
本コンテンツではリフォーム会社の集客について網羅的に紹介します。
今のリフォーム集客は、そのリフォーム会社の強みを明確にしたうえで、顧客がリフォーム会社を知って工事、アフターフォローを受けるまでの一貫したストーリーが感じられ、なおかつWebをコミュニケーションの中心に据えている会社の方が成果を出しやすい傾向にあります。
本コンテンツでは、具体的な集客施策なども例にだしながら、リフォーム集客の戦略について解説します。
参考:リフォーム会社の広告集客
参考:【2025年8月更新】リフォーム会社のSEO完全ガイド
- リフォーム業界の集客の歴史と、Web中心へと移行した最新の潮流
- 成果を出すための「強みの明確化」「一貫した顧客ストーリー」「Webを起点とした施策設計」
- 広告・ポータル・SEO・MEO・LINEなど、実践的な集客施策の選び方と活用法
本コンテンツの学習にかかる目安時間は10分〜15分程度です。
本コンテンツの目次
リフォーム業界の集客の変化
かつてのリフォーム集客
現代のリフォーム集客の基本戦略を説明する前に、まず簡易的にリフォーム業界の集客の歴史について紹介します。
1990年後半から2000年代初頭、インターネットが普及する以前、リフォーム業界においては飛び込み営業が全盛でした。当時は飛び込み営業による規制がまだ緩くアウトバウンド型(リフォーム会社が積極的にお客様を見つけに行くスタイル)が有効でした。しかし、飛び込み営業自体がお客様から印象よく思われないことから、一部の事業者はリフォーム展示場を集客の基軸として、そこにイベントやチラシなどで集客して、展示場で接客をして注文を獲得するスタイルに切り替えました。(これをインバウンド営業と呼びます)
こうしたインバウンド型の営業は今もなお有効な手法ですが、集客の手法は当時と変化しています。当時のこういった集客方法は新聞折り込みチラシやポスティングが主流でしたが、現在はスマートフォンの普及により集客手法の中心がWeb施策に移行しているのです。
今リフォーム集客が上手くいっていない会社の傾向
このようなリフォーム集客の変遷を踏まえて、今集客が上手くいっていないリフォーム会社としてWeb集客施策を充分に使いこなせていない傾向があります。SNSもやっているし、リフォームポータルサイトにも登録しているし、広告予算だってかけている…でも成果を上げられないという会社は意外にも数多く存在します。
こういったリフォーム会社はWeb集客の方法論ばかりに目がいってしまい、そもそもどのようにお客様を集客して利益を創出するかという戦略論の内容が薄い傾向があります。そのため、Web集客に挑戦しているけど上手くいっていないというリフォーム会社は、まずWeb集客に限定することなく集客戦略全体の見直しに取り組むべきです。
Web全盛時代に求められるリフォーム集客戦略
Web集客に限らず、リフォーム集客戦略全体を立案すべきとして、具体的にどのような戦略を立てるべきなのかは個社によって異なります。そのエリアの状況やそのリフォーム会社の特徴によって最終的な集客戦略は異なるからです。ただし、少なくともリフォーム集客に失敗しないためには次の3点を踏まえてどのような集客を実施するかを考えるべきです。
そのリフォーム会社の強みを明確にする
「地域で圧倒的に価格が安くて、施工品質も高くて、工事も早い」、そんな工務店ならとりあえずお客様を集めればなんとかなるかもしれません。ただし、現実的にはそんな工務店は存在しません。価格、品質、納期はトレードオフの関係にあるからです。(どれかを優先すると他の項目のクオリティが低下する)
そのため、そもそもこのリフォーム会社はどのようなことに強みを持っているのかを明確にすべきです。たとえば、「地域に密着している工務店でアフターフォローが充実している」、「〇〇工事が施工費用コミコミで△△円でできる」など、そのリフォーム会社の強みを整理してください。
そして、できればその強みは競合他社と比較して違いがあるもの、リフォーム会社の仕組みによって担保されているものである必要があります。たとえば、「お客様に真心がこもった工事を提供します」という強みの場合、もう少し上記の2つの基準をもとに分解する必要があります。真心がこもった工事というのは競合他社と比較して満足度調査で高い、低いといったデータの裏付けや真心がこもった工事を提供するために営業・職人はこのようなポイントに気を付けてサービスを提供していますといった具体化が必要になります。
強みを明確にすることは一見簡単な作業に見えますが、具体的にしようとするほど実は奥が深い作業だったりします。ただし、リフォーム集客戦略で重要な要素なのでぜひ強みは明確にしてください。
一貫したストーリーを考える
強みが明確になっているうえで顧客がサービスを受けて代金を支払うまでのストーリーが一貫している必要があります。ポイントはストーリーの解像度です。
たとえば、「チラシで集めたお客様がちょうどキッチンの買い替えをしたかったので、展示場に来店、見積もりを取って翌週に施工、満足いただきお金を受け取った」、どのリフォーム会社でも大筋このような感じのストーリーになるかなと思います。
