は住宅業界のなかでも成長が期待されているマーケットです。リフォーム産業新聞によるとリフォーム市場は2023年度時点で6.2兆円でまだ拡大傾向にあり、潜在的には全世帯の6割超がリフォームのニーズを抱えているとされています。
そのため近年は異業種からのリフォーム業界への参入が増えています。たとえば、ヤマダデンキやエディオンといった家電量販店、ニトリや良品計画のようなインテリアショップ、カインズのようなホームセンターなど住宅に関連したさまざまな業界の大手企業もリフォーム業界に参入しています。
こういった大手新興リフォーム会社と差別化して、問い合わせを獲得できるポジションを築くためにもSEO対策によって安定してWebから問い合わせを獲得できる仕組みづくりが必要です。
リフォーム会社が対策するべきキーワード選び5原則
リフォーム会社がSEO対策を実施するべきだとして、具体的にどのようなキーワードでの検索順位上位を狙えば良いのか、5つの原則について説明します。
基本的には2語、3語のスモールキーワードを狙う
リフォーム会社が狙うべきキーワードとしてすぐに思い浮かぶのは「リフォーム」や「リノベーション」といった月間数万回以上検索されているビックキーワードです。
しかし、中小工務店の場合こういったキーワードを狙わない方が良いです。こういったキーワードは全国商圏で活動している大手リフォーム会社やプラットフォームも狙っているキーワードなのでSEO対策に非常に手間がかかる、中小リフォーム会社のリソースだとそもそも上位獲得ができないケースが多いからです。
基本的には「リフォーム 江戸川区 評判」のように2~3語がつらなる、キーワードボリュームが数百程度のいわゆるスモールキーワードを狙うのがオーソドックスな中小リフォーム事業者の戦略です。
地域名を絡めたキーワードを狙う
「リフォーム 神戸市」のような「狙いたいキーワード+地域名」で狙うキーワードを決めるのが中小リフォーム会社においてまず実施するべき戦略です。通信販売のように全国商圏を相手にしている商売ではなく、リフォームは基本的に商圏が限られた商売です。
よって、自社の商圏範囲に含まれている市町村名を検索キーワードに盛り込むことにより検索ボリュームを少なくして上位が取れそうなボリュームまでレベルを下げる必要があります。こうすることによってリフォームやリノベーションといった仕事に繋がりそうで競合が強そうなキーワードでも上位表示が狙えるようになります。
自社が得意なリフォームと連動したキーワードを狙う
自社が得意な領域に関連するキーワードを狙う方法も有効です。たとえば「北欧風 リノベーション」「即日工事 キッチン」のように自社が得意としているテイストや自社に頼むメリットに関するキーワードをリフォーム需要がありそうなキーワードと組み合わせることにより効果的なSEO対策が可能です。
他にも安価な工事が特徴のリフォーム会社は「最安値」「安い」といった言葉をリフォームや内装工事といったキーワードと絡めれば良いし、アフターフォローが充実しているリフォーム会社は「●年保証」「定期点検」といったキーワードのコンテンツを用意すると良いでしょう。
もちろん前提として自社の得意な領域を明確にできていないとこういったキーワード選定ができませんが、こういったキーワードを明確にすることにより自社にあった顧客を獲得できる可能性が高まります。
ニーズ系のキーワードを狙う
上の2つと比較すると少し難易度は高いですが、ニーズ系のキーワードを探す方法もあります。ニーズ系のキーワードとは「風呂場 寒さ対策」「キッチン 効率化」のように潜在的にリフォームを求めているかもしれない人が検索していそうなキーワードのことを指します。
具体的にどのようなキーワードで検索しているユーザーがリフォームを潜在的に求めているか、想像力や観察力が必要になりますが上手にキーワードを見つけると競合するリフォーム会社がほとんど発生しません。キーワードボリュームが小さいキーワードであってもリフォームの潜在的なニーズが強そうなキーワードであれば、結果として多くの問い合わせを獲得することも可能です。
リフォーム箇所を細かく設定する
「リフォーム」「リノベーション」などのように大きな分類のキーワードでSEO対策しようとするよりも、キッチン、トイレ、薪ストーブのように場所や設備を限定したキーワードを狙った方が、検索ボリュームが少ないので競合が少なく、よりユーザーのニーズをピンポイントで抑えたSEO対策ができるようになります。
コンテンツを作る先はリフォーム全般ではなく、できるだけユーザーにニーズがありそうなピンポイントの設備は場所のキーワードを狙うべきです。
リフォーム会社が制作すべきコンテンツ例
制作すべきコンテンツは狙う検索キーワードによって微妙に異なります。では、以上の原則を踏まえてどのようなコンテンツを作成すれば良いのかについて解説します。
検索キーワードから作成すべきコンテンツは逆算する
