工務店イベントの来場者や展示場を見学したお客様から満足度アンケートを取ることがあります。お客様満足度アンケートはただお客様が満足したかをチェックするものではなく、よりイベントの精度を高めたり、営業に活用するためのツールです。なんとなくアンケートを取得している、アンケート結果をまとめただけで終わっているというのはもったいないです。本コンテンツではお客様満足度アンケートの取り方について、特に住宅イベントの振り返りを行う場合を想定して説明します。
- 顧客満足度アンケートをとる目的
- アンケート質問票作成時のポイント
- アンケートでよく使用する質問例
- アンケートに回答いただく際のポイント
- アンケート分析方法
本コンテンツの学習にかかる目安時間は10分〜15分程度です。
本コンテンツの目次
顧客満足度アンケートとは
顧客満足度アンケートとは、工務店の展示場イベントや相談会に参加したお客様に対して行うアンケートです。そのイベントの満足度がどの程度だったのか、改善点はないのかをチェックするためのツールです。
アンケートの方式は特に決められていないので、工務店毎に、イベント毎にさまざまなアンケートシートが活用されています。工務店によってはアンケート回答者に抽選で何かをプレゼントしたり粗品を配ったりすることがあります。
アンケートを考えて、お客様に記入してもらい、集計するのには手間がかかるものです。せっかくアンケートを取るのであれば工務店経営に活かせるアンケートを心掛けるべきでしょう。
アンケートを取る目的
アンケートはただ取得すれば良いというものではありません。漠然と「とりあえずアンケート位取得しないといけないだろう」と、アンケートを取得して顧客満足度が高かったね、低かったねということだけ議論していても効果は薄いです。アンケートを取得する目的としては大きくわけて次の3つが考えられます。
顧客の属性を把握する
年齢、性別、家族構成、集客経路など顧客の属性を把握するためにアンケートを実施します。イベントの集客経路のコストパフォーマンスを分析したり、顧客属性を分析することによりイベントや集客のターゲットを調整するために活用します。
不特定多数が来場するイベントの場合アンケートで情報を取得しなければなりませんが、相談会のようにお客様と対談する時間が十分確保できるのであれば、アンケートを利用せずに会話の中から自然に引き出す方法も考えられます。
住宅イベントの精度を高める
アンケートを実施する目的として住宅イベントの精度を高めることが考えられます。開催したイベントの中で反響の良かったイベントと悪かったイベントを発見して、コンテンツの内容を変えたり順番を変えたりする際に使用します。
イベントをより良くするためにお客様からのアイデアも募りたい、具体的な満足・不満足の理由も知るべきなのである程度自由記述の項目も必要となります。
参考:工務店の集客イベント10選~具体例とマーケティング手法について~
次の営業へつなげる
住宅イベントの後、お客様をフォローして次の営業に繋げるための項目をアンケート内に設置します。住宅相談を希望するか否かを確認する、家を建てたいと思う時期を聞く項目などをアンケート内に設けます。
住宅イベントの後にこのアンケートを元にお客様の住宅購入に関する意欲の濃い・薄いを分類して、フォローの仕方を相談、各営業担当に案件を振り分けます。
アンケート作成時のポイント
「顧客の属性把握」、「イベントの精度向上」、「営業につなげる」の3つの目標がアンケートにはありますが、それぞれの目的を持たすためにアンケートをどのように作成すれば良いのか、作成時のポイントを紹介します。
アンケート作成時のポイントは次の3つです。3つのポイントに共通することはお客様の手を煩わせないようにすることです。アンケートが完成すればそれで終わりにせずに、回答しやすいアンケートになっているかテストしてください。
目的を決め、意味のない質問を用意しない
質問数が多いとお客様は回答に疲れてしまいます。よって、意味のない質問はするべきではありません。意味のない質問とは質問としては一見もっともらしくても工務店側として目的意識を持たずに行っている質問の事を指します。
