工務店にとって営業担当はお客様との窓口として、売上アップのために重要な役割となります。近年はWebサイトやイベントなどで集客し、見込み顧客づくり自体は会社で主導するケースも多々ありますが、その見込み案件を成約させるのかは、いまもなお住宅営業の能力に大きく依存します。住宅営業において売上をアップさせるための7つの秘訣について紹介します。
本コンテンツの目次
営業における「住宅営業」の特殊性
住宅営業といっても営業の一種には違いないので、住宅営業においても一般的な営業テクニックは有効です。ただし特に工務店の場合は扱う商材自体が特殊なので次のことには注意すべきです。
- 数千万円から時には1億円を超える買い物になるので顧客は慎重に検討する
- 土地探し、資金の用意など実際に家の内容を決めるまでに整理すべき事項が多い
- 特に注文住宅の場合は、間取り、設備、素材などを含めてバリエーションが多い
これらの性質から住宅営業は一般的な営業と比較すると腰を据えた丁寧かつ粘り強い営業が求められます。お客様に納得しながら商談を進めながらも、お客様の要望に振り回されない営業としての能力が試されます。
秘訣1:アイスブレイクを十分に行う
住宅はカスタマイズ性の強い商材です。そのカスタマイズ性の高さゆえに、「誰がどのような提案をしてくれるのか?」が商談を進めるうえで重要な要素となります。
このときにポイントになるのは「誰が」の部分で、初期段階で営業担当との信頼関係が構築できていないと商談は進行しません。お客様に信頼してもらうためにはアイスブレイクの段階でいかにお客様と親密な関係性を構築できるかが重要です。
信頼関係が醸成されていないのにいきなり住宅の仕様の話などに入ると、お客様のニーズが十分に拾えない、営業担当側の提案が通りにくいといったことはよくあります。例えば、共通の話題を探したり、自身のプライベートな情報をさらけ出したりといったように先にお客様との関係性を構築するためのトークを行った方が良いです。
秘訣2:接触頻度を増やす
住宅営業では長い商談期間中、常にお客様との信頼関係を維持し続けなければなりません。営業としてのコミュニケーション能力によってもお客様との関係性は変わりますが、もう1つの重要な要素は「接触頻度」です。
話術はいまいちであっても、常にお客様のことを気にかけている、邪魔にならないように接触している営業はお客様から好かれる傾向にあります。
例えば、OB顧客への訪問会、良い土地探し勉強会といったイベントに誘導したり、会った後はお手紙を送ったりして、長い検討期間の間にお客様と接触しつづける工夫が求められます。
秘訣3:お客様が住宅での生活をイメージできているかをチェックする
住宅営業の場合、営業している段階では販売する家の現物を見せられませんし、一生に一度の買い物だといわれているのでお客様も購買経験がほとんどありません。
よって、営業マンが一生懸命説明しても、専門用語を交えた難解な説明が入っていたり、具体的な使用感の説明や事例写真などが不足していたりするとお客様はイメージができずに商談が前に進まない、こちらの提案が受け入れられない可能性が考えられます。
お客様がその住宅で生活することをイメージできているかをチェックしながら営業するのは住宅営業にとって重要です。
例えば、写真やサンプルを元に素材や設備などについてお客様に理解しやすいように説明したり、「モノ」そのものではなく導入すると生活がどのように変化するのか「コト」ベースで商品説明をすることがお客様にイメージさせる際のポイントとなります。
秘訣4:営業工程の管理を丁寧に
土地探し、資金の用意、住宅の仕様の決定、各種見学など住宅を購入してもらうまでには多くの工程があります。また、営業担当、設計、実際に建築するスタッフなど多くの関係者との調整も必要になります。
このときに発生しがちなのが、お客様に案内すべき情報が案内できていなかった、社内の連携が取れていなくて設計担当に頼んでいた設計図が修正されていなかったなどの単純ミスです。もちろん、単純ミスが多くなるほどお客様は不信感を抱きます。