ただし、集客戦略の質を高めようと思えばこの解像度を高める必要があります。
たとえば、上であげている「お客様」の家族構成・住所・職業・趣味は何なのか?、「満足いただき」の部分は営業のコンサルティング能力なのか、工事の仕上がりの外観なのか機能なのか、それとも職人の温かみのある対応なのか?など、そのリフォーム会社の強みに観点してどのようなストーリーが展開されるのかを具体的に描く必要があります。
このストーリーの解像度が高いほど、集客に限らず会社全体で実施すべきことは明確になります。たとえば、お客様が明確になればどのような手法で集客するのか、どのような接客をすれば良いのかが明確になりますし、満足の部分の解像度を高めれば会社としてどのような教育・評価を従業員にすれば良いのかが明確になります。
もちろん、ストーリーは一つでなくてもかまいません。お客様の層ごとに提供すべきサービスは異なるはずなのでその分だけストーリーは存在すると考えられます。ただし、集客に失敗しているリフォーム会社の傾向として、お客様は色々なパターンが存在することを理由にストーリーが明確になっていない、結果として施策がぼやけてどの客層にも刺さらなくなっているケースが多いので、複数お客様像が考えられるならばその分だけストーリーを描くべきです。
Web系の施策を顧客接点の起点として考える
上記ストーリーに関して特段こうしなければならないというルールはありませんが、そのストーリーは「こういうケースが本当にありそう」と思えるものでなければなりません。たとえば、「突然アラブの石油王が展示場に来て…」のようなストーリーを描いても、おそらく空想過ぎて具体的な施策に繋がらないからです。
よって、ストーリーは現実的に考えるべきですが、とくにWeb系の施策を顧客接点の起点として考えることは重要です。現代の顧客の購買行動においてあらゆる場面でWebでのコミュニケーションが発生すると考えられるからです。例えば、イベントチラシを配布した場合でもどのようなリフォーム会社がやっているどのようなイベントなのかを確認するでしょうし、野点看板を見てリフォーム会社を認知して問い合わせをする場合でもどのようなリフォーム会社なのかネットの評判は軽く調査してから問い合わせをするはずです。
ストーリーを考える際はWeb系の施策が自然な形で接点として盛り込まれている、そのために必要な施策を展開するべきです。
今すぐ成果を出す施策3選
リフォーム会社の集客ストーリーの細かい部分は個社によって異なるとはいえ、オーソドックスな集客施策は存在します。細かいストーリーを抜きにしてすぐに成果を出したいリフォーム会社のために確率が高そうな3パターンの施策を説明します。
Web広告・SNS広告からのリフォーム展示場見学
リフォーム展示場に誘導して、そこで接客をして工事の注文を獲得するのは今もなお有効な手法です。一昔前は折込チラシなどから展示場への誘導も有効でしたがPPC広告(検索連動広告)、SNS広告経由でリフォーム展示場に誘導するパターンも増加しています。
リフォーム展示場に来場したいお客様の中には具体的なリフォームのニーズが顕在化しているお客様も存在しますが、漠然と現在の住環境に不満を抱えているお客様も数多く存在します。こういったお客様を獲得するためにはPPC広告やSNS広告を活用してインターネットでリフォーム事例や最新の住宅設備について調べていると思われるお客様にアプローチすることが必要です。また、できればお客様のニーズに合わせてランディングページ(問い合わせ獲得に特化した1枚物のWebページ)を作成してそこから展示場へ誘導するという流れが綺麗です。
近年は広告設定が簡単になっているのでWeb広告を出稿するだけであれば少し練習するだけで可能です。
ポータルサイトからの高コスパ×分かりやすい商品パッケージ販売
2つ目のパターンとしてポータルサイトからお客様に認知され、高コスパ×分かりやすい商品パッケージでリフォームを販売するというパターンが考えられます。
リフォームポータルサイトでリフォーム会社を探しているユーザーにアプローチするので、すでにリフォームしたいというニーズが顕在化しており最も注文に近い状態から営業をスタートできるメリットがあります。ただし、ポータルサイトを活用しているユーザーは一度に複数社の相見積もりを取得していると考えられるのがデメリットです。
そして相見積もりを勝ち抜くために必要なのが、高コスパであることと分かりやすい商品パッケージであることの2点です。
高コスパというのはそのリフォーム会社のサービスが支払うべき値段と比較すると割安に感じるということを指します。また、ポータルサイトで相見積もりをしているケースは値段の絶対値で比較されるので、単に価格が他社と比較して安いというのも重要です。自社の強みを分析したうえでコストパフォーマンスが高いことを具体的に訴求してください。