例えば、「今後もこういったイベントを開催する場合、参加したいですか?」という質問は一見もっともらしい質問ですが、工務店側として次に活かしにくい質問でもあります。同じイベントを開催する際にDMを送るためなら良い質問ですが、集客用のイベントなら再度同じイベントに呼ぶ必要も薄いですし、検討段階を次に進めるようなイベントに誘導すべきです。
このように目的がない意味のない質問は無くして、できるだけ質問内容は少なくします。
質問1つにつき1テーマ、簡潔に聞く
お客様が質問を読んで何を応えて欲しいのか意図を理解できるように質問1つにつき1テーマを簡潔に聞くべきです。
例えば、「本日のイベントで良かった点と改善点を教えてください」といった質問は「良かった点」「改善点」の2つを同時に聞いているのでお客様からすれば質問の意図を読むのに少し手間取ります。このような場合は、良かった点、改善点の質問を2点に分けるべきです。
また、質問内容を簡潔にして「良かった点」「良かった点」のように聞きたい部分を強調して記載するべきです。
自由回答はできるだけ少なくする
質問の回答には、選択肢の中から選ぶ選択回答、自由に思ったことを記載する自由回答の2種類があります。自由回答はお客様に負担になるし、集計の手間もかかるので質問は基本的に選択回答をベースに構成するべきです。
ただし、自由回答を絶対使ってはいけないというわけではありません。例えば「本日のイベントについて何か改善点があれば教えてください」といった質問は工務店側で事前に回答パターンを想定しきれないので選択回答にすることは困難です。工夫してできるだけ選択回答にすべきですが、本当に聞きたいことで事前に回答パターンを想定するのが困難な質問は自由回答にしても良いです。
アンケートでよく使用する質問例
アンケートに取り入れるべき質問はその工務店の目的によって異なりますが、オーソドックスな質問を3種類、その質問の趣旨と共に紹介します。
何処に弊社のイベントをお知りになりましたか?(思い当たる手段を並べた選択回答)
イベントへの集客経路を明らかにするための質問です。Webマーケティングの場合はどのような経路で問い合わせが発生したのかを測定できますが、工務店イベントの集客経路はアンケートなどの手法で明らかにしないと、どのようにイベントを認知して来場したのか把握が困難です。
集客経路を明らかに集客することはマーケティング施策上とても重要で、どの広告施策のコストパフォーマンスが高いのかを測定できれば、そこに資金を集中させることにより効率的な集客が実現できます。
具体的なコストパフォーマンスの測定方法は工務店マーケ内の「より効率的に集客を!CPAの改善方法」のコンテンツを併せて確認してください。
あなたは、“このイベント“を住宅について興味がある家族や友人にお薦めしたいと思いますか?(0~10点の選択回答)
上記の質問はNPS(ネット・プロモーター・スコア)と呼ばれている近年注目されている質問の仕方でイベントの総合点を分析する際に活用できます。
0~6点を批判者、7~8点を中立者、9~10点と回答した人を推奨者と定義して、「推奨者の割合―批判者の割合」がそのイベントのNPSとなります。
住宅イベントの総合的な満足度を向上させていこうとするならば毎回NPSを測定し、NPSの向上を目指すと良いです。
また、続けて「その理由を教えてください(自由回答)」という質問を行うことで、良い点や悪い点が明らかになります。
住宅を建てるにあたって重視すべきことは何だと思いますか?(値段、住宅の品質、ライフスタイルにマッチしている…のような選択回答)
上記は営業を目的とした質問です。この質問への回答をもとにお客様への営業方針を決定します。
例えば、ライフタイルとのマッチを重視するお客様なら初回ミーティングで特に丁寧にお客様のライフプランについてヒアリングすべきですし、住宅の品質にこだわるなら工務店の住宅へのこだわりを説明するような次の住宅イベントに誘導すべきです。
このように営業方針を立てる、営業の際のヒントとなるような項目もいくつかアンケートには盛り込んでおいてください。
アンケートに回答いただく際のポイント
アンケートを作成して、お客様から回答いただく際も、お客様が回答しやすいようにすることがポイントです。具体的には次の3つのポイントに気をつけてお客様からアンケートをとってください。
紙のアンケート・Webアンケート2つのパターンを活用する