コンテンツ制作の前提として、SEO対策のためのコンテンツは狙う検索キーワードから逆算して決定します。検索キーワードごとにその検索キーワードを入力したユーザーの「検索意図」が存在するはずです。そして、この検索意図を理解してそれを満たすようなコンテンツを用意することがSEO対策の本質的な手法です。
よって、コンテンツを作成する際には、そのキーワードで実際どのようなコンテンツが上位に来ているのか、どのような内容が記載されているのかを確認してください。
施工事例系のコンテンツ
まず制作すべきコンテンツとして挙げられるのが施工事例です。どこのエリアでどのようなニーズのお客様にどのような工事を実施したかを記載します。
施工事例コンテンツの優れていることは、現場の人間でも比較的制作しやすい事、ニーズ系キーワード、地域系キーワードを自然な形で挿入しやすい点にあります。
例えば後述するようなライフハック系のコンテンツの場合、リフォーム工事とは違う一定の知識が必要になるので社内で全部コンテンツを作成するのが困難なケースも存在します。一方で施工事例系のコンテンツは社内でお客様のニーズも聞き取りしているし、自社で施工している、なにより専門知識を持ったリフォーム工事に関することなので社内でも作成しやすいです。しかも施工事例を紹介する文章には自然とどこのエリアで発生した工事なのか、お客様がどのようなニーズを持っていたのかを自然と文章に挿入できます。
ライフハック系のコンテンツ
ニーズ系のキーワードを狙うのならばライフハック系のコンテンツを制作するべきです。ライフハック系のコンテンツとは日常生活に関する住宅へのお悩みを解決するようなコンテンツのことを指します。必ずしもリフォームにつながるコンテンツにする必要はありません。たとえば「キッチン収納アイデア7選」「初心者向け！DIY便利グッズ紹介します」といったコンテンツがライフハック系のコンテンツに該当します。
ライフハック系のコンテンツのメリットは潜在的なリフォームのニーズを抱えているユーザーにリーチできることです。住まいに関して何らかの不満を抱えている人は、その解決策にリフォームがあることに気づいていない人も多いです。こういったニーズが顕在化する前のユーザーを囲い込むことによって価格競争を回避できます。
費用・選び方のコンテンツ
リフォームのニーズがすでに顕在化している顧客を狙う場合は費用・選び方に関するコンテンツを用意すべきです。たとえば「リフォーム 最安値」「キッチン リフォーム業者 選び方」のようにリフォームやリノベーションのようなビックキーワードやキッチン、風呂といったリフォーム箇所と費用・選び方に関するキーワードを組み合わせることによってさまざまなコンテンツ案を創出できます。
また、自社の強みが費用、選び方に関するキーワードに含まれているとなお良いです。たとえばスピーディーな対応が強みのリフォーム会社は「手すり取り付け 即日工事」といったように即日工事といったキーワードでコンテンツに集客、そこから仕事に繋げるべきです。
こういったコンテンツのメリットはすでに顕在化しているリフォームのニーズにアプローチすることで、キーワードと自社の強みが上手くはまれば多数の問い合わせ獲得を期待できます。
その他のリフォーム会社に効果的なWeb集客方法
その他にもリフォーム会社向けの効果的なWeb集客は数多く存在します。工務店マーケ内に掲載されているリフォーム会社におすすめのWeb集客施策について紹介します。
生成AIが誕生した時代のSEO対策
近年SEO対策は不要と言われることがあります。検索エンジンを使うのではなく、ChatGTPやGeminiといったAIを活用して色々な調べものをする人が増加することが予想されているからです。
しかし、こういった時代でもリフォーム会社にとってSEO対策が必要なことに変わり有りません。AIが答えを出力するために必要な情報はインターネット上のデータを引用しているし、一般的な質問ならともかく具体的なリフォーム会社選びにおいてはまだまだ検索ニーズが存在するからです。
むしろ近年はAIを活用したSEOライティングが注目を集めています。ネットの記事を引用しているだけなのでコピペとして扱われる可能性もあるし、ハルシネーション(AIが勘違いを起こして、間違った内容の回答を行うこと)も発生する可能性があるので、最終的にはまだまだ専門家の目は必要です。ただし、SEO対策のためには大量のコンテンツを用意しなければならないケースも多いので、こういった際に上手にAIを活用してSEO対策を実施する事業者も増加してきています。
リフォーム会社はSEO対策に取り組むべきである
以上のようにリフォーム会社のSEO対策について紹介してきました。今後競争激化が予想されるリフォーム業界において有料広告一辺倒で集客していると、広告費に利益が圧迫され、結果として収益を創出できないといったケースが大いに考えられます。
そういった事態を防ぐためにも中長期的な施策として特に中小のリフォーム会社こそSEO対策に取り組むべきです。
