建築パースとは建物の外観や室内の様子を立体的に示した透視図です。近年はCGを活用して製作されることが多く、お客様と住宅の仕様・イメージについてすり合わせする際に活用します。
建築パースを住宅営業に活用することにより、受注確度を高め、商談をスムーズに進める効果が期待できます。
- 建築パースの種類
- 建築パースを活用するメリット・デメリット
本コンテンツの学習にかかる目安時間は5分〜10分程度です。
本コンテンツの目次
建築パースとは?
「パース」とは建物の外観や内観を立体的に示した透視図のことを指します。立体的に描写することにより間取り図のような平面図よりもさらに閲覧者に住宅のイメージを分かりやすく伝えられます。また、定められた図法に基づいて描写されるので住宅の様子について一定の正確性があります。
建築パースの種類
建築パースには作成方法別に「手書きパース」「CGパース」「合成パース」の3種類、場所別に「内観パース」「外観パース」「鳥瞰パース」の3種類のパースが存在します。それぞれの建築パースについて解説します。
作成方法別
手書きパース
手書きパースとは人間が手書きして作成した建築パースです。手書きで作成するため完成に時間がかかりますが、詳細が決まっていない状態からでも設計者がイメージを膨らませながら自由に作成できます。
また、CGパースは比較的無機質な印象を相手に与えるのに対して手書きパースは手書き独特の柔らかい雰囲気があり、住宅の住みやすさ、温かみを相手に伝えるのに向いています。商談の初期段階で住宅全体のイメージを話し合う際に活用したいパースです。
CGパース
CGパースとはコンピューターグラフィックの技術を活用して作成するパースのことを指します。
専用のソフトが必要ですが、壁の材質や色味、視点の変更などが簡単にできるためお客様の希望に応じて手書きパースよりも簡単に修正が可能なので打ち合わせの迅速化、提案内容の微修正が必要な際に活用すべき手法です。
合成パース
合成パースとは風景写真に人物やCGパースを合成することにより、ただのCGパースよりも具体的に住宅をイメージしやすくなったパースです。周囲との景観と住宅がマッチするかを気にするお客様向けの手法です。
ただし、CGと現実の風景を組み合わせるので光源の位置やスケール感に気をつけないと不自然な印象を受ける建築パースとなります。
場所別
内観パース
住宅の内観を示したパースです。同じく内観を手法としては間取り図がありますが、間取り図は平面的にしか住宅の中身を見られないので、立体的に作成されている内観パースをもって打ち合わせをした方がユーザーは具体的な住宅に関するイメージを固められます。
必要に応じて、家具やインテリアをパース内に配置したパースを作成すると、さらにその住宅で住むことのイメージをユーザーに訴求できます。
外観パース
外観パースとは住宅の外観を示したイメージ図のことを指します。外観の雰囲気、エクステリア・周辺の風景とのマッチ度合はユーザーにとって重要な関心事なので、その土地に住宅を建てた場合どのような外観になるのかをパースを通してお客様に伝えます。
合成パースで説明したように、光源やサイズ感など周囲の風景と作成したCGのバランス委が悪いと不自然なパースになってしまうので作成の際は注意してください。
鳥瞰パース
鳥瞰パースとは建物を俯瞰するような視点で描かれたパースのことを指します。実際にこの視点から建物を見ることはありませんが、間取り図の立体版のようなパースとしてユーザーに住宅の全体像を示す際に有効です。
提案をまとめる際などには、外観・内観パースだけではなく鳥瞰パースも作成してユーザーに住宅の具ライ的なイメージを植え付けるべきです。
住宅営業において建築パースを活用するメリット・デメリット
住宅営業に建築パースを活用するメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット1:お客様が住宅について具体的にイメージできる
商談を成約させるにあたってはお客様に自身が住みたいと思う住宅像を明確にしてもらうことが重要です。しかし、間取り図などの図面を見てもお客様はそこからどんな住宅が完成するのかイメージするのは困難です。
お客様が住宅の完成イメージを持たないと商談は進められないので建築パースを活用してお客様の目指す住宅像を明確にし、商談を前に進めます。
メリット2:お客様のイメージと実物のミスマッチをなくす
仮にお客様の住宅像が明確ではないけれども成約まで至ったとしても、ミスマッチ問題が発生します。お客様が商談でイメージした住宅像と実際に建てた住宅があまりに乖離していればクレームの原因になりますし、手直しが発生したり、売り上げの回収が遅れたりすることも考えられます。
こういったミスマッチを発生させないためにも建築パースを活用してミスマッチを予防する、もしお客様との認識の齟齬があったとしても書類ベースで事実確認ができるようにすることが必要です。
デメリット1:作成に時間とコストがかかる
作成するのに時間とコストがかかります。そのためお客様の要望をヒアリングしてすぐに建築パースを作成して次の商談というのは難しいです。ただし、住宅営業は数か月に渡って何回も打ち合わせを重ねて、こつこつとお客様の要望を反映した住宅像を明確にしていくものなので建築パースを製作する時間程度は十分に確保できると考えられます。
ただし、社内の建築パースを製作できる人材のキャパシティ管理をしないと、製作の滞りが商談に営業を与えるかもしれませんし、外注するのであれば追加コストが発生します。
デメリット2:専門的な人材の採用・育成が必要
建築パースを製作できる専門的な人材の採用・育成が必要です。もちろんパース製作の手順を知っている、ソフトが使えるというレベルではなく、お客様にパースを通じて工務店の魅力を伝えるためにはそれなりの経験と技術力が必要です。このような人材の確保・育成に手間がかかるのがデメリットといえます。
建築パースを活用して住宅営業の受注率を高める
注文住宅を販売する場合、商談中はまだ家を建築していないので実物を見せることができません。よって、施工事例写真集や建築パースといったツールを活用して、お客様の住みたい住宅像を引き出し明確にすることが商談をスムーズに成約に進めるための重要な要素となります。
建築パースを作成するのには手間がかかりますが、それ相応の受注率アップ効果が期待できるので、商談がある程度進んだお客様に対してはパース提案を実施してください。