アンケートには紙のアンケートに答えるパターンとQRコードを読み込んでスマホなどで答えるパターンがあります。どちらでアンケートを取るか、あるいは両方からお客様に選んでもらうかは工務店の判断次第です。
一般的に紙のアンケートはその場で簡単に回答できるものの、アンケート結果を集計するのに手間がかかる、その後のフォローに手間がかかるといったデメリットがあります。一方でスマホによるアンケートの場合は慣れていないお客様にはハードルが高いものの、メールアドレスなどを連動させられれば後々フォローをしやすい、集計・分析の手間が削減できるといったメリットがあります。
近年は「Googleフォーム」といったツールを活用すれば無料で簡単にWebアンケートが作成できるので実はWebアンケートもそれほどハードルの高い手法ではありません。
アンケートに必要な目安時間を明示する
アンケートに協力いただくときにお客様の心理的負担となるのがアンケートに答えるのにどの程度時間がかかるのか不明確なことです。よって、アンケートに必要な目安時間はお客様に明示します。お声がけする際に「5分くらいで簡単に済むアンケートなのでいかがでしょうか」などとアナウンスしてください。
またセミナー型の住宅イベントの場合は、プログラムとして最後にアンケートの時間を確保してアンケートを記入し終えてセミナーは終了という態でお客様にアナウンスすべきです。
抽選プレゼント・粗品がある場合はアピール
工務店に予算がある場合は、抽選で何名かの方に景品や粗品を渡すキャンペーンを設定できる場合もあります。アンケートのサンプル数を集めたければこのような施策は非常に有効です。
顧客を厳選したい場合はあえてプレゼントを用意しない方が良いケースもあります。景品がない状態でもアンケートに真剣に記入してくれている濃いお客様を発見するためです。
逆にイベントの集客経路を特定したり、改善点を発見したりするためにはサンプル数が必要なのでプレゼントでサンプル数を集めるのが有効です。
ケースバイケースでどちらにするか選択してください。
アンケートの分析方法
アンケートの分析方法に一律の正解は存在しませんが、当初設定した目的によって分析方法を使い分けることがコツです。
分析1:顧客の属性を把握する
顧客の属性把握は統計として処理できます。紙のアンケートの場合はエクセルなどのデジタルデータ化して分析できるように処理します。
分析用のデジタルデータが完成すればユーザーの年齢、家族構成などさまざまな切り口からどういった顧客層がイベントに来ているのかについて分析します。最終的に住宅の購買に至る確率が高い客層などを他のデータとも紐づけて調査します。
また集客チャネルごとに何人が来場したか、といったことも分析します。集客に費やした費用と比べることで、集客チャネルの効率を測ることができます。
分析2:住宅イベントの精度を高める
住宅イベントの精度を高めるためには、コンテンツ毎の満足度を定量的に測定し人気コンテンツと不人気コンテンツの分析を行う必要があります。また自由記述欄に書かれているコメントについても読み、そのコメントを真に受けるべきか、真に受けるとしたらどのようにイベントを改善するのかについて関係者で話し合います。
サンプル数が少ないと評価の誤差も大きくなるのでわずかな結果の上がり下がりに一気一憂せずに俯瞰的な視点からアンケートを分析する必要があります。
分析3:次の営業へつなげる
営業につなげるための質問結果については営業の視点から分析を行います。「満足度がいくつで…」といった定量的な分析は必要ありません。それよりもそのアンケート結果からそのお客様がどのような人物で営業としてどう攻略すべきなのかプロファイリングする能力が求められます。
この分析を実施するためにはある程度、営業の場数をこなして、さまざまな顧客の分析をしてきた営業マンが必要となります。
アンケートで集客・営業の精度を高める
お客様満足度アンケートは漠然と行うものではなく、目的に合わせて無駄な質問は削ぎ落してお客様が最小限の労力で実施できるように設計すべきです。アンケートの質問事項はその工務店が行っているイベントによって異なりますが「目的を決め、意味のない質問を用意しない」「質問1つにつき1テーマ、簡潔に聞く」「自由回答はできるだけ少なくする」の3点には注意してください。
上手くアンケートを活用することにより、営業や集客の精度を高める効果が期待できます。