営業における工程も関係者も多い住宅営業だからこそ、営業工程の管理は丁寧にしてお客様とのコミュニケーション履歴が誰もが分かるように保存しておくべきです。
特に近年はSFA/CRMツールなどと呼ばれる営業状況や顧客を管理するツールも充実しているのでこれらの導入が近道ですが、一定の年間棟数をこなしている工務店でないとコストパフォーマンスは悪いと考えられます。
営業状況チェックシートを作成して、お客様に案内すべき情報をチェックリストとして管理する、日報で会社に進捗状況を共有するなど地道な営業工程の管理、報告の仕組み作りが必要です。
秘訣5:勇気をもってクロージングする
住宅のような高額商品の場合、「失敗したくない」という気持ちからついクロージングをする際に腰が引けてしまいズルズル商談が長引いてしまうことがよくあります。クロージングする際は断られることを覚悟したうえで勇気をもってクロージングすべきです。
もちろん、勇気をもってクロージングすべきというのは、いかなる状況でも一定期限がすぎればクロージングして良いというわけではありません。クロージングは最後の一押しでしかないので、それまでにいかに外堀を埋めているかは重要です。
外堀が埋められたと思った状態で失敗した場合はクロージングそのものではなく営業の過程に原因があることが多く、相見積もりを取られている場合はずるずる商談を引き延ばしていると先に競合にクロージングされて失注となることも考えられます。
お客様との関係性づくり、自社の建てる住宅の魅力の説明、お客様への提案内容など、すべて外堀を埋められたと思えば金額のようなお客様にクロージングしにくい要素を含めて勇気をもって提案すべきです。
秘訣6:社内との関係性を円滑にする
営業する際に意外と重要なのは社内との関係性づくりです。住宅営業の場合はお客様の要望に合わせて多くの関係者が動くので、その関係者との連携は営業力に大きく影響します。
例えば、お客様の難しい質問をされて相談したい場合、自身の連絡ミスでスタッフに早急に対応してもらいたい案件が発生した場合、クレームに対応するために自分以外にもサポートして欲しい場合など住宅営業をしていると自分以外の同僚の手を借りなければならない瞬間が多々あります。
特に新人営業の場合は、知識が不足していたり、経験不足からトラブルが発生して対応しなければならなくなったりと社内の同僚の力を借りなければならないことがあります。お客様に営業するのと同じくらい社内営業には気をつかうべきです。
秘訣7:日々、住宅に関する知識を磨く
秘訣1から6はやや営業テクニック的な秘訣ですが、本質的には住宅営業は一日にして成りません。住宅に関する知識は多岐にわたりますし、技術も情報も日々進歩しています。
これらの知識がなければお客様を納得させる提案はできませんし、商談でも自信なくお客様に提案することになるので、成約率は下がってしまいます。
日々、住宅に関する知識を磨くことが営業における自信とお客様の安心感につながるので、いたずらにテクニックで成約率を高めようとせずに、住宅営業の幹を太くすることを意識して日々業務に励んでください。
7つの秘訣で住宅営業を成功させる
7つの秘訣をもう一度まとめると次のようになります。
- 秘訣1:アイスブレイクを十分に行う
- 秘訣2:接触頻度を増やす
- 秘訣3:お客様が住宅での生活をイメージできているかをチェックする
- 秘訣4:営業工程の管理を丁寧に
- 秘訣5:勇気をもってクロージングする
- 秘訣6:社内との関係性を円滑にする
- 秘訣7:日々、住宅に関する知識を磨く
住宅は一生に一度の買い物かつ、営業段階では目に見えない商品なのでお客様との関係性づくり、スタッフ一丸となってお客様に向き合える連携力が営業の際のポイントになります。お客様からも社内からも応援されるような営業マンになることを意識して住宅営業として業務に取り組むことが成約率を高めるための近道です。