住宅営業においてプレゼンテーション能力は必須のスキルです。
住宅の場合はただ既成のパンフレットやカタログを元に営業するよりも、お客様に合わせた専用の資料をパワーポイントなどで作成して建築プレゼンを実施することが多いと思います。
本コンテンツでは建築プレゼンのコツについて紹介します。
- プレゼンテーションのコツ
- 建築プレゼンボード作成のコツ
- パワーポイント使用時のポイント
本コンテンツの学習にかかる目安時間は10分〜15分程度です。
プレゼンテーションを成功させるためのコツ
一般論として高単価の商材を販売する営業にはプレゼンテーション能力が必要不可欠です。
住宅営業がお客様へのプレゼンを成功させるためのコツを学ぶために、まずば一般的なプレゼンテーションを成功させるための5つのポイントを解説します。
ペルソナ(プレゼンのターゲット)を明確にする
プレゼンを成功させる前提として、「ペルソナ」を明確にしなければなりません。同じような内容をプレゼンする場合でもペルソナによってプレゼンの仕方は異なります。
例えば同業者に説明する場合は専門用語を使った方が認識のずれが少なくなり理解しやすいプレゼンができますし、一般のお客様相手のプレゼンでは専門用語は平易な言葉に言い換えたり、説明を丁寧にした方が理解は深まります。
このようにプレゼンを成功させるためには、聴衆のペルソナを作りこみ、それに合わせたプレゼンをすることが大切です。
建築プレゼン前に複数回お客様と商談しているはずなので、そのお客様がどのような人・家族なのか、どんな家を求めているのかをその段階から深く理解するように心がけてください。
聴衆の疑問や感情を想定してプレゼンの流れを考える
ペルソナが明確になれば、聴衆の疑問や感情などを想定してプレゼンの流れを考えます。プレゼンの基本的なフレームワークは後述しますが、プレゼンの中で訴求すべきポイントや強調すべきポイントはお客様一人ひとりによって異なるはずです。
例えば、「奥様が水回りの事を特に気にされていたのでここの説明は重点的に行おう」、「お客様が家に使用する木材について特にこだわりを持っていたようなので詳しく説明しよう」といったようにプレゼンの細部はペルソナによって決定されます。
お客様が何に興味を持つかを事前に想定して、それに寄り添うプレゼンを企画することで成約率や顧客満足度は高まります。
プレゼン時間を意識し、内容にメリハリをつける
プレゼン時間を意識して内容にメリハリをつけます。
同じテーマもプレゼンでも持ち時間5分と1時間では話す内容は異なりますし、1案だけ提案するのと3案提案するのとでは自ずと時間配分も異なります。また、長く丁寧にプレゼンすれば良いというものではなく、無駄な内容をプレゼンに含めず濃いプレゼンをした方がお客様満足度は高くなります。
さらに、冒頭にお客様の興味を惹くようなコンテンツを盛り込む、中だるみしないように合間合間にお客様の興味を惹くようなコンテンツを用意するといったようにプレゼンの時間を意識した内容構成が求められます。
聴衆役をつけた予行演習をする
お客様にプレゼンする前に聴衆役をつけた予行演習を行ってください。
プレゼンに慣れている住宅営業マンでも、大きな商談の際は予行演習すべきです。また、その際には聴衆役も用意した方が良いです。特にプレゼン経験が浅い場合はお客様の目線を気にして緊張して話せなくなることもありますし、ベテラン営業の場合でも予行演習をしてみて構成を変えたくなることはよくあります。
プレゼンの緊張をほぐし、本番のプレゼンの成功率を高めるためにも予行演習は必要です。
プレゼンテーションボードを作りこむ
プレゼンの成否に大きな影響を与えるのがプレゼンボードの作り込みです。プレゼンボードの作り込みが甘いとお客様にも準備が不十分なことは伝わりますし、プレゼンをする営業の語り口も鈍くなってしまいます。
具体的なプレゼンボードの制作方法については次の章で説明します。
建築プレゼンボード制作のコツ
建築プレゼンの成否は準備段階で8割以上決まります。
特にその中でも大きな要素を占めるのが建築プレゼンボードの作り込みです。
プレゼンボード制作にあたって注意すべき点としては次の5つがあります。
工務店のブランドイメージと合った内容にする
お客様にプレゼンする内容は、工務店のブランドイメージや売りにしているポイントを大切にし、それに合致するものにしましょう。
お客様はすでにあなたの工務店のホームページやインスタグラムで情報を取得し、工務店の得意なことや押しているポイントを理解したうえで、その工務店を選んでくださっているのです。
そのため、工務店のブランドイメージと合った内容のプレゼンにしなければ、お客様はどうしてその工務店を選ぶべきなのかわからなくなってしまいます。
例えば、デザインがおしゃれであることを売りにしている工務店で、売りにしているのとは全然違うデザインをプレゼンするだとか、高機能の住宅を売りにしている工務店で機能が充実していない家をプレゼンするといったことは避けましょう。
事前にお客様からヒアリングした内容を盛り込む
前述の「ペルソナを明確にする」「聴衆の疑問や感情を想定してプレゼンの流れを考える」にも繋がることですが、事前にどんな家を建てたいかヒアリングした上で、お客様のイメージに合わせてプレゼン資料を作成すると成功しやすいです。
お話した内容を盛り込むことで、お客様に「話をしっかりと聞いてもらえた」という安心感を与えることができますし、要望に合った内容ですから、受注できる確率が上がります。
仮に、お客様のお話をうかがって住宅営業が想像した家と、実際のお客様のイメージが合っていなかった場合も、改めてすり合わせることが可能になります。
お客様が「こういう家が良い」と指定した家に近い見た目の家の画像を探し出して載せる、お客様が求めていた性能について盛り込んだ内容を入れるなど、事前にヒアリングした内容を資料にしっかりと盛り込みましょう。