パッケージであるというのは工事の内容と価格が明確であることを指します。ポータルサイトを利用しているお客様は価格比較をしたいので、実際に見積もりを取らないと金額は分からない、工事の内容も決定しないというリフォーム会社は避けられる傾向にあります。ある程度、こういう種類の工事ならこの金額で出来るという明朗さが工事獲得のために必要です。
チラシ集客からのリフォームイベント集客
チラシ集客からのリフォームイベントへの誘導、イベントから相談獲得といった昔からある手法はいまもなお注文を獲得するために有効な手法です。その前提で現在は顧客との接点強化にWebを取り入れるリフォーム会社がイベント集客に成功する傾向があります。
たとえば、イベント開催のお知らせをメールマガジンの様な仕組みで自社の顧客プールに配信したり、近隣に住んでいる人や自社ホームページを閲覧している人に絞ってWeb・SNS広告を配信したりして、チラシをメインにしつつ他のWeb系の手段で集客や接点を強化する方法を考えてください。
その他リフォーム会社が取り組むべき広告施策
上記3つ以外にもさまざまなリフォーム集客施策は存在します。本コンテンツでは代表的な4つの指標について紹介します。こういった手法を駆使して顧客が自然な形で工事を発注したくなるストーリーを考えてください。
MEO対策
MEO対策とはGoogleマップに掲載されている店舗情報を整えて、近隣のユーザーが「リフォーム会社」のような検索キーワードで近場のリフォーム会社を検索した際に、Googleマップ上に自社が優先的に表示されるように行う取り組み全般のことを指します。
後述するSEO対策は顧客のニーズに合わせてさまざまなコンテンツを用意しなければならないのに対して、MEO対策はシンプルです。要点を2つに絞ればリフォーム会社の情報をきちんと登録すること、お客様からのレビューを集めることに尽きます。
以下は工務店向けのコンテンツですが、基本的な手法はリフォーム会社も同様なので詳しくは下記のリンクをご確認ください。
参考:工務店のMEO対策
LINE集客
FacebookやInstagramといったSNSが比較的新規顧客獲得のために用いられる傾向があるのに対してLINEはリピート獲得用に使用される傾向が強いSNSです。たとえば、イベント集客に関してメールマガジンのようなシステムを使用することも必要だと説明しましたが、近年はイベント来場者、相談に誘導したいユーザーのLINEアカウントを登録してもらうことに注力するケースも増えています。
LINEのメリットは老若男女問わずにスマートフォンを使用しているユーザーであればほとんどの人がLINEを使用していること、メールやDMなど他のアプローチ方法と比較するとお客様にメッセージを読んでもらえる可能性が高いことにあります。
また、「Lステップ」や「Mico Engage AI」のようにLINEマーケティングに特化したマーケティングサポートツールも提供されています。
SEO対策
SEO対策とは昔から存在するWeb集客の手法です。ホームページ内にリフォームや住環境に興味がある人向けのコンテンツをたくさん用意して、Googleの検索結果からそういったコンテンツへのアクセスを獲得して、最終的にリフォーム工事の注文に繋げる手法のことを指します。
リフォーム会社の集客施策の中でも成果をあげるまでに時間も手間もかかる手法です。ただし、他の集客施策は広告費が必要になるのに対して、SEO対策はコンテンツさえ用意できるのであれば基本的に無料で実行できます。一般的にリフォーム会社に限らずWeb集客は広告コストが高騰
しがちですが、SEO対策経由で注文を獲得することにより広告費抑制、ひいてはリフォーム会社にきちんと利益を残す体質づくりに貢献する施策です。
参考:【2025年8月更新】リフォーム会社のSEO完全ガイド
屋外広告
Web集客が集客の主流になるといっても、特に地方商圏では屋外広告は今もなお軽視できない集客施策です。
都市圏だとさまざまなリフォーム会社が存在するのでインターネットで複数のリフォーム会社を調べてからどこに相談するか決めようとする傾向があります。対して地方商圏の場合はリフォーム会社もそれほど多くないので、「近所を通る時に見かけるあの看板のリフォーム会社に相談してみよう」といった意志決定も往々として行われます。そのため特に地方のリフォーム会社の場合は、大きなリフォーム展示場、幹線道路など目立つ場所に屋外広告を設置している方は良いケースが多いです。
ただし、屋外広告はWeb広告と違って費用対効果を分析するのが困難なので、どこにどの程度のコストをかけて屋外広告を設置するのかは慎重に考えた方が良いです。
戦略的なリフォーム集客で利益を創出するために
以上のようにリフォーム会社の集客戦略について説明しました。Web広告、SEO対策、チラシなどさまざまな集客手法が存在することは周知されていますが、ただWeb系の広告手法を活用しているというだけでは注文を獲得するのは困難になってきています。
本コンテンツではオーソドックスな3つの成果が出やすいパターンについて解説しましたが、中長期的に成果を出したいのであれば、本コンテンツで説明した3つの戦略立案のポイントを踏まえたうえで、その会社なりの集客・利益創出のストーリーから考えるべきです。