営業トークと連動させる
プレゼンボードは営業のために使用するので営業トークと連動させなければなりません。ただし、営業が話すことを全部プレゼンボードに書き起こせばそれはそれで情報量が多すぎます。
営業トークの端緒になる要素をプレゼンボードに簡単に盛り込み、営業はそれを詳しく説明するといった方法がプレゼンボードの基本的な使用方法です。よって、営業トークと連動させる中で、あえてプレゼンボードから情報を削除するべきなのは何か情報の取捨選択を行ってください。
ただし、初心者の場合は営業トークと資料を完全に連動させるのも良いです。このようなプレゼン手法は「高橋メソッド」とも呼ばれており、住宅に限らずその他の営業マンの間でも広く使用されています。高橋メソッドを使用し、プレゼン内容を全て資料に書き出すと資料は冗長になる半面、プレゼンの際の言い忘れ、話し方を間違ったり途中で内容が飛ぶといった失敗がなくなるのでプレゼンに慣れていない営業におすすめの手法です。
基本フレームワークを抑える
プレゼンには基本的なフレークワークが存在します。代表的なフレームワークがSDSとPREPと呼ばれるフレームワークです。
SDSはSummary、Detail、Summaryの頭文字を取ったフレームワークで概要、詳細、全体のまとめの順番でプレゼンをします。PREPはPoint、Reason、Example、Pointの頭文字を取ったフレームワークで要点、理由、事例、結論の順番でプレゼンを行います。
建築プレゼンをする際は、最初と最後は結論や要点にする、真ん中部分は詳細を説明したり、お客様の要件定義その解決策を提案するといった構成にすると、お客様が理解しやすくなります。
文字よりもビジュアルで訴求する
住宅営業の場合、文字よりもビジュアルで訴求するのが効果的なプレゼンに繋がりやすい傾向があります。
建築プレゼンの場合のお客様の関心事はあくまでもどのような住宅を提案しているのかなので、そのビジュアルが関心事になります。
よって、間取りや建築資材、完成イメージなどのビジュアルを多めに、文字は要点だけ資料に記載しておき、詳細は営業が口頭で説明する程度が望ましいと考えられます。
パワーポイントを使いこなす
特にプレゼンの時に用いられることは多いのがパワーポイントです。これまで説明した点を踏まえた上でパワーポイント活用において気をつけたいことは次の3点です。
デザインに統一感を持たせる
お客様は高額商材である住宅を購入しようとされています。そのため、パワーポイントのデザインが安っぽかったり、粗雑に見えるようではいけません。
また、パワーポイントの全体のデザインが工務店のブランドイメージと合致していることが大切です。オブジェクトの色などで全体的に統一感を持たせましょう。
また、プレゼン資料は見やすいようにレイアウトを整える必要があります。デザインを整える際の基本は、オブジェクトの端を揃えたり、並列のものは等間隔で並べたりといったように、資料内のオブジェクトを綺麗に配置することです。
オブジェクトを揃えるために、使える機能として以下の3つが有効です。
配置
描画ツールの「書式」タブから、「配置」を選択するとオブジェクトの端を揃えることが簡単にできます。
配置には大きく3つの機能があり、揃えたい方向によって使い分けることができます。
- 「左揃え」「中央揃え」、または 「右揃え」
- 「上揃え」、「上下中央揃え」、または 「下揃え」
- 「左右に整列」 または 「上下に整列」
配置とサイズ
オブジェクトを選択して、右クリックすると「配置とサイズ」を選択できます。そこで、オブジェクトのサイズを指定できるので、複数のオブジェクトのサイズを揃えることができます。
グリッドとガイド
グリッド線は、スライド上に格子状の点線が表示される機能です。
ガイドはスライドに、上下・左右の中心線が表示される機能です。
「表示」タブの「グリッド線」「ガイド」にチェックマークを付けましょう。オブジェクトを配置する際の目安を決定できます。
過度なアニメーションを入れない
パワーポイントには多くの装飾用の機能が含まれていますが、せっかくだからといって色々な機能を使おうとすると、ごちゃごちゃしたプレゼンボードになることが多いです。
特に使用を控えた方が良いのがアニメーションです。1つのプレゼン資料にさまざまなアニメーション効果が入っていると、そちらが気になってプレゼン資料に集中できませんし、トリッキーな演出を多用すると素人が制作したように見えてしまいます。
プレゼン用の資料にアニメーションは使う必要ありませんし、使うなら1~2種類程度で統一感を持った使用をすべきです。
その他使用できるツール
プレゼンにおいてパワーポイントは必須級のツールですが、他にも使えた方が良いツールはいくつか存在します。
例えば、MacユーザーであればパワーポイントではなくKeynoteでプレゼンした方が良いでしょう。
他にもプレゼンのグラフィックまで拘りたいのであればIllustratorやPhotoshop、自身でパースを作成するのであれば2D/3DCAD、動画をプレゼンに盛り込むのであればFinal CutやAfter Effectsなどさまざまなツール活用も考えられます。
まずはパワーポイントを使いこなせれば充分ですが一歩進んだプレゼンをしたければこれらのツール使用も併せて検討してください。
建築プレゼンの精度を高めて受注率アップを
オーダーメイドで住宅を販売する以上、建築プレゼンを成功させられる能力は住宅営業にとって必須のスキルとなります。
プレゼントいえば高度な話術や資料作成能力が必要な気がするかもしれませんが、実は基本のフレームワークを活用し、原理原則に従って丁寧に準備すれば簡単な部類に入る営業スキルです。
本コンテンツを参考に建築プレゼンの精度を高めてぜひ受注率アップを狙ってください。